素性のわからない回路
変色した青焼の古い回路図。何箇所か定数変更の跡が残っている。関連するドキュメントは残っていない。そんな20年も前の回路をリニューアルしたことが幾度もある。
回路図を見ると、ところどころに目的のはっきりしない抵抗やコンデンサもある。こんなケースの再設計には細心の注意を払うべきだ。
流れた歳月のなかに、弱点や不安定性を改良した結果だからだ。生き延びた回路はそれなりの設計となっている。
こんなとき、アナログエンジニアは完全再設計か完全コピーを作る。中途半端なことはやらない。多くの場合、その時その時の最新の部品で再設計を行うことの方が多いかもしれない。
一番課題となるのは入力の詳細な条件の把握だ。自社製品であっても詳細な逆解析を行うことは当然である。これで、出力と調整箇所から、想定されている入力条件を知る。私は大抵の場合、ピンコンパチブルにして、性能向上を行いながら再設計する。過去の切り張り回路の最終形を見ても多くのことは判らない。リスクの存在が判るのみである。
腕の立つ方の作品ならまだしも、中程度以下の設計の物は特に難しい。自分ならこうするという設計の岐路での判断が違っているからだ。
リニューアル設計は、見た目以上に難しくしかも短期間に出来て当たり前。内容の割に評価の低い仕事だが、回路図の読解能力の鍛錬になる仕事である。
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