シュミットトリガの解析2
前日の続き。回路図は文末に再掲しておきます。
③の点はQ2がONのとき、Q1とQ2が能動状態になる条件で、a点電圧VAとb点電圧のVBがVBE=約0.6Vに等しくなる条件です。Q1電流をI1として式をたてると
VA+VBE2=VB
VA=R2I1+R2(Vcc-VB-VBE2)/R5
VB=(Vcc-R1I1)×R4/(R3+R4)
④の点は入力電圧が減少するときの遷移点でQ1がON、Q2がOFFの状態でb点電圧が約0.6Vになる点です。
VA=R1I1
VB=VA+0.6
VB=(Vcc-R1I1)R4/(R3+R4)
でともに連立方程式になります。
R1>>R3、R4(10倍程度)とすれば、より見通しの良い式が得られます。
設計戦略としては、①の点がR1とR2で決まること、正帰還の強さ=ヒステリシス幅がおもにR3とR4の比で決まることを利用し、与えられた条件を満たすように繰り返し計算で抵抗定数を求めていくのが早道です。回路シミュレータを使えば簡単に求まります。
アナログエンジニアはこの回路の解析を4回行い、その都度設計式の精度を高めてきました。こんな古典的な回路は論文種にならないので、大学の教科書では不正確な式が記載されていることがあります。
この回路の類似形は論理回路のTTLロジックのシュミットトリガにも使われています。
抵抗の数が多いので解析量が意外に多い回路で、正帰還が掛っていますので特徴点で生じている現象も把握が難しくなります。
なお、入力が高いとき、Q1のB-E間がダイオード負荷として働くので、Vcc/R2程度の大きな電流を入力から吸い込みます。図の定数では30mA近くです。この対策には入力とQ1ベース間に適当な抵抗R6を挿入して抑制することができます。
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