角度の0.1秒
0.1秒角は約200万分の1ラジアンであるから、およそ200km先のテニスボールを見込む角度となる。
口径120cmの望遠鏡の理論分解能でもある。
光学測定では0.1秒角を分解するには、かなり大型の装置となるが、傾斜を測るだけなら基準面の変位測定で10cm立方くらいのサイズでこの角度を分解できる。
このレベルの角度では、鉄筋コンクリート造りの建造物の中を人が歩いてくるときの、床のたわみがはっきりわかる。柱に沿わせてみれば、柱がおそらくは時間の秒単位で常時揺れていることが判るだろう。
1秒角のレベルでも、自重で十分変化する。よくアマチュアが使用する反射望遠鏡なら口径12cm程度として分解能は1秒角。自重で反射面の曲面が変形しないように、ガラスの厚みは口径の1/4程度を目安に作られる。
2秒角の屈折望遠鏡なら、100m先のM 3のねじの頭の形状が判れば、かなり良質の望遠鏡である。
大きな数字、小さな数字を実感するには、身近な数値の組み合わせ、あるいはその数値を実現することで体感できるのだ。
現実感覚なしに、具体論はあり得ない。工学はその意味で現実世界に存在する。
今の世相を見ると、報道される政治ニュースの非現実性をしみじみ感じる。
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コメント
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初めまして。毎回楽しく読ませていただいております。
私は、年齢24歳の若手電気エンジニアです。
現在、電源回路設計を担当しております。
知識、経験共に未熟な私ですが、先生のご教授するお話を聞いて、一人前になれるように頑張りたいと思います。
私は今「電検2種」あたりを資格として取りたいと思い、勉強しているのですが、電気の基礎である「電磁気学」で苦戦しております。基礎なので、完全なる理解を得たいと思っているのですが、ベクトル解析などの数学的手法が難しく、慣れていない感じです。
電気に関する学問を習得するコツなどはあるのでしょうか?
話題と全くそれてしまってすいません
投稿: KENOH | 2010年5月14日 (金) 12時50分
KENOH さんおはようございます。
「電検2種」の資格取得を祈念します。電気は目に見えないので、たくさん例題を解き、電気が目に見えるような気になることが大切と思います。電検なので、強電関連の電源でしょうか。
投稿: 5513 | 2010年5月15日 (土) 04時13分