SW電源波形
標準的な回生巻き線付きフォワードコンバータの電圧波形を考察する。
主SWのドレイン電圧波形はOFF直後、電源電圧の2倍強まで上昇する。励磁電流を回生巻き線により回収しているので、その時の電圧が電源電圧に加算される。この期間は回生動作が行われている時間継続する。
ついで、電源電圧の2倍強の電圧上で前縁に減衰振動波形が普通生じる。寄生インダクタンスと寄生容量の共振であり、パルストランスの結合係数が1未満(たとえば0.995)であるので、ドレインに直列に小さなインダクタンスが入る。スナバである程度軽減できる。
回生時間が終了すると、なだらかに電源電圧まで戻る。このとき回路はハイインピーダンスになっているので、D-S間容量の影響を受けている。
オン期間のオン電圧は、FETのオン抵抗と電流値で決まるので、わずかに右上がりである。
電流波形はもっと直接的で、オン直後からほぼ線形に電流が増え、オン期間終了後は回生電流が線形に減少しする。オン直後は励磁電流+出力電流の1次側換算値の和となる。
電流波形もふつうスパイクが前縁に発生する。これも寄生容量の影響だ。
立ち上がり時間はSW速度を反映する。
どこまでの波形を測定者が特徴点として把握するかは、測定者の技量に依存する。アナログエンジニアは意味のないSW波形はないと考えている。波形をスケッチさせれば、初学者がどのように波形を認識しているか一目瞭然である。
電圧波形を観測するだけでも、慣れてくればトランスのでき具合や寄生素子の大きさまである程度把握できるが、実装の影響もかなりある。
寄生容量と寄生インダクタンスを考慮して回路シミュレーション波形と比較すれば大まかな寄生素子の位置とその大きさを推定できる。
動作原理を良く理解して、寄生素子の影響まで考えることが良い設計に繋がる。しかし、設計の優先度は相反する1-2次間容量とトランスの結合率を勘案して、パルストランスの巻き線構造を工夫する。
絶縁型DC-DCコンバータは非絶縁のDC-DCコンバータに比べその設計はより複雑になる。
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