回路屋の育ち方12
定年退職までの8年弱の間、部門を超えての既存回路の改良と新規設計、開発の指導にアナログエンジニアは力を注いだ。それができる立場を与えられた。
既存回路の改良設計を受け入れてもらうのは案外難しい。過去の歴史を背おっているからである。そして、当座は問題なく生産されているので変革を受け入れる意識が希薄であった。きちんとした問題提起と十分な解析とだけではなく、品質保証部門などの力添えもあり、急ぐものから弱点部を補強、改善していった。
このような時には、できれば基板は変えない方策が第1選択枝、基板を変えるチャンスがあれば、回路の細部まで解析しレイアウトまで提案する。今、動いているのだから・・・という声もあったが年数が経過するにつれ、進めやすくなっていった。もちろん、上層部の強いバックアップもあり、もっとも幸福なエンジニア時代だったともいえる。
いろんな機種のいろんな回路を手掛けた。解析した。トラブルシューティングも数多くこなした。なかには、角度の0.1秒をきる計測や1pAが問題になる電流増幅もあった。
同時に回路屋さんの教育にも力を入れて、教育資料の作成も兼ねて、1年間に3冊の本を著したのも、この時期である。
走馬灯のごとく過ぎ去った歳月だが、回路屋になって良かったと思うことができた歳月である。退職直前には、異例であるが退職講演も社内で行わさせて頂いた。
今、アナログエンジニアは技術士としての活動も行っているが、産業分野の異なるアナログ世界も知ったことはとても有益だったと考えている。
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