バイパスコンデンサ
通称パスコン。電源とGND(基準電位)の間に挿入する。
アナログ回路だけではなく、デジタル回路にも付加する。
部品の扱う電流と消費電流変化の速さに依存して、必要な容量値は異なる。リード線付きのコンデンサでは、品種、リードの長さ、太さによって寄生インダクタンスが変化する。
形状が小さいコンデンサほど、高い周波数まで電源バイパス効果を期待するので、素子の電源ピン近くに配置する。過渡電流は素子とコンデンサコンデンサで作るループを流れるので早い電流変化するループ面積を減らした方が効果的であるし、耐ノイズ性も向上する方向である。
コンデンサの周波数特性を比較してみれば一目瞭然であるが、同一品種なら容量値が小さいほど周波数特性が延びている。それで、必要に応じて、0.1μF前後のセラミックかフィルムコンデンサと数μF程度の電解コンデンサを並列接続で使うことがある。タンタルコンデンサは低インピーダンスとなる周波数が比較的広い。
電源回路は、電圧検出点で電圧を一定に制御しているだけで、電源回路電圧が一定であっても、部品のところで一定電圧になるとは限らない。寄生抵抗も寄生インダクタンスもある。遠くで消費電流の急峻な変動があると、その周りの電源電圧が変動する。
リード線付き部品で扱える周波数は数10MHz程度までである。チップ部品ならもっと高い周波数まで可能である。
電源パスコンは低インピーダンス回路なので、短絡故障モードのある電解コンデンサを使う際には焼損に留意する必要がある。一時、ヒューズ付きタンタルコンデンサが市販されていた。
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コメント
この記事へのコメントは終了しました。
日々のブログでの貴重なご意見ありがとうございます。
私も電子技術者としてピンキリのキリに近い方で、働いております。
訳あって3年くらい前に転職した現在の会社は、元々はアメリカの技術を導入したもので、当時の回路時を見ればすばらしい技術者であっただろうこと想像ができます。必要なところにフィルムコンデンサ使用とか、知りたいところへは電圧や波形の表示。コメント欄にはその調整方法まで。
いつしかその素晴らしかった図面が、アートワークのための接続図面となり、情報は全く散逸し温特の必要なコンデンサまでが、パスコン並みの積層セラミックへ、樹脂でモールドして二度と修理不可能な部分のパスコンが短絡モード故障を起こすコンデンサに変更されたり・・・
これからも貴重なご意見よろしくお願い致します。先日まで知りませんでしたが、岡山様の著書が家にありました。参考にさせていただいております。
投稿: ~合 | 2009年11月17日 (火) 12時59分
~合さん こんにちは
昔の回路図は内容が充実していました。CADの進展などとともに、必要な情報が散逸してきました。
アナログ回路ではコンデンサの使い分けが第一関門です。コンデンサは温特の良い品種は限られています。
今後とも応援よろしくお願いします。
投稿: 5513 | 2009年11月18日 (水) 08時44分