ミラー容量
入力と反転増幅器の間に存在する容量をミラー容量という。反転増幅器の電圧利得をA、容量をCとすれば、見掛け上の容量がA倍に見える現象(ミラー効果)である。
バイポーラトランジスタのエミッタ接地の場合C-B間の接合容量Cobがミラー容量に相当する。ミラー効果は多くの場合、トランジスタ回路の高周波限界を定めるのでデータシートにはCobのみが記載されていることが多い。
CobはC-B間の接合容量なので、空乏層の広がりの逆数にほぼ比例する。階段接合なら電圧の平方根、傾斜接合なら立方根にほぼ比例する。したがって、高周波帯域はまず第一義的に扱う電圧が高く、かつ信号源インピーダンスが低いときに広がる。
多段負帰還増幅器の場合、発振しないためには位相回転が180°以下にしなければならない。集積回路ではコンデンサはもっとも面積が必要な要素であるから、電圧利得の高い場所に小さな容量を付加してミラー効果を最大限に利用する。
パワーFETなどでは、キャリア走行時間などの影響が顕著ではないので、インバータ回路ではドレイン・ゲート容量が効く。
個別部品で組む回路では、高速化の手段は低インピーダンス化と電源電圧上昇が安直な解になる。集積回路なら、電圧を下げても、トランジスタを極小化することで高速化できる。
アナログ回路設計では、トレードオフの連続である。欲張れば解がない。従って、目的・仕様に応じ最適化の戦略により特化した回路となりやすい。
多くの評価基準に照らし、バランス良く要求事項を満足させることが重要であろう。
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