センサに必要な性質
センサを作る側から見たセンサに必要な性質はいくつかある。
第一は再現性:同じ環境下、条件下で同じ出力が得られること。これが劣悪だとセンサにならない。
第二は単調増加性:センシング対象量の増加に応じ出力が増加すること。
第三は経時安定性:時間とともにセンサ出力が変化すると校正を頻繁に行わなくてはならない。劣化するものであれば使用寿命を決める。
第4はヒステリシスが少ないこと:過去のセンサ出力の履歴が現在の出力に影響することが少ないこと。
第5は入出力関係が単純なこと:複雑だと被測定量と正確に対応させることが難しくなり、校正点数が増える。
第6は選択性:被測定量以外の環境変化に対する感度が鈍いこと。選択性が乏しいときには、応答スペクトルの異なるセンサを組み合わせて選択性を向上させることはできるが意外に厄介である。温度係数などは補償技法が確立されているのでコストとの兼ね合いになる。
第7は耐環境性:これはセンサ本体だけでは決まらない。センサの容器も関連してくるが、温度や湿度に弱いと扱いが難しくなる。
センサの製作は今やプロセス産業的であり、多くのセンサでは設備産業化している。
しかし、センサなしに自動化による利便性は得られない。自然界の状態量は電気的信号だけではないので、特殊な材料や構造を用いて電気信号に変換する。
アナログエンジニアはセンサの性質、原理にも熟知しておく必要がある。なぜなら、アナログ原信号の大半はセンサ由来のものだからである。
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測定機器メーカで、長年センサーの開発・製造にたずさわってきた者です。
センサーに必要な7つの条件、まったくそのとおりです。
機器メーカでは 開発製品に、当初期待した性能が出ないばあい、たいてい、センサーが悪いと言われる。
センサーは構造上、手直し・修理がきかないことが多く、歩留まり100%はあり得ない。
部品のアッセンブリーしか経験したことがない上司、同僚たちから、目の敵にされやすい。
センサー作りには、大きな忍耐力が必要であると思っています。
投稿: たけむら | 2010年1月21日 (木) 15時31分
たけむら さん おはようございます。
センサで歩留まり100%はありませんね。歩留まり100%を前提にした生産システムでは事務処理が大変です。
センサや精密アナログ回路は職種として、上層部の理解がないと苦しいですね。
投稿: 5513 | 2010年1月22日 (金) 08時29分