プッシュプルコンバータ
この例では、DC電源をSW1またはSW2がオンのとき、フォワードコンバータと同様にL3側へ電力を供給する。
この回路形式ではフォワードコンバータの回生コイルもスイッチングする方式とほぼ同じである。
各スイッチが同時にオンになる(クロスカレントコンダクション)と短時間のうちに大電流がながれ焼損に至るので、同時オンは絶対に避けなければならない。
通常L1,L2は一つのコイルに同じ巻き数で形成される。
先の理由で、両SWがオフの期間が存在するので、その期間に電流の経路を確保するため、各SWに逆並列のダイオードを付加する。
最近のパワーFETは寄生ダイオードがこの位置につくので、このダイオードを利用すれば意識することなく動作する回路となる。L3側が無負荷のときの定常状態では、各SWは回生電流が電源側に流れ、0電流を経由して励磁モードとなる。
この回路の実用的な理解は、SWがオフの時の挙動をL3のない状態で励磁とリセットの動作をよく検討することにより得られる。
アナログエンジニアは、先のクロスカレントコンダクション(CCC)の怖さをよく知っているので、失敗することはない。しかし、某有名教授監修のXXX電源ハンドブックの表1.1にはプッシュプル型:「トランスが直流励磁されるので殆ど用いられない」の記載がある。分担執筆者の見識を疑う。私はこの回路形式をしばしば使用する。解析も正確にできる。
この回路方式はCCCの防止が出来ていると、非常に高出力までの設計がやりやすく、かつ双方向に低インピーダンスの出力が得られる重宝な回路でもある。
否定表現はよほど注意して記述しないと、すぐに間違いを起こす。一つ肯定的例外を見つけるだけでよいからな。否定の証明は非常に難しい。
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