アナログスイッチ
アナログ回路において,入力の切り替えなどに便利な素子である。
しかし,使いこなすには,いくつかの注意点がある。
基本は,データシートのオン抵抗を目安に選択するが,スイッチの両端の寄生容量とのトレードオフ関係がある。オン抵抗が小さいものほど寄生容量が大きい傾向があるので高い周波数ではオフ時には数10pFの電圧依存容量になる品種もある。従って,オン抵抗が低ければよいというものではない。
オン抵抗はkΩ台の品種もある。
オフ時のリーク電流が無視でき,オン時のスイッチ部のオン抵抗が無視できるくらいのインピダンスで終端あるいは次段の回路を構成する。
アナログスイッチは制御入力のGNDと,スイッチ間の電圧によってオン抵抗が変化するのでアナログスイッチを含む回路全体の非直線性にも影響する。しかも,温度により若干変動する。
半導体アナログスイッチに比較して,それなりの接点材料を用いたリードリレーはより理想的である。
アナログエンジニアの部品選択は常にメリット・デメリットのバランス感覚に基づいて中庸の道を考える。複数の評価基準の中で最適化を目指す。
そのためには,評価するべき項目を把握しておかなければならない。
マルチ価値観,バランス感覚が重要である。政治も同じか・・・。
他の部品にない特長があれば,データシートに記載しされていなくとも犠牲になったと思われる項目を考える。
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コメント
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はじめまして。
某メーカのアナログエンジニアです。
アナログスイッチは、非常にON抵抗数オームのものが、ADで$1ぐらいで発売し始めましたね。低周波の回路に、積極的に使いはじめました。昔からあるアナログスイッチは、リスクのない箇所に伝統的に使っているというところでしょうか?
一昔前は、アナログ部にはリレーを使っていました。
微小電流・信頼性・寿命で問題がおきやすいため、原則採用禁止がでました。
そのかわり、最近、松下や東芝製から低容量のフォトMOSリレーが安価に入手しやすいため、ビデオ領域のオペアンプゲイン切り替えで使いはじめました。
投稿: おとん@ | 2009年3月 8日 (日) 20時58分
おとん@さま こんばんは
アナログ電子スイッチは,CMOSタイプのものを私は重要部によく使います。寄生容量を嫌う部分や100V級が必要なドライ回路部分には貴金属接点のリードリレーですか。
フォトMOSリレーは切り替えが少し遅いのでこの点注意が必要です。
電磁リレーは便利ですが,使い方を誤ると溶着,開放故障が簡単に起こります。
ビデオ帯ではあまりゲイン精度を要求されることは少ないと思いますので,若い方が多くなってくるとフォトMOSリレーが無難かもしれません。
投稿: 5513 | 2009年3月 8日 (日) 21時29分