リコール
最近、相次いで大規模リコールが報道されている。リコールまでいかなくとも販売中断が報道されているケースもある。
車関連ではF社の車速制御の発火、T社はアクセルペダル関連で大規模リコール、その前にフロアマットの不具合、家庭用機器ではP社のカーペットヒーター、N社の携帯のソフト不良など多数。少し前にさかのぼればM社のリコール隠しなどもある。
T社の場合、リコールと販売停止が同時に行われている車種もある。リコール発表時に対策が公表されないのは珍しい。
アナログエンジニアは改修発表前に、少数トラブル事例に対して全社を挙げてその原因究明を行い、危険度を評価するとともに対応策を早急に取りまとめるのが普通のやり方と思っていた。
使用材料からみの不具合や、マイコン・ソフトを含む装置の対応は難しい。どちらもすべての装置に不具合が発生するとは限らないし、間欠性で再現性に乏しい不具合が多いからである。
しかも、拙速な対応は傷口を広げる可能性もある。
当然、それなりの信頼性試験をやっているだろうが、この不景気の中、求められるスピードで新製品を出すためには加速試験とタンパー試験に頼らざるを得ない。
しかし、加速試験の故障モードと実時間での故障モードが一致するとは限らない。ここが信頼性試験の難しい部分でもあろう。
電子回路部品では、アルミ電解コンデンサの電解液を新しい材料に変更したとき、各社ともフィールドでは短寿命となり大騒ぎになったこともある。
大量生産品では、その出荷台数に応じて信頼性を高めなければならないが、様々な環境、ストレス下での実使用信頼性を確保するにはサンプル数と時間がかかる。
設計者の立場でいえば、電子回路屋であってもたとえばメカの強度、耐腐食性、ソフトの基本を知らなければ、信頼性を作り込むことができないのだ。
研究と物つくりはこの意味で大きく異なる。設計責任者は基本的に無限責任なのである。
なお、本稿は限られた経験しか有しない一介の開発設計者の私見に過ぎません。
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