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  • 共著:「次世代センサハンドブック」培風館(2008)、「マイクロセンサ工学」技術評論社(2009.8)
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    アナログ電子回路設計入門 (1994.12)、コロナ社: 実践アナログ回路設計・解析入門 (2005.1)、日刊工業: オペアンプ基礎回路再入門 (2005.7)、日刊工業: ダイオード・トランジスタ回路入門 (2005.12)、日刊工業: スイッチングコンバータ回路入門 (2006.9)、日刊工業: これならわかるアナログ電子回路基礎技術 (2007.6)

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  • 電源を含む精密アナログ電子回路の設計・開発、およびその教育、技術指導。センサ・アクチュエータシステムの構築。電子機器の不良解析指導および再発防止指導。解析主導型設計の推進と回路シミュレータの実践的活用指導。技術的側面からのプロジェクト管理指導。

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2010年3月

2010年3月31日 (水)

センサ材料

センサは多くの特殊材料で構成されている。特定の物理現象を強く発揮させる材料や、その材料を支持する構造材なども含まれる。

異種材料の組み合わせとなると、当然、膨張係数差に伴う熱変形・熱応力が発生する。同時に、熱変形や別の物理現象の発生、極端な場合にはセンサのヒステリシスや材料の接合部での疲労破壊もあり得る。

電気信号を出力するセンサの場合には、絶縁物と導体が共存するので熱変形/熱膨張差の課題は大きい。

シリコン単結晶は理想的な弾性体に近いが、4(ppm/℃、以下省略)前後の線膨張率をもつ。これに近い膨張率のガラス材で、シリコンセンサ本体を支持するが、最終的に金属材料を介して容器に固定する。このときに必要になるのが、少なくともチップ面ではほぼ同一の金属材料を使うことになる。

センサでは異種材料の組み合わせに伴う熱変形/熱応力の課題ははほぼ必然的である。この解決の仕方には種々あるが、その組み合わせによりセンサ本来の特性が変調されて観測される。

シリコンMEMSでは、角部を等方エッチングによって応力集中を回避するがこの工程を記載した書籍は少ない。

実際に手を汚している人間にしか分からない課題はほかにも数多くある。その課題を承知しつつ、センサの能力を発揮させる技術は陰でセンサ技術を支える。

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2010年3月30日 (火)

劣化の進行

電子部品も劣化する要因が種々存在する。現在では、国産部品の信頼性レベルが向上したので、電子回路の死にざまを見る機会はかなり少ない。

アナログエンジニアはまだ部品の信頼性が十分でなかった1960年代後半から回路を作っているので、種々の部品の種種の故障モードに遭遇してきた。

当時の電子回路における有寿命部品の代表格はアルミ電解コンデンサであった。液漏れによる容量抜け、部分加熱による短寿命、漏液によるパターンの短絡などが生じた。近年でも、業界人なら多くの人が知っているが、電解液変更(3級アンモニウム塩→4級アンモニウム塩)による短寿命の問題があった。おそらく加速試験で想定したモードと異なる劣化モードがあったと考えている。

パワートランジスタのダイボンディング部の熱応力による疲労破壊もまだポテンシャルとしては残っているであろう。

固体絶縁部の劣化モードは主に部分放電による絶縁物の浸食も一つの要因である。これはばらつきの非常に大きな、かつ重大故障に繋がる故障モードであるが、作り込みは案外難しい。電子回路の場合、形状が複雑であるので、電界強度の正確な把握が難しい。

電子回路メーカーでは、加速信頼性試験を基に部品を選定しフィールドでの実績を基に、各社毎に部品メーカーを通常複数選んでいる。

電子部品の定格(電圧、電流、電力)を過渡的にも設計的に守ることは当然であるが、電子回路の普及には様々なな部品メーカの技術情報提供によって、高信頼設計が成立しているのである。そして、加速試験は万能ではないと感じている。

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022←ボタンの芽

2010年3月29日 (月)

ドライブレコーダー

一連の車の急加速問題には、少なくとも運転者の誤操作が含まれているようだ。

記録が残っていれば、この種の問題はかなり状況を把握し問題の所在を含めクリアにできる。不毛な水掛け論を回避することも可能だろう。

最近の車はCPU搭載の電子制御システムだから、センサ(アクセル・ブレーキのペダルの位置)などやアクチュエータ(スロットル)の開度などの記録を異常があったときにのみ記録するシステムを搭載すれば、ユーザー・メーカーともにハッピーになるのではないか。

不揮発メモリが安価になった現在、電子制御システムに使うセンサ・アクチュエータの情報をタイムスタンプとともに残せばよいのだ。風評被害や悪意の不再現クレームへの対応を費用を考えれば、コスト的にも引き合う時代と環境が揃ってきていると思う。

振り返ってみれば、産業機器のシステムではあちらこちら記録計でセンサやアクチュエータの挙動が間接的な場合もあるが記録されていることが多いので、状況解析・再現試験が容易となる。データーを取得する解析装置や分析装置の場合には記録が残る。アナログエンジニアは何度も残された記録に助けられた。

不再現トラブルは、エンジニアにとって厄介な課題であるが、旅客機のフライトレコーダーいわゆるブラックボックスの簡易版を電子制御の車に乗せることは今や必要な時代になってきているとアナログエンジニアは考える。

一部の車種にはすでにドライブレコーダーに近い機能が搭載されているとの報道もある。

記録が残っていれば、はるかに少ない手間で異常と称する事象への対応、対策が可能である。

プライバシーの問題は多少残るが、エンジニアリングの高度化のためにも、是非、ドライブレコーダーの搭載を今後進めて頂きたいと考える。

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2010年3月26日 (金)

電源コンデンサ

電子回路の電源は殆どコンデンサ入力形である。突入電流のピークの大きさの最大値は、元電源のインピーダンスで決まる。突入電流の値は、数10W程度出力のトランス絶縁+整流ダイオード+コンデンサの回路形式でも、簡単に商用電源から数10Aの突入電流が流れる。

スイッチング電源では商用電源を直接整流するので、コンデンサ入力の整流平滑回路のみだと、突入電流が大きすぎる。このためAC100V系に大きく影響を与えてしまう。このため、最近のスイッチング電源では、突入電流抑制と高調波電流抑制の目的で主スイッチ回路の手前で、電流波形制御回路が付加されているものも多い。

単相AC100V+整流平滑回路では、突入電流抑制のためコンデンサと直列に抵抗を挿入し、突入電流を1次側換算で数10Aになるよう抵抗を挿入する。コンデンサの容量が大きければ、突入電流の継続時間は大きくなる。コンデンサに直列になるように挿入した抵抗での損失を無視できないので、時間経過後抵抗を半導体で短絡させることもあり、この場合には、抵抗の短絡のタイミングで再度突入電流が流れる。

数100W級のトランスでは内部抵抗が少ないので、突入電流の抑制は重要な課題となる。また、突入電流が大きいと整流器やコンデンサの負担も大きくなる。

チョークインプット整流回路では、軽負荷起動時のオーバーシュートの課題があり、単純には適用できない。

正弦波交流を整流すると、実効値のルート2倍(1.4倍)の電圧がでるような条件は、突入電流の課題を考えると実務的にはなかなか実現できないのである。

しかも、コンデンサ入力整流回路の出力電圧は、途中に抵抗分を考慮すると単純には解析的に解くことができない。

ダイオード整流回路で、電源インピーダンスを含めた等価回路のイメージなくして実用的なコンデンサインプット整流回路の設計はできないのである。そこでこの手の回路では、様々な手法で突入電流の制御をおこなう結果、ピーク検波とみなすことなく設計することになる。

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だから、実務書では最初の方で整流平滑回路を説明しにくいのだ。

2010年3月24日 (水)

仕事では泣いたことはないが

アナログエンジニアは仕事で泣いたことはないが、人情にはかなり涙もろい。

仕事では、第3者の目で冷静に先読みできる。問題点・課題の整理、最優先でなすべきことや、そのバックアップ/代案を並行して探索し、近未来を予測し、ゴールまでの筋道を明確に描く。

仕事ぶりは繊細な方だが、時には大胆に方針変更もする。

電子回路は目に見えないだけに、心で回路を辿る。意識的に回路の「その場所」にスポットを当てない限り、回路の動きは判らない。回路のどこを見るかは、回路屋さんの腕と経験に依存し、各自が持つ感性に依存することが大きいと考える。

どの職業にも適性というものがある。アナログ屋に必要なものは、まず鋭い感性だと思う。そして、その感性を正確にするための自己訓練。もちろん、関連分野を網羅するように努力することも必要だ。

自分流のアナログエンジニア感だが、仕事ではますます読みと創造ができるようになり、今も回路への情熱は存在している。しかし、自分は人情にはその分涙もろくなってきているようだ。大人げないかも知れないが、現状は現状。

数日更新が滞ったけど、それは涙の所為?

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2010年3月19日 (金)

試験監督

アナログエンジニアにも企業内で学生相手の仕事をやっていた時期がある。総仕上げ/評価は試験かレポート。

試験監督の際には、「質問があれば手を上げること」と説明した後に、最後部に座る。

最後部なら、受験生からは監督者の様子は振り向かない限り見えないので、振り向くなどの挙動をしない限り判らない。監督者は、時々位置を変える。靴は殆ど音のしない運動靴。

この方法なら、監督者は全時間、受験生を見渡している必要性は少ない。

それでも、カンニングペーパーを持ち込んだ不届き者がいたことがある。カンニングは摘発するより、させない施策が肝要だ。されてしまうと後始末が大変である。そんなときには、問題のありそうな学生の近くを重点的に監視して、あからさまにメモを取り出せない態勢をとる。

自分の試験問題なら、自筆のメモ(A5程度)の持ち込みを可とし、暗記しても意味のない応用問題を出すのも一つの方法である。もちろんメモは回収する。多くは、1mm強の細かい字でぎっしり教科書の要約が書かれているものが多い。メモを作る過程で一通りの勉強はしてくれる。

レポート提出の評価は案外難しい。オリジナルがあって、それを翻案したと思われるものが複数出現する。オリジナルに比べ、コピーは内容が希薄になる。もっともオリジナルのものであっても、本人が考えたものとは限らないリスクがある。

今も昔も学生対先生の駆け引きは続く。

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2010年3月18日 (木)

無安定マルチのベース波形

002 ←赤花のクリスマスローズ、まだまだ咲いている。

2石無安定マルチバイブレータのベース波形はしばしば初心者の実験で観察対象とされる。しかし、注目されるのはOFF期間の波形である。ON期間の前縁にベース・エミッタ電圧の数10mVの上昇に注目されることは少ないと思う。

OFF側は、コレクタ電位の下降振幅≒電源電圧Vcc相当の負値である。この状態でトランジスタは遮断しているので、ベース電流は無視でき、通常はベース抵抗RbとタイミングコンデンサCbの積で決まる時定数で、-Vccから0Vまで+Vccの電源で充電される時間が発振の半周期であるとされる。この結果、駆動波形が1次遅れ回路のステップ応答とみなして自然対数の2である0.69CRが発振の半周期と計算される。

この計算によれば、発振周期は電源電圧に依存しないとの結論が出る。

厳密には、遷移点が約0.6Vであり、ステップ応答ではなくコレクタ抵抗RcとタイミングコンデンサCbで決まる時定数での疑似方形波である。

ON直後のトランジスタには、タイミングコンデンサを介して過剰なベース電流が流れる。

このときの電流は、Rcで決まるので、充電電流=ON側の定常ベース電流に対し、10倍前後の電流が流れ、その結果、ON側トランジスタのベース電位が数10mV上昇する期間があるのだ。

同時にコレクタ電圧波形もCbRcの時定数をもつ1次遅れ波形となる。

厳密に計算あるいはシミュレーションしてもあまり発振周期には影響しないのだが・・・。

たかが2石無安定マルチバイブレータの波形であるが、観測場所や注目する波形の特徴点に依存して、発振回路の動作のドラマが有るのだ。

トランスが入ったパルス回路においても、種々の特徴点が存在し、寄生素子と対応している。

すべてのスイッチング波形には意味があると考えるアナログエンジニアである。

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2010年3月17日 (水)

猫の垂直跳び

昨日、我が家の家猫チャーの助走なし垂直跳びを目撃した。前脚を伸ばして、もう少しで垂直180cmの大ジャンプ。カーテンレールのすぐそば、カーテンレールを触っていた私の手のすぐそばまで、前脚が届いた。そして爪を立ててカーテンに捉まった。

チャー君は2歳になっているので、人間の年齢換算で青年相当。

猫としては、当然であるが多くの時間うたた寝をしているが、背伸ばし運動をちょこっとするだけで最大能力が出せる。羨まし限りである。トレーニングしていなくとも、抜群の運動能力を維持している。

私の年齢になると、意識的に体を動かしていないと、すぐに体が重くなる。

猫の体重は5kg強だが、ジャンプ力を生かして高い所に陣取るのが日常。その時間帯の快適場所にいつも居る。

しかし、人の行動パターンは良く理解していて、外出の準備をしている時や玄関チャイムが鳴ると居間のドアが開くことを察知して、玄関口に先回りして脱出の機会を狙う。

引き戸や引き出しは開けることができるので、チャー君のテリトリーは家全般に及ぶ。

部屋に新しいものが置いてあると、いつの間にかしっかり点検している。それでいて、人間のいるところに出没して、一日数回は膝の上。

猫的生活もそれなりに優雅であるが、人間様が猫的生活をやったら、体力維持も思考力維持もは難しいだろう。

アナログエンジニアもマイコン/デジタルハードを少しはいじろうかと最近は考えている。

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2010年3月16日 (火)

倍電圧整流回路

倍電圧整流回路は端子a,bをもつ電圧源、2個のダイオード、2個のコンデンサで構成できる。

主な回路方式は、①+電圧のピーク検波(単純な半波整流回路)とー極性の半波整流回路を組み合わせたものと②コッククロフトウォルトン(CW)回路の1段分を使用する方法がある。

ダイオードとコンデンサに必要な耐電圧は両者とも同じ。回路定数が同じなら、リップル率も同じ。

①と②の違いは、CW形だと電圧源b端子と出力の一端を共通にできる。一方ピーク検波方式だと、電源の1端が出力電圧の1/2になる。

細かい話をすれば、①の方式はコンデンサにかかる電圧は常に片極性である。

一方、CW形は、起動時のタイミングにより電圧源よりのコンデンサに逆電圧がかかる瞬間がある。

従って、頻繁な起動をかけ、扱う周波数が商用周波数で電解コンデンサを使う場合には①の方式が無難である。

アナログエンジニアは起動時の短時間、電解コンデンサに逆電圧がかかることを好まない。多分問題ないと思うが、逆電圧を時々掛ける電解コンデンサの信頼性を確認する労力は必要だからだ。

元の電圧源が高周波ならコンデンサに無極性の物が使えるので、両者に際はないだろう。

②のCW形は多段接続できるので、n倍圧整流ができる。このとき、電源に直列になるコンデンサには交流電圧がかかる。低電圧なら問題ないが、一段で1000V程度以上稼ぐと、セラミックコンデンサであっても、耐電圧以下で微小な部分放電がおこることがある。

部分放電は、時間の尺度は別として、進行性の劣化モードとなる場合があるので注意が必要である。

似た回路が複数生き残っているということは、それなりの利害得失が存在すると考えるのが合理的であろう。

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2010年3月15日 (月)

古い回路の再開発

どの会社、部門にも古くて伝統ある回路が使い続けられている例がある。

そんな古い回路は、一見不合理な回路構成である場合も少なくないが年の試練を経た回路で、それなりの理由がある場合が多い。

その回路の改良開発には慎重な対応が必要である。多くの場合、どこかに弱点がありながら、それを補う、それをカバーする部品が組み込まれている部分が多いからだ。

アナログエンジニアは伝統ある回路の改良版の開発をいくつか手掛けたことがあるが、大抵は同時に複数のアイデアを必要とする。

古い回路には多く、最初の実験で道を誤り、試作過程で追加部品で必要性能を出しているからだ。どこで判断を誤り、どの性能でカバーしたか、寄生素子の影響、負荷条件が特殊なのか見極める必要がある。過去の回路エンジニアの思考を、残された資料から学び取りながらリニューアルするか、過去の真の課題の本質を見極めることが最初のステップである。

新設計に変更するときには、時の理(チャンス)・タイミングが重要で、旧回路では対応しきれない時代となったときに、新規設計の機会が訪れる。次の20年に耐えられる設計ときちんとした解析による回路設計が必要なのだ。

古い回路の再開発、それは過去のエンジニアとの対話となる。

20年の歳月はアナログ回路用の部品のサイクルに近いと思う。

第二世代のOPアンプである741タイプは今も使い続けられている汎用OPアンプの名品、当時の回路技術の粋を尽くしたバランスの良い性能が40年前の半導体プロセスで作られていたのだ。その本質的な良さはデーターシートをよく読めば垣間見ることができる。

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2010年3月12日 (金)

添削

技術文章は明解を第一とする。添削の前に(自己)推敲があってしかるべきである。

多くの新人、学生は十分な推敲を行わず、人に添削させる。主語述語の係り受け、てにをは、誇大表現、重ね言葉などは基本的に自分で修正するものだ。

添削は、不要な部分を削り不足のところを追加する。当然、発表時間や要旨の字数制限を守ることは本人の責任だ。

会社などの発表の添削には注意が必要だ。場合によっては、船頭多くしてまとまらないことがある。添削とは単に意見を勝手に述べる物ではないとアナログエンジニアは考える。

会社の場合、自分の後にさらに添削する人間がいる場合が多い。しかも、その人が十分な添削技術を持っていなくて、放言的修正を掛ける。添削される方はたまったものではない。大学の先生でも、文章技術の未熟な方も散見される。拙い文章にしか触れていない若者が、うまく技術文章を書けるわけがない。

自己推敲の行われていない文章は読みにくい。ワープロの普及で、執筆者/発表者の持ちネタを単にカット&ペーストしている場合も少なくない。このようなケースでは論理的展開が甘くなりがちである。

論理的展開の甘い文章の修正は、係り受けの不備をあぶりだすことに尽きる。それには、副詞句や形容詞句を省いて主文の構成を明確化するのも一方法である。それに加えて、接続詞の使い方に注意する。きれいな論理的文章ほど接続詞は少なくて済む。

ワープロ時代の技術文章、的確な図表を用いての判る説明が案外少ないのだ。

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2010年3月11日 (木)

高耐電圧ダイオード

10kV級高耐電圧ダイオードは存在する。プラスチックモールドなので、部分的に剥がして内部構造を見ると多数のダイオードチップが直列に積層されている。

なるほど、この構造なら高耐圧ダイオードの一部が降伏しても全面降伏には至らない。

おもな用途は民生用のカラーブラウン管の電子線加速用で、フライバック回路とともに使われるらしい。

ブラウン管の電子線加速電源は信頼性・安全性の面で各社ともそれぞれの工夫をこらし、ノウハウが蓄積されている筈の回路。

大電流は不要だが、順電圧は数10Vと大きく寄生容量はかなり小さいことが特長だ。

こんなダイオードもSPICEのダイオードパラメータをいじれば、1個のダイオードモデルで表現できるが・・・。

アナログエンジニアは主に産業用を手掛けていたので実戦で民生用品種を使うことは少ないが、超高耐圧ダイオードは便利な存在である。かつ、信頼がおける。

各種粒子加速器の電源を作るときには欠かせない部品だからだ。しかも、民生用大量生産で鍛えられた部品でもある。

ブラウン管TVが日本では消えた今、今後ともこのような高電圧部品が継続的に入手できるのだろうか?

アナログ回路設計は優秀な部品により支えられている。科学技術レベルを維持するために、単価が多少上がろうとも作り続けてくれることを切に祈る。

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2010年3月10日 (水)

理想気体の状態方程式

高校物理を勉強していたころ、ボイルの法則やシャルルの法則をよく覚えられなかった。

その時、使ったのは気体の状態方程式 PV=nRT  P:圧力 V:体積 n:モル数 T:絶対温度 R:気体定数 である。

気体の問題を解くときに、高校の終わりころは理想気体の状態方程式一本やり。これ一つ覚えれば気体の問題は解ける。

その後、大学で統計力学を習い、フェルミ粒子のエネルギー分布を学んだ。

この背景がないとフェルミ準位などの概念は生まれにくいとアナログエンジニアは考えている。

pn接合を流れる電流と電圧の関係は、Ij=Is・{exp(Vj/mVt)-1} Vt:熱電圧=kT/q とあらわすことができるが、その背景には粒子のエネルギー分布の形がある。

物理は各分野が相互に関連しあって発展してきたものである。

関連分野の物理を知らないと、どこかで丸暗記部分が出てきてブラックボックス化してしまう。

忘れてもよいが、一度は電気学の背景となる物理全般を学んでおきたいものだ。

電磁気学ではマクスウエルの方程式が有名だが、偏微分方程式をしっかりと学んでいなければ意味がない。大学1年ではかなり無理があるような気がする。

学ぶには順序あるいは素養が必要だ。教科書は著者の想定する素養がないと読めないのだ。

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2010年3月 9日 (火)

回路設計時間

回路の開発のやり方は多様であるが、アナログエンジニアは設計・検討に多くの時間を掛ける方である。最近では回路シミュレータを使うことも多くなった。

小規模な回路でも変数は多くある。

このやり方はお偉方からみると「さっさと取り掛かれ」と言うことになるのだが、重要なプロセスと考えている。

回路の入出力関係を電子回路としての言葉に置き換えて、構成ブロックを考える。供給される電源も重要な要素である。電源回路も同時に作るのか、与件として考えるのかで設計の自由度が変化する。

自分にとって新しい部分はどこか、未知の部分はどこかを考える。

そして必須の部品性能を把握する。使ったことがない部品が必要なら、早急に部品入手を図り部品の実力性能の把握に努める。

量産規模も重要な要素である。使える手法が異なってくる。設計における価値観が変わってくる。

設計では、温度特性を含む諸特性の概算見積もりをしておく。これを基準に試作回路の作り方を考える。厳しい条件だと、あらかじめ考えた可変部分が実装できるようにした実基板を最初から起こすこともある。

この過程で設計値は頭に入っているので、試作基板の実験計画は自然に出来上がる。設計値からの予測値に対し、実験データが出るたび予測値との偏差の原因を考える。このようにすれば、データのずれに対し鋭く応答できる。

いずれにしても製品としての回路は動いてからが勝負である。完全な設計はあり得ない。無駄を省き、必要十分な性能になっているか、等々考えて修正の手を加えていく。

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2010年3月 8日 (月)

電源の突入電流

電子機器の多くはコンデンサ入力整流方式である。したがって、起動時にコンデンサを充電するために、大きな電流が流れる。

トランスを経由して2次側で整流しても、トランスの内部抵抗がある程度大きくないと、無視できない突入電流が流れる。

最新のスイッチング電源は別として、普通のスイッチング電源は商用電源を直接整流しているので、商用電源の等価インピーダンスで決まる突入電流が流れる。

この突入電流を数10A以下に抑制するために、起動時だけ抵抗を挿入し、起動後はCRの1次遅れ回路を経由してサイリスタやトライアックなどの半導体で短絡する。しかし、短絡用半導体がうまく動作しないときには電流制限用抵抗が挿入されたままになるので、抵抗が焼損する可能性がある。そこで、電流制限用抵抗にフューズ内蔵型の品種を使う。

電子回路の消費電力が大きくなると、この方法での対応は難しく、抵抗短絡時の第2波の突入電流も無視できない。

電子回路の多くはコンデンサ入力形の整流平滑回路を使っているので、電源OFF時の電荷を数秒程度で放電するようにコンデンサに並列に放電抵抗を挿入する。

電源の起動、停止だけをとっても、意外に本質的な問題をはらんでいる。

アナログエンジニアは家電品・OA機器を含む電子機器の電源を再投入するときには、1,2,3、・・・と数えてからSWを再投入するのが常である。

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2010年3月 5日 (金)

センサの補正

センサは生のままでは多かれ少なかれ各種環境変化の影響を受ける。常に温度の影響は考えなければならない。

センサが線形出力なら0%と100%点で校正を行うが、0%調整は何もしなければその温度係数を変化させる。意識的に0%をずらし部分目盛にする場合には、感度の温度係数との交絡項を生じる。100%点は感度の調整で、センサ回路の利得を調整して、校正する。

校正コストは相対的に大きいが、個別温度補償は実際に環境温度を変え、被測定量を与える必要がある。

校正結果は可変抵抗の位置やROMのデータとして保存される。

安価なセンサでは無調整、あるいは簡単なトリミングで0%、100%の校正を行うが、工業用途ではセンサの種類にもよるが、0.1%単位の校正をゼロとスパンに対し行い、必要に応じて精密な温度補正を施す。

半導体センサの多くは温度依存性が無視できないので、ゼロとスパン(感度)に対し感温素子を利用して温度補正を行う。

温度補正は温度依存性を実測し、そのデータに基づいて真値を求める作業であるから一種の逆問題である。綿密に計算されたアルゴリズムで、ゼロ、スパン、それらの温度依存性を消去していくのである。

またセンサ材料のトリミングは複雑な信頼性上の問題を引き起こすことも多い。

ピエゾ抵抗効果を使うと、抵抗値のばらつきとその非線形な温度係数が問題になる。感度は広い温度で考えると数%の非線形温度係数である。

これらの温度補正技術は各社異なり、陰でセンサの性能を確保する技術であるがその詳細は光をまず浴びることはない。

陰でセンサの性能を支える技術、それが温度補正技術である。一般的に純アナログ式の方が校正条件の数が少なく、デジタルシステムでは桁違いに校正点が増えるとアナログエンジニアは考えている。

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2010年3月 4日 (木)

電圧測定器

電圧を測定する計器の多くは、入力インピーダンス10MΩである。安物のデジタルテスタだと、最小レンジのみ、もっと高インピーダンスとなるものもある。電流換算では1V,10MΩだから測定対象から0.1μA程度の電流を計器が取ることになる。

常温のトランジスタの入力抵抗は R=VT/IB (VT=熱電圧≒36mV)であるからベース電流IBが0.01μAのときには2.6MΩで無視できない。かつ非線形なので補正もやりにくい。

そんなときにはどうするか。

自分で高入力電圧バッファを作るのである。

こんな時アナログエンジニアは、しばしば、接合型FET入力の電圧フォロワを作る。オペアンプの出力を-入力端子に直結し、信号を+入力端子に入れる。保証はされていないが、接合型FETの入力電流はおよそ1pAくらい、秋葉原で入手するならLF356なら手に入る筈だ。

ダイオード接合電圧を低い電流まで測るには、数Vの可変電圧源と高抵抗とダイオードを直列にし、抵抗の両端を測定する。

電圧差/抵抗=電流、ダイオード側の電圧が判るので、1nA~10mA程度の広い範囲のデータを取得することができる。必要に応じてノイズ対策のため、被測定対象に並列に1000pF程度のフィルムコンデンサを付ける。

相手がバイポーラトランジスタなら、コレクタとベースを接続(ダイオード接続)にして測定電流を2桁程度上げることができる。

多くの小信号用のSi素子ならpn接合電圧が0.1Vから07Vくらいまで、ダイオードで120mV/桁、トランジスタで60mV/桁の片対数上で直線となるデータが得られる。

こんな基本的な実験、大学の先生方はやっていないだろうな。無条件で私はpn接合電圧が0.6~0.7Vと言うことはなるべく避けている。電流の関数だからだ。

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2010年3月 2日 (火)

小さな土木工事

小さな土木工事。もう40年近く前に行ったある土地の敷地の土盛り工事のことである。

工務店の営業マンがやってきて住宅の勧誘にやってきた。しばらく家は建てないが、土盛り工事の話はあると言うと、見積もりを当然持ってきた。土地は3度くらいの傾斜地。

見積書の埋め立て量は、通常のm^3単位で記載されていた。あなたはプロ。私は素人。私は素人なので、この点を基準にして路面より20cmかさ上げしてほしい、この部分は山砂利でこの部分は黒土でとの見積もりにして頂いた。私には、土量がほぐれた土か、埋め立て結果なのか良くわからないし、埋め立て量を点検する術がないからだった。

この条件なら結果でわかる。土質は見ればわかるし、水平面が出ているかどうかは水準器を使えば0.5度程度位で測れるからだ。再提出させた見積もりはプロ向けの埋め立て量ではなく、仕上がり基準となった。

工事中何度か埋め立ての土を点検した。土質は注文どうり。埋め立て土量は当初見積もりの実に2倍近く。しかし、契約は土量ではなく仕上がり地面高さだったから割増はなし。いや、値上げ要望があったがはねつけたのかも知れない。記憶は定かではない。若かりし頃のアナログエンジニア流の契約の仕方。

工務店にとっては小さな工事かもしれないが、当時の年収の半年分に近い金額の契約だったと記憶している。そこでの2倍の見積もり差額は個人にとってかなり大きなものだった。

営業マンは赤字になりましたとぼやいたが・・・

個人として契約するときには、自分で責任を負えるあるいはチェックできる文面が重要だとこのとき以来身にしみた。

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2010年3月 1日 (月)

発振回路のシミュレーション

発振回路のSPICEシミュレーションにおいては、回路形式に依存して工夫を要することがある。ヒステリシスコンパレータを内包する回路の場合には大抵、無条件で発振することが多いが、弛緩発振回路や正弦波発振回路の場合には工夫を必要とする。

ウィーンブリッジ発振回路の場合には、自然界のノイズが種となって正弦波が成長し、発振周期に比べかなり長い時間を掛け全振幅発振に至る。SPICE上では、時間刻みを細かく設定し、かつ成長すべき周波数の微小ノイズ源を付加し、発振周期に比べ長いシミュレーション時間を設定する必要がある。

現実のウィーンブリッジ発振回路では、電源投入後ワンテンポ遅れて起動し、かつ振幅がオーバーシュートすることが多いので、この発振の機序で発振が行われていることと合致する。

2石無安定マルチバイブレータでは、早い電源投入による過渡変化+素子の偏差により対称性が崩れ、発振が始まる。

SPICEでは、回路のパラメータを0.1-1%ほど意識的に崩し、立ち上がりの早いパルス電源でシミュレーションすれば2サイクル目から安定に発振する。2個のトランジスタのパラメータを変えることは少し面倒なので普通は受動素子に偏差を与える。

コンデンサに非対称に初期値(残留電荷)を与える方法なら完全対称回路でも発振するが、アナログエンジニアにとってはコンデンサの初期電荷がゼロの場合が現実なので、この方法を使うことはほとんどない。

完全対称回路で遅い電源の立ち上がりで起動する場合には、自然界のノイズが種になり、ループ利得が1を超えたところで短時間正弦波発振した後全振幅発振に至るものと考えている。事実、シミュレーションでも時間刻みを極端に短くして遅い電源立ち上がりで起動すると、トランジスタモデルに組み込まれているノイズで発振し全振幅発振にいたる。

SPICEシミュレーションでは、宣言した素子値が同一なら、完全に対称となるので、無安定マルチバイブレータが発振しにくいのである。DC電源モデルなら、無安定マルチバイブレータのコンデンサを除いてバイアス計算がおこなわれるので、直流での安定状態である両トランジスタがON-ONで発振しない。

シミュレーションでは発振のメカニズムを頭において行わないと、発振しない場合も多々あるのだ。シミュレータは回路の動作の理解なく扱えるものではない。すくなくとも、回路の結果の予想ができる程度の素養がないと、新しい回路、未知の回路の解析結果の解釈を誤る。

しかし、回路シミュレータはうまく使えば未知の回路の動作の理解を深めることに間違いはないと考える。

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