電圧測定器
電圧を測定する計器の多くは、入力インピーダンス10MΩである。安物のデジタルテスタだと、最小レンジのみ、もっと高インピーダンスとなるものもある。電流換算では1V,10MΩだから測定対象から0.1μA程度の電流を計器が取ることになる。
常温のトランジスタの入力抵抗は R=VT/IB (VT=熱電圧≒36mV)であるからベース電流IBが0.01μAのときには2.6MΩで無視できない。かつ非線形なので補正もやりにくい。
そんなときにはどうするか。
自分で高入力電圧バッファを作るのである。
こんな時アナログエンジニアは、しばしば、接合型FET入力の電圧フォロワを作る。オペアンプの出力を-入力端子に直結し、信号を+入力端子に入れる。保証はされていないが、接合型FETの入力電流はおよそ1pAくらい、秋葉原で入手するならLF356なら手に入る筈だ。
ダイオード接合電圧を低い電流まで測るには、数Vの可変電圧源と高抵抗とダイオードを直列にし、抵抗の両端を測定する。
電圧差/抵抗=電流、ダイオード側の電圧が判るので、1nA~10mA程度の広い範囲のデータを取得することができる。必要に応じてノイズ対策のため、被測定対象に並列に1000pF程度のフィルムコンデンサを付ける。
相手がバイポーラトランジスタなら、コレクタとベースを接続(ダイオード接続)にして測定電流を2桁程度上げることができる。
多くの小信号用のSi素子ならpn接合電圧が0.1Vから07Vくらいまで、ダイオードで120mV/桁、トランジスタで60mV/桁の片対数上で直線となるデータが得られる。
こんな基本的な実験、大学の先生方はやっていないだろうな。無条件で私はpn接合電圧が0.6~0.7Vと言うことはなるべく避けている。電流の関数だからだ。
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