ホイスカ
ホイスカ(猫ひげ、whisker)は電気部品では、亜鉛や錫のメッキ面などから成長する細くて丈夫な金属線である。
条件が揃うとmmオーダーまで成長するが、基本的に単結晶なので強度があり、薄い絶縁物を貫通する例もある。その際の故障モードは短絡モードでおそらく数mAでは溶断しない。
35μmのアルミワイアでは約500mAに短時間耐えるので、ホイスカによる短絡の後に開放となるにはそれ相応の電流が流れる必要がある。
ホイスカの成長はメッキ条件、鉛の含有、メッキ後の熱処理によってほぼ防止できるが、最近では鉛フリー化と基板パターンの微細化、低電流化に伴い、再び発生例が生じている模様だ。
ホイスカは極めて細いので、通常は横方向から強い光を当てないと、肉眼では確認できない。
また、基板を拭うとホイスカの断片が基板上を移動する。移動した断片がパターンを短絡することもあり得る。
アナログエンジニアは過去2回ホイスカを見ている。
見えない短絡要因、ホイスカによる短絡はそのつもりで見ないと確認できないので、故障した電気部品、基板の取り扱いが悪ければ散逸してしまう。
最近の基板はモジュール交換を前提にしているが、回収した部品の故障部位、故障原因まで追究している例は少ないのではないか?
このレベルの故障解析は、信頼性確保のための基本動作であるが量産品でも、いや量産品では特に闇に葬られているのではないか。
実時間、実使用下でのデーターは貴重で技術の源泉でもある。日本が誇る信頼性技術は大丈夫なのだろうか。
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