フォトカプラーのCTR
フォトカプラーは発光素子と受光素子を対抗させ、電流信号をいったん光に変えて透明絶縁固体中を伝播させ受光素子で再び電流に変換する素子である。
発光素子はふつうLED、受光素子はSiフォトダイオードかフォトトランジスタである。最近ではパルス成形回路付きの物もある。絶縁能力はDIP形状品で2kV前後である。CTR(current transifer ratio)は入力電流と出力電流の比である。
出力段ではエミッタ抵抗かコレクタ抵抗を付加して電圧に変換する。
実務ではCTRを考慮し、LEDの励起電流を決め、出力電流を予想して、負荷抵抗を決める。
トランジスタの電流増幅率は温度に対し+の温度係数、LEDの光量は経年的には劣化するとされているが温度変化に対しては具体的なデータは少ない。
普段よくつかわれているフォトカプラー回路だが、尤度不足の設計によるトラブル事例も少なくない。
フォトインタラプタも同様の構造であるが、遮光板が入り込めるくぼみが光路にある。
簡易的な位置センサとしてよく使われるが、塵埃の付着により光量が低下しやすいので、CTRを低めに考えて設計する例が多い。
もっと高電圧絶縁を期待するとなると、LED+導波路+フォトトランジスタで構成することになる。
最近はフォトカプラもIC化されて、規定の電流を入力すれば、デジタルレベルに変換してくれる物もあり、考える余地のない部品もあるが、ひとたび高電圧絶縁や高速性を必要とすると、自作しなければならないのがフォトカプラー/フォトインタラプタである。
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コメント
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5513さま。
貴重なご意見いつもありがとうございます。長期的な使用を考えたCTR設計難しいですね!
LEDの長期的な使用による光量低下も考えないと、不具合の原因になりますから。
むかし、CTRの長期的な低下の原因は常時点灯にあると考えた設計者は、異常時のみ点灯するフォトカプラ回路を考えました。フェイルセーフを考えるとあり得ない設計です。でも他部署の設計に対して、口出しできない体制の企業でしたから。
原子力発電所の緊急停止装置が、そんな設計だったらとおもうと恐ろしく感じます。
投稿: ~合 | 2009年12月 1日 (火) 12時45分
~合さん こんにちは。
CTRは長期的にみると、LEDの光量が低下し、光路は汚染するか着色するか、フォトトランジスタのhFEは低下する方向ですね。
最低のCTRの-30%で設計推奨している例も見かけたことがあります。
>原子力・・・ 多重安全装置の一部が機能しない、あるいは人為的に外した状態で運転されると怖いですね。日本でも実例はあります。
投稿: 5513 | 2009年12月 1日 (火) 13時38分