ICのネクタイピン
←中央に集積回路チップをあしらったネクタイピン。周囲には感温液晶があり,気温に依存してその色が変化する。
撮影時には快適温度内なので,液晶は緑色である。
中央部のICチップ表面には規則正しいパターンと,不規則なパターンが存在している。多分,メモリ搭載のマイコンとアナログエンジニアは考えている。
このICチップ部は,光の干渉により虹色に輝く。音楽CDや可視光回折格子と同様に光の波長と同程度の規則的なパターンがあるICチップだ。現在の超LSIやメモリLSIは光の波長より短いパターンしか存在しないので,配線は不規則なアルミパターンが傷のように見えるだけである。装飾品のような輝きはない。
そう,このタイピンを手に入れた時代は,当時の最先端チのICの基本パターンが可視光の波長の時代である。某半導体メーカーを訪問したときに戴いたものである。自分が電子回路屋として,仕事をしに行く時には,今も愛用しているタイピンである。
今の回路屋さんの中には,実際のICチップを見たことがない人も少なくない。
まして,例えば0.6mm□のトランジスタチップを掴んだ経験のある回路屋さんは殆ど居ない筈である。シリコンウェハーが大口径化すると,ハンドリングの関係で,コンマ何mmの厚みをもつ。しかも,シリコンの割れやすい面方位の存在のため,1個のチップの側面は垂直ではなく斜めの部分がある。ひしゃげたサイコロに近いイメージだ。精密ピンセットでも,熟練しないと掴めない。
タイピンひとつにしても,技術者の思いが込められている品もあるのだ。アナログエンジニアにとって,銀製の真珠のタイピンより相応しい場面もあるのだ。しかし,この品を説明しても今はその意義を知る人は少ない。知る人ぞ知る代物である。
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