ダーリントントランジスタの改良
←サフランの花。開花のころになると茎が伸びてこのような状態になる。
初段npnトランジスタをQ1、2段目npnトランジスタをQ2とする。標準的なダーリントン接続。初段npnトランジスタのコレクタに1本の抵抗を挿入する。
この挿入した1本の抵抗により、出力側からのサージに対しての耐力がかなり向上する。量産ベースでは、Q2に比べ高速、高耐圧の初段の原因不明の故障が明らかに減少した。
ダーリントン接続の様な簡単な回路でも奥が深い。
アナログエンジニアの想定する改善効果のストーリーは以下。
出力のコレクタから高速のサージパルスが入る。Q2はより大容量なので高速パルスに対しては応答せず、Q1のエミッタに対してダイオード負荷となる。この結果、Q1には大電流が流れ、サージ破壊する。
コレクタに適切な抵抗が入っていれば、サージ電流は制限されQ1の素子破壊にはつながらない。
ダーリントン接続は、よく知られた回路形式であるが、それでも使い方に応じて様々な工夫の余地がある。
たかが基本回路であるが、使用目的に応じて若干の犠牲を伴いながら、たとえば抵抗1本で実使用状態での信頼性を向上する術があるのだ。
良く検討されたアナログ電子回路では、周りからはその意味が判らないだろうけれど細かい改良がなされているのだ。
今回の例では、抵抗の値が大きすぎると周波数特性とダイナミックレンジに悪影響を及ぼすが、定数が適切なら耐サージ性能を顕著に向上させる。
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