ピンチ抵抗
ピンチ抵抗は、拡散プロセスで作る抵抗で比較的高いシート抵抗が得られる。
その構造は接合型FETとトポロジー的には同じなので、電圧依存性を持つ。浅い拡散と薄い絶縁膜で作ればFET特性になる。通常のアナログバイポーラプロセスでは、数10kΩ程度の抵抗を作るために用いられる。
この抵抗は電圧が高くなるにつれ、定電流的(抵抗値が高くなる)になるので、たとえば、カレントミラー回路に使い、オペアンプ回路全体の消費電流を決定する部分に使う。
ピンチ抵抗を用いれば、オームの法則に従う抵抗に比べ、消費電流の電源電圧変化の小さい性能が得られる。通常は、チャネル部に相当する部分にアルミ電極をつけて抵抗値を調整する。
MEMSで使われるピエゾ抵抗は通常ゲート電極を持たない拡散抵抗で作られる。ゲート電極のアルミ膜を付けると、アルミとシリコンの熱膨張差で温度によるヒステリシスが生じやすいからである。センサとして用いられるピエゾ抵抗は、ゲージファクタが100前後と大きいが小ひずみを測定する場合もあるのでppmオーダーの安定性が必要である。
ゲート電極のないFETは、通電とともにゆっくりと酸化膜表面の電位が安定状態に向かうので、非常にゆっくりとしたドリフトとそのドリフトの温度依存性が認められる。
この対策には、抵抗部の酸化膜の電位を固定してやればよいので、蒸着プロセスとエッチングプロセスを追加することになる。
MEMSセンサにおいて、構造物の微小化に伴い、浅い拡散あるいはイオン打ちこみによる抵抗体の形成と薄い酸化膜の使用は必然となる。ますます、FET効果は顕著になってくるだろう。しかし、安価な用途では、これらのドリフトを消去することなく通常プロセスで作られているであろう。
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