高耐電圧ダイオード
10kV級高耐電圧ダイオードは存在する。プラスチックモールドなので、部分的に剥がして内部構造を見ると多数のダイオードチップが直列に積層されている。
なるほど、この構造なら高耐圧ダイオードの一部が降伏しても全面降伏には至らない。
おもな用途は民生用のカラーブラウン管の電子線加速用で、フライバック回路とともに使われるらしい。
ブラウン管の電子線加速電源は信頼性・安全性の面で各社ともそれぞれの工夫をこらし、ノウハウが蓄積されている筈の回路。
大電流は不要だが、順電圧は数10Vと大きく寄生容量はかなり小さいことが特長だ。
こんなダイオードもSPICEのダイオードパラメータをいじれば、1個のダイオードモデルで表現できるが・・・。
アナログエンジニアは主に産業用を手掛けていたので実戦で民生用品種を使うことは少ないが、超高耐圧ダイオードは便利な存在である。かつ、信頼がおける。
各種粒子加速器の電源を作るときには欠かせない部品だからだ。しかも、民生用大量生産で鍛えられた部品でもある。
ブラウン管TVが日本では消えた今、今後ともこのような高電圧部品が継続的に入手できるのだろうか?
アナログ回路設計は優秀な部品により支えられている。科学技術レベルを維持するために、単価が多少上がろうとも作り続けてくれることを切に祈る。
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