低電圧リニア回路
バイポーラトランジスタによる低電圧リニア回路の低電圧化は、VBE電圧と、コレクタ飽和電圧VCE(sat)により限界がある。
VBE=0.6V、VCE(sat)=0.3V辺りが個別素子でリニア増幅器を構成できる限界で、コレクタ負荷にかかる電圧VLも0.3V程度となる。
このとき、電圧増幅率Aの絶対値はおよそ、A=VL/VT (VT:熱電圧)であるから、VLが小さいとAを大きく取りにくい。能動負荷を使えば、もっと大きな電圧利得を1段で得ることができるが、VCE電圧が0.6V程度から実効アーリー電圧が低くなるので、電圧利得は低下する。
能動負荷差動増幅器を使用するなら、VBE+2VCE(sat)程度ないと、設計の自由度が殆どない。したがって、電源電圧1.2V程度がバイポーラトランジスタ回路での増幅器設計の下限となる。
このくらいの電圧になると、数10mVも貴重だし同時に低電力化も要請されるので、仕様の許す限りコレクタ電流も低く設計することになる。
電源電圧が高すぎるのも設計しにくいが、電源電圧が低い領域は厳然とした限界があると考える。
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