変圧器とヒューズ
商用電源で動作する電子回路では,最終保安装置としてヒューズを用いる。
通常はAC100Vラインの片線とヒューズと変圧器の1次巻き線を直列に接続する。
ヒューズは過電流時には断線モードで回路を遮断するが,ヒューズの定格を守らないと稀に半断線状態になりえる。
最近では各種SWレギュレータで直接安定化されたDC電圧を得るが,SWノイズを嫌う精密電子回路では今も商用周波数変圧器が使われている。
容量の大きく異なる2次巻き線を有する変圧器の過電流保護が1次巻き線側のヒューズで保護しようとする場合には,容量の小さい2次巻き線の短絡で,ヒューズが飛ばない場合がありえる。このケースが想定される場合には,小心者のアナログエンジニアは2次側にもヒューズを挿入することがある。
2次巻き線側にヒューズは必要か否かは,最小容量の2次巻き線を短絡した時に1次巻き線側のヒューズが飛ぶかを確認すればよい。
もうひとつの解は,小容量系統を独立させて小型の変圧器とそれに見合ったヒューズを使うことである。
ヒューズにはファーストブロウ,ノーマルブロー,スローブロー,タイムラグなどの種類があり,用途に応じ使い分ける。
最も簡単で信頼性の高いとされるヒューズでさえ,最終保安装置であるが故にその機能の確認は欠かせない。
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コメント
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お疲れ様です。
最近のSWレギュレータは、出力短絡の保護機能およびセンス抵抗で電流制限しているものが多いため、2次側にヒューズはいれないですね。
ヒューズは、部品が発火し2次災害がある場合を想定して入れています。設計者によって、過剰に入れる人、まったく入れようしない人のタイプがいるようです。上記災害を考慮した設計ガイドラインの中で、ある条件でヒューズを入れていますね。
最近、きになっていることですが、降圧非絶縁回路のIC使用する際、入出力をショートした場合、ICが発火する恐れがあるため、出力をサイリスタで電圧監視し、入力ヒューズを断する保護回路をいれるように、注意事項を書かれているメーカがあるようです。
ICは内部がブラックBOX。そのようなものは、かなり気を使っているといった感じです。
投稿: おとん@ | 2009年3月22日 (日) 23時56分
おとん@さま
降圧DC-DCコンバータは,最近では出力FETも内蔵しているものがありますが,保護機能をきちんと使わないと危ないですね。
個別部品によるDC-DCコンバータは少なくなってきて,メーカーの設計式だけで,定数を決めている形が多いですね。
投稿: 5513 | 2009年3月23日 (月) 06時05分
はじめまして
電子部品のことがよくわからず、いろいろネットを探しまわったものの、満足のいく答えが得られないまま、ようやくここにたどり着きました。素人がつまらぬことをお尋ねして恐縮ですが、専門家の助言をいただければ幸いです。
実はオーディオ趣味が高じてヒューズの交換を思い立ち、isocleanという会社のオーディオ用ヒューズなるものを注文致しました。ガラス管円筒状の一般的なもので、5x20mm, 4Aのスローブローのヒューズです。以下、この会社のHPのURLです。
http://www.isocleanpower.com/product_24.htm
このHPに掲載されているスローブローのヒューズは、内部の導線がコイル状に巻かれています。ところが、送られてきたものはヒューズ内の導線が細長い直線板状のもので、私の少ない知識ではどう見てもファストブローのようでした。そこで、送られてきたヒューズの写真を添付してこの会社にメールで問い合わせたところ、直線板状のものもスローブローヒューズであり、当社の製品だという回答がありました。
そこでお尋ねしたいのは、、細長い直線板状のスローブローヒューズなど存在するのか、ということです。仮に存在するとすれば、なぜ直線板状にもかかわらず、スローブローの特性を保持できるのでしょうか。
送られてきたヒューズをオーディオ機器に装着して試聴しても、音に変化はありません。どう考えても偽物をつかまされたように思うのですが、もしや直線板状の、一見ファストブローと見紛うスローブローヒューズも存在するのかもしれないと思い、なんとか確認できないかとご相談申し上げた次第です。
お忙しいところ、些末なことをお尋ねして大変恐縮ですが、お時間が許すようであれば、何卒ご教示いただきますようお願い申し上げます。
投稿: 渡辺 貴史 | 2010年1月25日 (月) 18時35分
渡辺さん こんにちは
スローブローフューズは熱容量を大きくして、断線に至るまでの時間を長くしたものです。直線・リボン状の線はたぶん放熱が良くなるので、多少スルーブロー性が高まる可能性はあります。
一般的にフューズは定格の130%継続で断線に至ります。
お問い合わせのフューズは端子が接触抵抗を下げる目的で金メッキされていますが、通常品でも接触抵抗は十分小さいので、趣味の問題になるかと思います。
なお、スピーカの周波数特性は平坦ではなく、複雑な特性を示します。スピーカーを変えれば、素人でも音質の違いは判る程度です。なお、現在のオーディオアンプは帯域が100kHz以上まで伸びているので、スピーカー特性を上回ります。ご参考まで。
投稿: 5513 | 2010年1月26日 (火) 11時50分
早速のご返事ありがとうございました。直線・リボン状のものでもスローブローの可能性があるとのこと。専門家のご意見を伺うことができて安心しました。
とりあえずメーカーには、HPに掲載してある形状と同じものと交換してもらうことになりました。これで音質に変化がなければ、もう二度とヒューズ交換など思い立つことはないでしょう。
重ねてお礼申し上げます。
投稿: 渡辺 貴史 | 2010年1月26日 (火) 17時44分