設計技法とアナログ
巷には○○技法とかXXメソッドあるいは□□法などの設計技法がたくさんあるが、その多くは、こと、アナログ回路の最適化には不向きであると、アナログエンジニアは考えている。
XXメソッドは、線形計画法の1種で直交表(ラテン方格)を用いる。したがって、アナログ現象につきもののABCなどの交絡項は意識して配置しなければ評価の対象にならない。
振り返ってみると、アナログ回路の設計においては、まず回路構成を仮決めし、その関数形を解析し定数を定め、性能予測を行う。そのあと、課題の克服に向けて、戦略的に回路構成の改変を行う。もちろん、設計の場は制約付きの非線形問題である。
多くの設計技法はその限界を明らかにしない。適用効果はあり得ない実験回数と比較する。
アナログ回路は多変数問題である。しかし、多変数問題だからと言って統計的実験手法が効果的だと考える上層部がいたら、担当者には大変迷惑な話で、作業効率が落ちる。自衛上、少なくとも余分な実験を行い、XXメソッドでやったかのごとく報告書を作成することになる。
他の技法も似たり寄ったりの傾向をもつ。同じ技法で同じ課題に取り組んだらどうなるかを考えてみれば一目瞭然である。そこには、進歩、創造性など存在しないと思う。
それでも、巷には種々の設計技法がはびこり、末端のエンジニアの負担となっている。エセ技法に対する対処法を身につけておくのも工学者の素養の一つであるかもしれない。
解析できるところは解析し、腕力で検証するところは労力をいとわない。これが工学的アプローチの一側面であろう。
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