オン電圧とオン抵抗
バイポーラトランジスタのスイッチング時には,C-E間のオン電圧が問題になることがある。オン電圧は駆動条件が整えば0.1V程度以下になる。負荷電流が大きいときには,駆動回路を強化するか,ダーリントン接続で見かけ上のhFEを稼ぐ。
集積化ダーリントントランジスタでは駆動回路は楽だが,オン電圧が0.8V~1V程度になる。低電圧のスイッチングでは無視できない。
パワーFETの低オン品種を使えば,オン電圧×ドレイン電流程度の損失で済む。
最近ではG-S間電圧5Vで十分飽和する品種が出回っているから,静的にはC-MOSで十分駆動できる。ただし,高速スイッチングとなると,G-S間容量とD-G間容量を充電するために,低インピーダンスで駆動する必要がある。ピーク電流が0.1Aを越えることも珍しくは無い。高速スイッチングでは,主FETに耐圧・オン抵抗ともに必要十分な品種を選ぶことになる。
スイッチング回路では大は小を兼ねず,小は大を兼ねない。
また,不完全オンはいかなるときにも回避する必要がある。大きな熱損失の発生により素子破壊に繋がるからだ。
扱う電力が大きく高速のときには,スイッチング回路の設計には神経を使う。リニア回路ならなおさら難しい。熱設計の課題も生じてくる。回路各部の自己発熱による熱的安定性も考慮しなければならない。
アナログ回路は,現実のセンサあるいはアクチュエータを前提に回路を組む。そのためにチップ部品では扱えない電圧・電流を対象とすることも多くある。
FPGAを使用すれば回路を意識しないで,プログラムできるデジタル回路とは違う世界なのである。
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