アナログ回路の簡易実験
学生実験や企業の新人教育で,回路実験を行うには少々工夫を要する。
回路構成は実験して見るべき所や多少のデータ処理を伴うものがよい。
指導者側の計画において,実験機材の有無と,アナログ回路をどのような基板で組ませるかも大きな検討項目である。
半田付け作業台がない場合には,ソケット式の基板(プロトボード)が便利だが欠点もある。配線が長くなるので扱える周波数は1MHz程度以下となる。学生や新人の組んだ回路が動かないときのチェックも講師の大きな負担となる。プロトボードが古くなったり,配線材料の線径の不適合や被覆剥きの長さなどに起因して,接触不良の確率が増える。
しかし,対象者に自分自身でレイアウトさせると,デバイスのデータシートのピン配置などをしっかり見ることになる。回路定数の変更も容易である。配線のチェック方法のコツ,注意力も養われるメリットもある。ただし,微妙に特性のばらつきが出ることもある。
プリント基板を作成し,キット化した部品をセットにしてしまえばただ部品を挿入するだけの作業になってしまう恐れがある。
実験者の技量,知識はかなり幅が広いことが多いので,同じ回路で必須の観測事項と発展課題を用意する。
このような事前注意を払い,指導者側は様子を見ながら適宜アドバイスや実験の意味を説明していく。神経を使う仕事である。
今の世の中,身の回りには高度な回路技術,集積化されてデジタル化されて高機能化された製品が溢れている。しかし,それでも実験によりブラックボックス化した回路技術の基本は一度は体験して戴き,作る立場になったときの原体験の一部を伝えたいと思う。
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