トランジスタ特性の測定
←橙色のミニバラ。花は小さくとも対照となる物が映っていないので立派に見える。
トランジスタ静特性の代表例であるIC-VCE曲線も注意をしてみなければ、判断を誤る。
特に、高電力領域のカーブは要注意である。
チップサイズに比べ、消費電力の大きい領域でのIC-VCE曲線は、自己加熱の影響を受ける。
ゆっくりとした測定によるデータなら、自己加熱の影響を受け、高電力領域ほど右上がりの傾向が顕著に生じる。パワーFETなら、条件により、ID-VDD曲線の平坦部が右下がりになることもある。
ICは温度影響が+のhFEの温度影響を受けるので、バイポーラトランジスタのIC-VCE曲線は高電力(高電圧側)で上昇する。
これを回避するには、パルス測定などの方法で、ごく短時間で高電力での測定をする必要がある。小信号用トランジスタでも同様な問題が生じる。ゆっくりとした測定の結果なら、自己加熱を含むトランジスタ特性になるし、パルス特性なら一定温度での測定に近い。
測定中の温度変化が少ない方法でIC-VCE特性を取得すれば、IC-VCE特性の平坦部での傾きであるアーリー効果あるいはアーリー電圧を有効数字2桁程度で測定できる。
そして、アーリー効果は、回路シミュレータで回路の電圧依存性や能動負荷時の利得計算に使われているパラメータである。
アナログエンジニアはデーターシートのグラフをそのままいつも信用するとは限らない。トランジスタの静特性を取得する際には、自分で必要な回路を組み測定を行うことがある。
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