電池の内部抵抗
電池の内部抵抗の測定は難しい。難しいというより安定に再現性のよい測定ができた試しがアナログエンジニアにはない。
たとえば、アルカリ乾電池なら、購入状態で無負荷では1.5V以上あるが、数秒1A程度の電流を流した直後の無負荷電圧は0.1V近く下がる。そして、数時間かけて無負荷電圧は回復していくが、完全には基に戻らない。
最近の電池は大電流を流しても、電池端子電圧はあまり下がらない。内部抵抗が小さいのだ。端子電圧は過去の電流履歴を持つとともに温度依存性もある。
アルカリ電池で無負荷電圧が1.45Vくらいまで下がると、電池残容量が相当低下しているので交換時である。この場合は、電流を流すとガクッと電圧が下がる。
このような事情があるとともに、電池の内部抵抗は0.5Ωもない場合がほとんどであるから、ちょっとした接続部の電圧降下も無視できない。
私は、電池の内部抵抗を有効数字1桁で測れた経験はない。電池の内部抵抗は定数ではないのだ。
しかし、物理の問題にはしばしば電池の内部抵抗を求める問題が出る。今年のセンター試験 物理Ⅰ 問3B問題もそうだ。
電池の内部抵抗は電気化学的な現象も生じるので、そもそも電池の内部抵抗と称する固定値が存在することも怪しい。
すべての種類の電池を試したわけではないが、実際の電池の電圧・電流特性の測定経験がある人間なら、電池の内部抵抗を求める問題は出題しないだろう。
充電池なら、満充電近くになると端子電圧が上昇する。多くの充電器はこの現象を利用して充電終了を検知している。満充電にしたのち、、しばらく放置すると、結構な時間際充電することが多い。自然放電量に比べ、はるかに長い時間再充電できるのだ。
私なら、「電池」という言葉は使わず、理想的な(あるいは内部抵抗0の)電圧源という言葉を使いたい。それが実学というものだ。
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