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著作

  • 共著:「次世代センサハンドブック」培風館(2008)、「マイクロセンサ工学」技術評論社(2009.8)
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    アナログ電子回路設計入門 (1994.12)、コロナ社: 実践アナログ回路設計・解析入門 (2005.1)、日刊工業: オペアンプ基礎回路再入門 (2005.7)、日刊工業: ダイオード・トランジスタ回路入門 (2005.12)、日刊工業: スイッチングコンバータ回路入門 (2006.9)、日刊工業: これならわかるアナログ電子回路基礎技術 (2007.6)

専門とする事項

  • 電源を含む精密アナログ電子回路の設計・開発、およびその教育、技術指導。センサ・アクチュエータシステムの構築。電子機器の不良解析指導および再発防止指導。解析主導型設計の推進と回路シミュレータの実践的活用指導。技術的側面からのプロジェクト管理指導。

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2009年12月

2009年12月29日 (火)

変形カレントミラー

Ccimg 図は変形カレントミラー回路。電流比が大きいときに有用である。Q1側が基準、Q2側がミラー。

構成はエミッタ抵抗のあるダイオード接続したトランジスタQ1とインバーテッドダーリントン接続のQ2、Q3で、Q2およびQ3のエミッタに抵抗が接続されている。

この回路は、電流比が極端に大きくとも、温度依存性の少ないカレントミラー回路が得られる。

アナログエンジニアのオリジナル回路で、個別部品で組む回路では実績がある。

Q1のエミッタ電流とほぼ同じ電流を、Q3のベース・エミッタ抵抗を適宜選択して、Q1とQ2のVBEを等しくする。

インバーテッドダーリントン側(Q2、Q3側)の方が10-100倍程度電流が大きいとき、この回路の特徴が良く発揮される。電流の大部分はQ3を流れ、自己加熱の影響も少なく、付加的な電圧降下も少ない。

この回路は2昔前に、必要があって工夫したものだが、個別部品回路としては温度影響も比較的少なく、かつQ3に大面積のトランジスタを要しない。

ニーズがあって、工夫が生まれる。目的があって発明が生まれる。工学は実現を目指す。

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2009年12月25日 (金)

電気自動車のインフラ

電気自動車は航続距離が問題だ。現在の目標は200kmと言われるが、実情は100km前後だと思う。そして、冷暖房を考えると、実用レベルはその7割程度と言う。仮に航続距離100kmとすれば、安心して乗れるのは隣町の隣町往復程度であろう。これでは、不安で一般の使い方はできない。

そこで、充電スタンドのインフラ整備の話が出ている自治体もある。しかし、ガソリンスタンドですら、少し遠出をするなら、残り航続距離が40kmになると、燃料補給を考えて行動することになる。相当高密度に充電ステーションを配置しなければ車としての普通の使い方はできないであろう。

そんなインフラ、このご時世で作る意味がないとアナログエンジニアは考える。

確かに、走るときにはCO2を出さないが、しかし、その電気エネルギーを作る段階:発電所でCO2を発生する。電気エネルギーがあれば、扱いやすい液体燃料は合成できるから、従来のインフラを活用すればよい。

それに加えて、資源の問題もある。直流モーターの効率を上げるためには、希少元素のネオジウムをかなり使う。電池にもさまざまな資源を使う。充電池は消耗品である。深い放電を行えばそれだけ負担が増える。電池にも資源の問題がある。電池は既に激しい反応を使っているので、何倍ものエネルギー密度を達成することは当面無理だろう。

電気自動車:次世代のエコカーにはならないのではないかとの疑念が生じる。少なくとも、自治体が国が整備するようなインフラではないだろうと思う。

今は不景気なので、急激に国家予算を縮減するわけにはいかないが、近い将来には科学技術予算も含めてブレークイーブンの収支に早急に持っていく必要があろう。

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2009年12月24日 (木)

設計者としての成功率

技術者集団には、目的の達成率=成功率の高い人と少ない人も混在する。残業の多い少ないなど関係ない。

あるグループリーダー的エンジニアは、自分の担当する仕事はほとんど成就しないとぼやいていた。その仕事ぶりをみると、事前検討をほとんどせず早期に作業に取り掛かる。試作品が出来上がった後の性能確認や種々の場面を想定した試験の着手が遅い。試験結果の評価が甘い。成功率が低いのは当然である。

このような先見性のないエンジニアでも課長級まではなんとか通用する。通用していた。サンプルは数人。本来このような人は係長級までに淘汰されるべきだろう。

アナログエンジニアはこのような失敗開発のしりぬぐいも多く手がている。それで、どこで失敗の芽が生じたか、それがどのように成長したかは普通の方より理解しているつもりだ。

一方、成功率の高いエンジニアは事前検討、調査がしっかりしており、各設計のフェーズに応じてマイルストンを設定し、微妙に方針を修正している。

プロジェクト運営は、事前検討、調査に基づく予測が重要だ。一番のネックとなる課題を避けて通るエンジニアは大成しないというのが実感である。

振り返って学会誌などの学術論文には、ニッチ=仔細な課題を扱った物や、当然予測される問題点に的確に対応していない論文が多数見受けられる。

エンジニアも研究者も、重要課題から先ににちゃんと取り組まないと良い結果は生まれない。政治もそうではないか。

研究者は過去例のないニッチを扱えば、論文になる。成果になる。こんな研究に国費を使う必要はない。ここまで書いてみると、科研費や独立法人の予算の査定経過はどうなっているのか気にかかる。

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2009年12月22日 (火)

温度センサ

温度センサはその特性が材料で決まるものが多い。しかも、測定原理は実に様々である。

殆どの材料物性は温度の影響を受けるから、いろいろな構成が可能になる、そのアナログ信号処理は必然的に多様になる。

工業用途においては、広い範囲の用途で温度計測に熱電対が使われる。異種金属の接合に温度差があるとぜーベック効果により微小な起電力(K:~4mV/100℃)が現れる。

熱電対は基本的に温度差に比例する原信号を発生するので、基準温度/基準温度計が必要である。信号レベルは高くないので高性能のDC増幅を必要とする。高温で使える品種もある。炉の温度を測る場合には十分な電気的絶縁ができず、商用電源ノイズがあるから、絶縁増幅器が使われることも多い。

熱電対は材料の組み合わせで決まるから、センサである熱電対を同種の物に交換しても、互換性がある。

狭い温度の測定では、白金測温抵抗体が使われる。通常0℃で100Ωに製作されていて、低抵抗の測定技術があればよいが、配線の寄生抵抗の影響を相殺する回路が備えられる。

サーミスタもよく使われる。計測用のサーミスタは、ガラスで保護されている。互換性のあるものも製作されている。

その他、温度センサは多種多様である。外観もまた保護管次第で大きく変わり、応答性も大きく変わる。

温度計測はセンサを交換してもほぼ正しい値を示すように作られているものが多種類存在することが一つの大きな特徴である。

センサの値付け(校正)は大変重要な問題で、経年的変化が大きいと定期的に校正する必要があり手間がかかる。

温度センサは選択肢の多い測定項目であるが、どの方法を用いるにせよ、環境に依存する経年変化のデーターが蓄積されていなければならない。

どのようなセンシング対象であっても構成手段と経年変化のデータの蓄積がなければセンサとはなりにくいのである。センサを構成する材料群がそのほとんどを支配する。

センサネットワークなどのシステム化が流行しているが、電源の問題、校正の問題、経年変化についての論議があまりにも少ないように、アナログエンジニアは感じている。

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2009年12月21日 (月)

アナログ回路基板のレイアウト

精密アナログ基板では、部品配置や給電線の布線などが性能にかなり影響する。

アナログエンジニアは、自動配線に頼らず自分でプリント基板のランド・ストリップを配置する方だ。自分で配線した方が安心できる。

多くの場合、レイアウトイメージのプリント基板用の回路図を作成してから、レイアウト作業に取り掛かる。精密アナログ基板は修理を前提に設計することが多いので、ランドは大きめ、ストリップは太く短くが基本である。プリアンプ系統の近傍に波形の汚いノイズ源が来ないようにも配慮する。

さらに、高電圧部(あれば)と微弱信号部を隔離する。距離を取れない場合はガードGNDパターンなどを配置する。発熱部とプリアンプの距離も考慮点だ。

これだけで、かなり静かなプリント基板が小さく出来上がるのだ。

手書きプリント基板レイアウトは、今ではあまりやらないと思うが労力を投入した分の効果はある。一番悩むのは、GNDパターンの配線方式である。スター結線が論理的には一番良いのだが、現実的ではない。梯形配線とセミスター結線位が現実的であろう。

プリント基板レイアウトはアナログ回路の最後の仕上げ段階でもある。

レイアウトがしっかりしていないと、最高の性能は得られない。それで、自分でレイアウトをコントロールするのだ。優先順位、指示事項など数え上げたら限がない。そもそも自分でレイアウトする中で、レイアウトの最適化作業をしているのだ。

その中で、何週間か自分の回路と冷徹に向き合う。

その成果として、美しい基板レイアウトが出来上がる。下手な学術論文よりはよほど情熱がこもっているのであるが・・・。

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2009年12月18日 (金)

アルミ電解コンデンサ

電源周りに必要なアルミ電解コンデンサは実に様々な品種がある。故障モードも短絡と開放がある。

使い方も細心の注意が必要な部品で、有寿命部品である。最近は品質が向上し、適切な使い方をすれば無交換で製品寿命をまっとうする。

小型のアルミ電解コンデンサでは、電解液のリークを考慮してアルミ電解コンデンサの端子間にパターンを通すことは避ける。逆電圧を掛けると、条件により破裂するので多くのコンデンサでは、破裂弁が設けられている。

充放電電流も無制限ではない。各種コンデンサの中では比較的許容電流が大きいが、それでも通常を超える高リップル、高周波を扱う時には電流定格を守る。

大型のアルミ電解コンデンサでは、使い方が悪ければまれに発火することもある。

スイッチング電源やストロボ用では、通常と異なる耐リップル性の高い品種が使われる。

それでもアナログエンジニアは電源系統にはアルミ電解コンデンサを使う。他に1000μF、数10V以上の耐圧を持つコンデンサが手に入らないからである。

数μFの小容量なら、現在は積層セラミックコンデンサで代替できる。

アルミ電解コンデンサは今でも無くてはならない部品であるが、量産品に使うとなるとメーカーを選び品種を選び、部品は位置に注意することになる。

必要悪か。

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2009年12月17日 (木)

パワー半導体

Photo ←枯れ遅れたドウダンツツジ。今週末辺りには散っているだろうな。

電子機器のパワー半導体はチップサイズが大きく、その動作により熱サイクルを受ける。

強固に銅合金とチップを接続すれば、接続部が熱応力で疲労破壊を起こす。

導電性接着剤でチップを接続(ダイボンディング)すれば、高熱に耐えないか、接着部の繰り返し変形により、そこが損傷する。

トランジスタのドレインあるいはコレクタはパワー半導体では放熱効率を確保するため銅合金にダイボンディングされるが、シリコンと銅合金の膨張係数差で大きな熱応力を受ける。

大きなチップほど厳しい。メーカーによるが現在のチップサイズは10mm□前後がクリティカルな大きさだろう。

昔は、パワートランジスタには寿命があるとして設計していた。ダイボンディング部が熱疲労により剥離し、熱抵抗が大きくなる現象だ。

強電用のウェハーサイズの素子は、高価な低膨張金属を使用して素子を挟みこみ、ウェハーを滑らせて熱応力を逃がす。

弱電用素子はそんな構造は取れないから、熱疲労の制約で多少の差はあってもチップサイズに上限がある。

プリント基板搭載でも熱応力は生じているが、巧みな端子設計などでこの問題を回避している。

異種材料の共存は常に熱応力との戦いになる。回路的にはパワー素子の並列運転で大容量化を目指す。

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2009年12月16日 (水)

非直線性の多項式近似

非直線性とは、入力に比例する出力を期待するセンサなどにおいて、原点(0%)と100%点を結ぶ直線からの最大の乖離の量である。

原点を調整した後、感度(1次式の勾配)を調整すると、干渉なく調整ができる。

非直線性の補正は、通常、X^nの形の多項式で近似するが、この方法だと、近似次数に依存して高次項の係数値が大きく変動し、かつ100%点と干渉する。

Xの変域を0-1として、2次の非直線性補正量をk2・X(X-1)とする。X(X-1)は両端0と1で0、0.5で最大値0.25をとる関数である。この関数を補正に用いると、0、1は不動点になる。

同様に3次までの補正を行うには、X(X-0.5)(X-1)の関数をつかう。

この関数は、0.213と0.787で極値をとり、この点でK3の値を調整すれば最良近似となる。

4次以上では、X(X-0.213)(X-0.5)(X-1)と5次X(X-0.213)(X-0.5)(X-0.787)(X-1)などで近似していく。

この方法の利点は、ゼロ、スパン(感度)、非直線性の調整が干渉せず、1回の校正で調整が終了するとともに、必要なデーター点数が少ないこと、高次項が安定で、近似次数によらず低次の次数から順次係数が定まっていくことである。

この方法をアナログエンジニアは実践で幾度か使用している。ルックアップテーブル方式と比較して、著しくデーター量が少なくて済む。

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2009年12月14日 (月)

ミラー容量

入力と反転増幅器の間に存在する容量をミラー容量という。反転増幅器の電圧利得をA、容量をCとすれば、見掛け上の容量がA倍に見える現象(ミラー効果)である。

バイポーラトランジスタのエミッタ接地の場合C-B間の接合容量Cobがミラー容量に相当する。ミラー効果は多くの場合、トランジスタ回路の高周波限界を定めるのでデータシートにはCobのみが記載されていることが多い。

CobはC-B間の接合容量なので、空乏層の広がりの逆数にほぼ比例する。階段接合なら電圧の平方根、傾斜接合なら立方根にほぼ比例する。したがって、高周波帯域はまず第一義的に扱う電圧が高く、かつ信号源インピーダンスが低いときに広がる。

多段負帰還増幅器の場合、発振しないためには位相回転が180°以下にしなければならない。集積回路ではコンデンサはもっとも面積が必要な要素であるから、電圧利得の高い場所に小さな容量を付加してミラー効果を最大限に利用する。

パワーFETなどでは、キャリア走行時間などの影響が顕著ではないので、インバータ回路ではドレイン・ゲート容量が効く。

個別部品で組む回路では、高速化の手段は低インピーダンス化と電源電圧上昇が安直な解になる。集積回路なら、電圧を下げても、トランジスタを極小化することで高速化できる。

アナログ回路設計では、トレードオフの連続である。欲張れば解がない。従って、目的・仕様に応じ最適化の戦略により特化した回路となりやすい。

多くの評価基準に照らし、バランス良く要求事項を満足させることが重要であろう。

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2009年12月11日 (金)

財政規律

来年度、実質的な国債残高は800兆円を超える。来年度予算では国債の発行高は40数兆円。50兆を超えるかもしれない。一方、歳入は40兆円を切る。

それでも、景気対策や科学技術振興と称して、膨大な金が投入されている。

財政収支を考えれば、今の予算案を1/2にするくらいの大ナタを振るわなければ、単年度でバランスは取れない。

一気に1/2にすれば経済は大混乱になるだろうから、時間を掛けて徐々に縮小していかなければならないだろう。負担するのは現役世代である。将来の子供たちである。

事業仕訳がそのきっかけになれば良いと思うのだが・・・。削減されることになった費目の関連団体からの巻き返しは激しいが、財政状況を踏まえた議論は非常に少ない。

大きい政府を目指しのか、効率的な小さい政府を目指すのかその所もはっきりしない。なんでも国に頼るそんな姿勢が染み付いているような気がする。各分野とも自助努力が足りない。無駄も多すぎる。

少子高齢化の進む中、福祉関連の予算は当面膨らみ続ける。この中で何をすれば長期的に成り立つシナリオを描けるのだろうか。

国債残高を考えた施策、それは日本の産業、大学の姿も変えるだろう。

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2009年12月10日 (木)

素性のわからない回路

変色した青焼の古い回路図。何箇所か定数変更の跡が残っている。関連するドキュメントは残っていない。そんな20年も前の回路をリニューアルしたことが幾度もある。

回路図を見ると、ところどころに目的のはっきりしない抵抗やコンデンサもある。こんなケースの再設計には細心の注意を払うべきだ。

流れた歳月のなかに、弱点や不安定性を改良した結果だからだ。生き延びた回路はそれなりの設計となっている。

こんなとき、アナログエンジニアは完全再設計か完全コピーを作る。中途半端なことはやらない。多くの場合、その時その時の最新の部品で再設計を行うことの方が多いかもしれない。

一番課題となるのは入力の詳細な条件の把握だ。自社製品であっても詳細な逆解析を行うことは当然である。これで、出力と調整箇所から、想定されている入力条件を知る。私は大抵の場合、ピンコンパチブルにして、性能向上を行いながら再設計する。過去の切り張り回路の最終形を見ても多くのことは判らない。リスクの存在が判るのみである。

腕の立つ方の作品ならまだしも、中程度以下の設計の物は特に難しい。自分ならこうするという設計の岐路での判断が違っているからだ。

リニューアル設計は、見た目以上に難しくしかも短期間に出来て当たり前。内容の割に評価の低い仕事だが、回路図の読解能力の鍛錬になる仕事である。

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2009年12月 9日 (水)

ゼロ信号は0V?

センサなどからの信号出力の原点を0Vとすると、センサ回路の電源断の時にもゼロ信号を出す。これでは、ゼロ信号の時センサ回路が生きているのか否かシステム的に判断はつかない。付けようがない。また、0Vあるいは0mAを確実に出すには、回路のダイナミックレンジは負方向に拡張しておく必要がある。

それで、産業用センサの信号出力はふつう4-20mAの+のオフセットを有する電流信号を用いている。ゼロが4mA,100%が20mAである。電流信号にするのは、配線が長くなっても、配線抵抗の影響を受けずに受信端を250Ωで終端すれば、1-5Vの電圧信号に変換できる。信号の極性がユニポーラなので受信計器のA/D変換器をバイポーラ化する必要がない。

電子回路を片極性で組むと、そのダイナミックレンジの下端である0がきちんと出しにくい。しかも、値付けの際、ゼロ信号と振り切れ状態が区別付かないので校正しにくい。ただし、回路的に工夫しないと、ゼロ校正と感度(100%点)の校正が干渉しやすくなる。

4-20mAの信号は小型のトランジスタで楽に扱える電流であり、エネルギーレベルもそこそこに大きいので、外来ノイズに比較的頑健である。オフセットが4mAあるので、低消費電力のセンサの信号処理なら、内部回路を4mA以下で動作させることができるので、センサによって駆動される2端子定電流回路構成にすることも可能である。

アナログエンジニアの出発点は工業計測である。その後、理化学機器は医用機器を経験している。工業計器で屋外で使われる機種の環境温度は少なくとも-20℃から+80℃の範囲をカバーする。長期的でなければ、-60℃から120℃に耐える。一方理化学機器は空調環境下で短期間精度が出れば良い。着目する時間は年単位と分単位である。どちらも、回路の温度係数・安定性から見れば同レベルの品質を必要とする。

精密アナログ回路は動いて当たり前、勝負どころの一つは温度依存性をどこまでコントロールできるかである。

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2009年12月 8日 (火)

設計技法とアナログ

巷には○○技法とかXXメソッドあるいは□□法などの設計技法がたくさんあるが、その多くは、こと、アナログ回路の最適化には不向きであると、アナログエンジニアは考えている。

XXメソッドは、線形計画法の1種で直交表(ラテン方格)を用いる。したがって、アナログ現象につきもののABCなどの交絡項は意識して配置しなければ評価の対象にならない。

振り返ってみると、アナログ回路の設計においては、まず回路構成を仮決めし、その関数形を解析し定数を定め、性能予測を行う。そのあと、課題の克服に向けて、戦略的に回路構成の改変を行う。もちろん、設計の場は制約付きの非線形問題である。

多くの設計技法はその限界を明らかにしない。適用効果はあり得ない実験回数と比較する。

アナログ回路は多変数問題である。しかし、多変数問題だからと言って統計的実験手法が効果的だと考える上層部がいたら、担当者には大変迷惑な話で、作業効率が落ちる。自衛上、少なくとも余分な実験を行い、XXメソッドでやったかのごとく報告書を作成することになる。

他の技法も似たり寄ったりの傾向をもつ。同じ技法で同じ課題に取り組んだらどうなるかを考えてみれば一目瞭然である。そこには、進歩、創造性など存在しないと思う。

それでも、巷には種々の設計技法がはびこり、末端のエンジニアの負担となっている。エセ技法に対する対処法を身につけておくのも工学者の素養の一つであるかもしれない。

解析できるところは解析し、腕力で検証するところは労力をいとわない。これが工学的アプローチの一側面であろう。

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2009年12月 7日 (月)

ソレノイドの外部磁場

ソレノイドコイルが形成する外部磁場の広がりは案外大きい。おおざっぱな表現をすると、ソレノイド全長と同程度の半径内は、ソレノイド磁場の影響を受ける。長軸方向には、ソレノイド径と同程度の広がりがある。

遮蔽されていないソレノイド状のコイルでは、磁場の変動を介し、結構広い範囲に磁気誘導により起電力を生じる。

磁場の軸方向の広がりは、ソレノイドコイルの交流電流を流し、同軸の種々の径のサーチコイルの起電力を測定することにより定量化できる。サーチコイルをソレノイド中央に配置すれば、幾何学的対称性から磁束は長軸に平行になるので、磁束密度分布も簡単なデータ処理で定量化できる。

棒状コアに巻いたコイルでは、磁場が広がるので、周囲の部品や配線に誘導電流が流れ、ノイズや望まない信号の混入が生じる。

スイッチング電源やDC-DCコンバータで閉磁路のチョークコイルにトロイダルコアやEIコアを使用するのは、高密度実装した時に、不要な結合を回避するためである。

なお、1kHz程度の周波数でも、渦電流の浸透厚さは1-2mm位であるから、導電体で遮蔽することは簡単にできる。この場合には、コイルはQが低下しインダクタンス値は下がる。

磁性体で遮蔽するなら、その磁性体が磁気飽和しないだけの磁束密度以下になるような断面積が必要である。この場合には、磁気抵抗が低下するのでインダクタンス値は上がる。

外部導体あるいは外部磁性体の影響を受けインダクタンス値が変化するので、当然、この現象を利用した近接センサが実用化されている。

開磁路をもつコイルを使用するときには、その磁場の広がりを意識して部品は位置する必要がある。

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2009年12月 3日 (木)

電子機器のブラックボックス化

理科離れと電子機器のブラックボックス化の進行とは無縁でないとアナログエンジニアは考えている。

その中で、アナログ電子回路設計は、相対的にブラックボックス化のレベルが低いと考えている。その機能と原理が比較的単純な入出力関係で表せるためである。その分、中身が良く見えるが、今や同じ社内でも、アナログ回路をブラックボックスとして考える設計グループとそうでないグループ(人)に分極化しているようだ。

デジタル回路は、入出力キー(SW)を節約するために、何段階かのシーケンス的な操作を経由して初めて目的の機能を設定できるようになっているものが多い。

原理から考えて物を作れる人が少数派になってしまった。

しかし、物つくりは、原理から考えないと、その利点や限界も判らない。

ブラックボックス化のレベルが大きくなるにつれ、修理部品の単位が大きくなり故障部位の切り分けもおおざっぱになってきているように思える。

大学に入る以前の理科的原体験を心にとめている方もそう多くはない。刃物を用いた工作をすることも少なくなった。空気の流れ、材料の壊れ方、電気の流れ等々体験する機会が少ない。

いつの間にか、多くの物をブラックボックスとして扱うことに慣れてしまった。こういう操作をこの手順でやればこのような動作をするよ。の類のノウハウがまかり通っている。

高級な機材ほどブラックボックス化のレベルは高い。簡単な実験装置を用いての理科教育が必要なのではなかろうか。金はかからないが、教える方の力量が問われる。かくして理科教師の不足と相成る。

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2009年12月 2日 (水)

とあるセンサ構造

3個のセンサを空間的に配置すると、ゼロ点や感度に温度影響があるセンサを用いても、センサの空間的広がりに比べかなり狭い領域で位置の検出ができる。

センサA、Bを両端に配置し、中央にセンサCを配置する。

信号処理はX=C-(A+B)/2とする。

たとえば物体の影が移動する場合、センサAが暗、センサBが明とすれば、Xが0出力となるのはCがセンサAとセンサBの平均出力であるから、エッジを検出できることになる。

A、B、Cが全暗でも全明でもXはほぼ0となるので、およそ(A+B)/2と-(A+B)/2の間でXのゼロクロス点を検出すればよい。

このような方法によれば、センサのオフセット、感度の温度変化に強い位置検出が可能である。

ゼロクロス点は、センサの揃いを仮定すれば、センサの感度の温度変化、ゼロ点の温度変化の影響を受けない。

センサ単体の空間的広がりの1/100程度までの空間分解能が得られるだろう。

アナログエンジニアはこの方法で、光学的端面の検出やレベルSWを構成し、実用化した。

ラプラシアン演算に近い手法であるが、センサシステムとして位置検出に使ったことに特徴がある。

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2009年12月 1日 (火)

アナログオシロスコープ

いまはデジタルオシロスコープ全盛である。

アナログオシロスコープはもう国産品は市販されていないらしい。(追記:少なくとも岩通とテクシオ:旧ケンウッドの物がまだあります。一部海外生産ですが、アナログオシロ用ブラウン管を内製しているメーカーもあるようです。)

それでも、アナログエンジニアは主にアナログオシロスコープを愛用している。

理由はいくつかある。

アナログオシロスコープは波形の細部まで見える。種々工夫ししっかり観測すると1/1000より細かい波形を観測できる。11bitから12bit分解能が得られる。デジタルオシロは8bit分解能だ。サンプリングしていないのでナイキスト制限によるアーチファクトがない。

アナログオシロは輝線の輝度を上げれば、スパイク性の波形も見逃すことはない。

ベースラインのノイズが少なく、ノイズと波形を混同することもない。デジタルオシロの多くは±1LSBは常時変動しているので微小発振を見逃しやすい。

操作方法もアナログオシロではほぼ統一されているが、デジタルオシロでは必ずしも同じではなく機種依存性がある。

問題は記録性であるが、周期性の現象なら今はデジタルカメラで撮影することで記録をアナログオシロも簡単に残せる。

このような理由から、アナログ回路開発にはアナログオシロ、それも帯域が必要十分な物が好適である。帯域を欲張らなければ、低価格品の方が良好な電圧軸S/Nを有する。それに対して、デジタルオシロは広帯域のアンプを使い、フラッシュA/Dで高速サンプリングするからアナログオシロよりS/Nは一般的に悪い。

かくして、アナログ回路開発にはアナログオシロスコープが必須だと私は今も考えている。

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