センサは複合技術
センサには特定の物理現象が強くでる材料あるいは物性をもつ材料が多く使われる。物理現象は温度に依存するのが普通で、環境温度に対し鈍感な、あるいは鈍感になるような工夫を施す。温度に殆ど依存しない材料はあまり多くなく、恒弾性材料、ゼロ膨張係数材料・・・などが知られている。
センサは宙に浮いて使う訳ではなく、必ずどこかに固定しなければならない。そこには異種材料との組み合わせがあり、膨張係数差に起因する熱ひずみにより影響を受ける。
センサには受動センサとアクティブセンサがある。センサを活性化させるには励起を行わなければならない。ここにも多くの工夫がある。
種々の名前のセンサがあるが、多くのセンサは構造を工夫して基本的な量を測っている。
たとえば、光センサは、周期的な白黒パターンの移動を検知するようにすれば位置の計測ができる。投光器による反射光の変動を利用すれば移動体の検知、センサを2次元的に配置すれば撮像素子となりレンズと組み合わせて画像センサとなる。投光器とセンサを離しておけば光ビームによる侵入警戒センサとなる。
センサ自体でセンシングエリアが決まることもあるが、多くのセンサではフィルタや変調技術、時間軸方向の演算などの信号処理を経由してセンシング信号になる。
過酷な環境の圧力センサでは、センサ材料に直接圧力を掛けることはできないから、耐食材料の弾性体と油で圧力を伝達する。
MEMSなどでは、相対的に大きい寸法比を利用することにより成立するセンサもある。
センサ材料の探索、加工プロセス技術、機械的構造、アナログ信号処理、デジタル信号処理などの総合力で初めてセンサとして成立する。
センサは複合技術であり、人知を凝縮したひとつのシステムと言えるのではないか。
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コメント
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こんばんわ5513さん
つい最近にセンサは人知を凝縮したひとつのシステムという事を痛感しました。
あるセンサの採用をはじめ電気屋、制御屋で検討していたが、FTAなどでうまく事象を想像できない、つまり物性的要因、工程の影響など色々な要素を知らなければならず、結局は現場の技術者が一番知っていたという事がありました。
もしかすると今後のエレクトロニクス系技術者はオールマイティ人材又は、業務を現状より細分化して進めるとかになるのでしょうか?
この時代で開発効率が下がる方向には厳しいから、個人がコツコツ勉強するしかないと私は考えます。
投稿: 入門者にゅーきち | 2010年2月17日 (水) 21時38分
入門者にゅーきちさん おはようございます。
センサを使う立場からは、センサの性能・信頼性・故障モードなど検証するのは大変ですね。
今後のエレクトロニクスは、集積回路の発達によりますますブラックボックス化が進行すると思いますが、その分、関連分野が広がります。
すべての分野で専門家にはなれませんが、関連分野で専門用語で議論できるところまでは自己研鑽したいものです。
投稿: 5513 | 2010年2月18日 (木) 07時14分