無安定マルチの起動
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2石無安定マルチバイブレータは、2つのトランジスタがオンの状態が直流的には安定である。実際には、このような両トランジスタがオンとなって発振しない場合は特殊なケース以外は生じない。
しかし、回路シミュレータSPICEでは簡単に生じる。
この原因は、DC電源を用いてモデル化すると、SPICEは最初にコンデンサを省略してバイアス計算するので、両トランジスタがオンになってしまうからである。これを回避するには電源を0から立ち上げる必要がある。同時に完全対称回路とすると、均衡が破れる機会がないので、これもまた起動に失敗する。プロ用のSPICEの分厚い説明書をよく読めば、SPICEが行う解析の手順がきちんと記載されている。
実回路はよほど回路定数がまずくなければ確実に発振する。それで、SPICEの使用開始に際して試してみたい代表的回路の一つとなっている。多くは、DC電源を使いある回路部品に初期値を与えて強制的に不均衡状態から出発する。
アナログエンジニアはこの手の回路の解析では、パルス電源を使用し0Vから常用電圧まで高速で立ち上げる方法を使う。
もうひとつのポイントは、回路のどこかに回路設計にもよるが、部品の一部に0.1%内外の偏差を持たせることである。
この方法によれば、無安定マルチバイブレータは2サイクルで定常発振に至る。しかも、現実世界での起動のメカニズムにも合致している。
定常発振周期に比べ遅い立ち上がりの場合にはどうなるか?
このほど、発振開始の瞬間をSPICEで解析できた。結果は予測した発振過程と同じである。計算時間はさほど長くはかからない。
Simulation Program with Integrated Circuit emphasis=SPICEはうまく使えば、まず見ることのできない回路の挙動まで可視化してくれる。しかし、そのためには、回路動作の正確な把握が必要である。
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コメント
この記事へのコメントは終了しました。
お宅にはいろんな植物があるようですね。
我が家はどうも変な植物や花ばかりで、庭先での撮影は極めて限定的です。
↓の花、八重のダリアにも似てますね。
投稿: mako | 2009年7月 8日 (水) 12時25分
MAKOさん おはようございます。
亀レスですみません。現在、我が家の庭はジャングル状態です。体で草を押しのけての撮影ばかり。
写真は八重のダリアだそうです。
投稿: 5513 | 2009年7月11日 (土) 09時25分