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    アナログ電子回路設計入門 (1994.12)、コロナ社: 実践アナログ回路設計・解析入門 (2005.1)、日刊工業: オペアンプ基礎回路再入門 (2005.7)、日刊工業: ダイオード・トランジスタ回路入門 (2005.12)、日刊工業: スイッチングコンバータ回路入門 (2006.9)、日刊工業: これならわかるアナログ電子回路基礎技術 (2007.6)

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  • 電源を含む精密アナログ電子回路の設計・開発、およびその教育、技術指導。センサ・アクチュエータシステムの構築。電子機器の不良解析指導および再発防止指導。解析主導型設計の推進と回路シミュレータの実践的活用指導。技術的側面からのプロジェクト管理指導。

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2010年5月

2010年5月28日 (金)

小信号用ダイオード

定性的には、ダイオードは順方向には電流をよく通し、電圧の向きを逆にすると電流を殆ど通さない2端子素子である。

電流を順方向(A→K)に流す時、シリコンダイオードは約0.7Vくらいの電圧降下がダイオードで生じる。この電圧降下は電流依存性があり

I=Is・[exp{VJ/(mVT)}-1] VJ:順電圧 m:エミッション係数(1~2) VT:熱電圧(常温で26mV、kT/q k:ボルツマン定数、 T:絶対温度 q:素電荷) Is:飽和電流、常数 の式に従う。電流が10倍変化すると120~60mV順電圧が増加する。

expの中は、通常は非常に大きいので

I=Is・exp{VJ/mVT} としても十分な精度で計算できる。-1の項が外れるので、計算がかなり簡単になる。同時に、広い電流範囲で、順電圧と電流方対数グラフを描くとダイオードの静的パラメータであるmとIsを求めることができる。

小信号用ダイオードでふつう使用する順電圧は0.2~0.8Vくらいである。

電圧源+抵抗+ダイオードの簡単な直列回路でも解析的にはきちんと解くことは難しいので、順電圧をたとえば0.6Vと仮に考え、オームの法則で電流を求める。必要に応じてその電流値から再度順電圧を修正する。

ダイオードは半導体であるから、温度依存性がある。温度係数は順電圧0.65Vの時-2.0mVである。

順電圧が0.8Vを超えるような大電流領域では、シリコン基板の抵抗やリード線抵抗が影響するので、理想的なダイオード特性にオームの法則に従う抵抗成分を付加して考える。

ダイオードを含む回路の扱いは、その後で学ぶトランジスタ回路の解法の基礎となる。

回路学の中のダイオードでは、数式での計算方法に習熟しておくことが大切である。

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2010年5月27日 (木)

フューズ内蔵抵抗

現在は高調波電流規制のためあまり見かけることはないが、スイッチング電源の突入電流抑制のため、整流回路-平滑コンデンサの間に抵抗を挿入することがある。

商用電源のインピーダンスは低いので、何もしないと数10Aの電流が数サイクル流れる。この電流は平滑コンデンサを充電するための電流で、安直には起動時のみ抵抗を挿入し、回路が起ちあがったら、サイリスタなどで抵抗を短絡する。抵抗を挿入したままだと、大きな電力定格の抵抗が必要になるとともに、電力効率も低下する。そこでサイリスタで短絡するのだが、万一サイリスタの点弧に失敗すると、抵抗が焼損するので、フューズ内蔵抵抗がこの部分に使われていた。

現在は昇圧コンバータなどを使い、突入電流の抑制と校長は電流規制をクリアしているものが多い。

商用電源+変圧器+コンデンサ平滑の大容量電源でも、突入電流の問題は発生する。安直な対策は系のインピーダンスを上げることであり、電源回路に抵抗を挿入して突入電流を抑制する場合がある。

3相交流は別として、インピーダンス要素にチョークコイルは使いにくい。過渡特性が悪くなるためである。L+C構成にすると、電源投入時にオーバーシュートし易い。それで、突入電流の抑制を抵抗で制限するのだ。

今では、大容量AC-DCコンバータには高調波電流抑制回路を備えているので、起動時の挙動は穏やかである。

このような突入電流の大きな電源回路が使用されていると、スローブローフューズを使っても、適切なフューズの選択は難しい。

電源回路は電子回路システム全体の電力源であるがために、信頼性の要である。しかし、枯れた技術であるので、アセンブリメーカーでは人もいないし、量産規模の関係から専業メーカーからの供給を受けるのが通例である。

また一つ、回路技術がブラックボックスの闇に吸いこまれていく。

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2010年5月25日 (火)

低ドロップアウト電源

入力電圧と出力電圧の差が少なくとも動作するドロッパー形も電源回路を、低ドロップアウト電源という。入出力電圧差は、1V未満くらい。

ふつうの3端子電源回路は、ダーリントン接続を主トランジスタに使っているので、2VBE+1飽和電圧がふつうで、過負荷保護回路を含めると3VB+1飽和電圧程度になる。

低ドロップアウト電源の場合、正極性のものではpnpトランジスタを主制御トランジスタに使用し、入出力電圧差が1飽和電圧程度のものもある。

通常型は内部等価回路が公開されている例が多いが、低ドロップアウト形はブロック図のみの場合が多い。過負荷保護回路も電圧降下の要因となるが、この辺も工夫されている模様だ。一般に低ドロップ形の方が内部回路は複雑となる。

低ドロップアウト形では、通常より入力電圧が2-3V低くても動作するから、電池動作などでは電圧を有効利用できる。

少し変わった使用法としては、複数の電圧を得るとき、低い電圧を先に確定し、OFFするときには低い電圧を最後まで規定値に保つための方法がある。電圧の高い方を通常型、低い方に低ドロップアウト形を使用するのである。このような使い方をすると、電圧の確定順序を制御できるので、複数電源を使用する回路の信頼性向上につながる場合がある。

アナログエンジニアは普段はAC100Vからの整流平滑回路を使用するので、多くは低ドロップアウト電源を使わないが、要所には低ドロップアウト電源を使用している。

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2010年5月24日 (月)

対称構造のセンサ

センサは好んで対称構造に作られる。測定対象でない物理現象に対し不感になることが多いからである。2個のセンサユニットを使い、一方を参照側として非測定要因を入れなければ、その差を取れば、温度などに対する影響を相殺できる。

同時に0次項を含む偶数次のセンサ特性も消去される。

多くのセンサでは、センシングしたい対象による物性変化は相対的に小さい場合が多いので、0次項やその温度変化が相殺されることはありがたいことで、センサとしての測定限界の拡大につながる。

センサを2個つかい、対称的に配置しかつセンシング対象量を逆極性で入れれば、差動構造となり、感度が2倍となる。

センサ材料の多くはある物理現象が強く出る材料を使用するので、線膨張係数が通常の金属とは異なる。しかし、センサ材料だけ空中に設置するわけにはいかないから、材料間の膨張係数差の影響をいかにして低減するかが実用上の課題の一つになる。

センサの固定方法を示さない原理図はセンサの本質的課題を提示しないのと同じである。

センサは測りたいものが測れるのは当たり前で、測定したくない要因に対してできるだけ鈍感なことが望ましい。

そして、センサの経時変化の大小に依存して、実用的に取りえる信号処理方法も制約を受ける。

センサの測定対象物はさまざまである。それに伴いセンサ材料も種々の物が使われる。環境もさまざまである。

微小量を測定する高感度センサは概して物理的に大きくなる。空間的に広がった測定対象量を少しでも多く集める必要があるからである。

アナログエンジニアは多くのセンサを扱った。センサは千差万別だが、その中にも基本的な戦略は存在すると考えている。

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003 ←庭の芍薬

2010年5月22日 (土)

戻り離れ

射の瞬間に引き手が戻ってしまう射がある。もちろんミスショットである。

戻り離れの場合には、矢の加速距離が短くなり、かつ、最大張力が下がるので矢の初速は低下する。

矢の初速60m/sの男子競技者では、1cmの戻りで約1.5%程度の初速減少を生じる。この初速低下は70m先では着弾が約20cm下側になる。正確に照準できていたとしても、6点に着弾する可能性が高い。

さらに、戻り離れの場合には引き手と押し手のバランスが崩れ、射の瞬間には照準方向が狂うことが多い。押し手も戻される場合には、右射手で矢は右方向に射出される。押し手が強い場合、矢は押しすぎなので左方向に行く。

矢の加速時間は2/100~3/100秒程度であるが、実際に矢を離すときにには既に両手が動いているものと考えられる。これを避けるためには射の前後で押し手、引き手とも同じ姿勢を保っている必要がある。気持ち的には、射の前後、特に射の後しばらくの間姿勢を固定している必要がある。フォロースルー。

照準を的内から外れた状態で射つ人はまず、いないので、離れの瞬間の動きで大きなミスショットに繋がる。

30、50mの短距離では戻り離れに伴う初速変化の影響は少なくなるが、戻り離れに伴う左右方向のブレも生じやすい。弦をきちんと顔の一部に押しつけた状態でいつも射つことができれば、戻り離れは無くなる筈だが、体型により戻りやすい場合がある。

ここのところ、戻り離れ的なミスショットが出やすいので、私は要注意。点数も大きく乱高下している。今シーズンは、町内会の役員をしているので、あまり試合には出られない。来シーズンに期待して、体力作りをやっておかねば・・・。

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2010年5月21日 (金)

回路屋の育ち方19

アナログエンジニアは工学部の物理系学科の出身である。学生の時には回路学はわずか2-4単位の訓練しか受けていない。その時は、回路のことはよくわからなかった。

回路屋として自立できたのは、日本の大学向け電子回路教科書ではなく、米国発の分厚い回路本の原書と翻訳本のおかげである。厚い本であるが故に詳細に丁寧に記述してあるとともに、集積回路指向の強い記述方法の書籍である。

従って、私の設計した回路は多く集積回路の手法を取り入れた作品となっている。

なぜ、日本の大学向け教科書に頼らなかったのか?その理由の一つは、トランジスタモデルの構築の方法の相違である。集積回路的手法は、広い範囲の動作領域で成立する回路モデルから出発し、次第に寄生素子や2次的特性を記述しているものが多い。hパラメーターには深入りすることはない。

日本の大学の教科書は、大きく、1960年代ころの東大・東工大の著名な先生の記述法を踏襲しているものが多い。しかし、hパラメータを主体に記述すると、まず、データーシートにhパラメータの記載がほとんどないから、設計をあきらめるか、自力で使う動作領域でのパラメータを測定するしかない。

現実は、特にバイポーラトランジスタにおいては、トランジスタの種々の動作点での特性、たとえば入力抵抗などは理論計算で殆ど間に合う。トランジスタアンプの設計にまず必要なトランジスタの入力抵抗=hieは、=VT/IB (VT:熱電圧、IB:ベース電流)で計算すべきものである。従って、トランジスタのデータシートにはそのデータは記載されていないのである。

トランジスタアンプの増幅率を求めようとすれば、hieすなわちベース入力抵抗rのデータが必要になるが、多くの日本の回路本はこの記載が欠落している。これでは、解析的に設計することはできない。

自分が教える立場になったとき、実務での設計法と大学教科書のギャップが大きく、教えるための教科書選びに苦労した。そこで、自分流の回路教科書を著作したのが、アナログエンジニアの処女作である。

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003 ←庭のオオムラサキツツジ

2010年5月20日 (木)

抵抗器の定格

種々の材料を用いた抵抗があり、様々な電力定格と温度定格の物が存在する。

抵抗器での定格電力とは、指定された環境温度で消費できる電力のことで、定格電力を加えると原則定格温度まで表面温度が上昇する。

セメント抵抗やホーロー抵抗は定格温度が高いので、定格電力を消費させると高温になり基板の変色や火傷の危険が伴う。

高温使用の抵抗では、基板から浮かしてはんだづけする場合もある。

逆に面付け抵抗では、基板からの放熱も考慮して電力定格が決まっているので、指定のパターンで装着する。

放熱片を利用する前提の抵抗も存在する。

高電圧で使用する抵抗には電圧定格も記載されているものや、電圧係数が無視できないものもある。

環境温度が高い場合には、抵抗の温度係数も重要な要素である。

温度幅100℃で抵抗温度係数が100ppm/℃なら1%の抵抗変化が生じるから、精密回路で期待する性能が得られるとは限らない。

トリマ抵抗で調整する回路では、抵抗の安定性も重要である。良心的なメーカーでは抵抗値の経年変化データーを記載しているので、参考になる。

抵抗温度係数は、起動時のドリフトの一因となる場合もある。電源投入に伴って筐体内温度が変化する場合もある。

基本となる抵抗器の使い方ひとつでも様々な要因があるのだ。

アナログエンジニアは抵抗の性能がまだ十分でなかった頃に設計者となったので、抵抗にかかる様々なトラブルを見てきた。

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007 ←何の花だろう。

2010年5月19日 (水)

積分回路のオペアンプ

オペアンプを用いた積分回路では、意外にオペアンプの周波数特性を必要としない。オペアンプの伝達関数を考慮して積分回路の応答精度を計算してみれば、定量的に積分器における必要周波数特性を計算できる。

14ビット精度以上では、RはともかくCの選択が重要で、ふつうはフィルムコンデンサの誘電体吸収の少ない品種から選ぶ。

誘電体吸収の大きいコンデンサでは、過去の電圧履歴が残るので、異なる電圧を複数回積分させると出力に誤差が生じる。

フィルムコンデンサを使用すると、電子部品としては10μF程度が限界となるから、長時間積分を行うにはRに高抵抗を使い、単位入力電圧あたりの積分電流を少なくする必然がある。

フィルムコンデンサの温度特性は数100ppm/℃程度あるから、長時間積分では積分中の温度変化の効果も無視できない場合がある。

精密長時間積分には、電流性の誤差と電圧性の誤差があるから、積分器に使用するオペアンプには、低バイアス電流、低オフセット電圧の品種が多用される。

今は使用されなくなったが、高度成長期時代にはアナログ積分で24時間程度の積分を行った事例がある。当時はPID調節計にアナログ回路が組み込まれ、プラントの時定数が長いため、数10分程度の積分時間が必要であったためである。

今はAD変換後、数値積分を行うデジタル積分が主流となっている。

短い時間の積分を行う際には、積分の始点と終点を決めるコンパレータの選択も積分精度を支配するが、この場合にも積分コンデンサの誘電体吸収は問題になる筈である。

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006←庭のテッセンの花

2010年5月18日 (火)

回路屋の育ち方18

入社して2-3年目だろうか。アナログエンジニアは電子部品の過電圧/電流による破壊試験を系統的に行った。

自作のピーク出力が数kWの定電流パルス発生器を用いて、サブmsまでの素子破壊限界を調べた。直流電源をコンデンサバンクによりピーク出力可能にして実験を行うのだが、当時は安全動作領域の広いパワーFETが存在していなかったので、電流制御は大型のバイポーラトランジスタを主制御素子にして実験を行った。供試サンプルが短絡故障すると、試験装置の負担が過大になり実験回路の方が壊れるケースもあり、次第に並列数が大きくなった。

ツェナーダイオード、フューズ、ダイオードなどなどの部品は、放熱を無視できる短パルスでは、電流の2乗と時間積が一定のラインで破損した。故障モードはいずれも短絡である。中間の半短絡はほとんど生じない。

一旦短絡すると、部品が溶断するほどの大電流を長時間かけないと開放故障には至らない。

この試験は1点のデータ取得に電子部品を少なくとも1個壊すが、意外にデータ系列はきれいなグラフとなった。

このような破壊試験データがあれば、電子回路の耐サージ設計を系統的に設計できる。

ポイントはサージ保護素子が回路より先に短絡故障するように、サージ保護回路を組むことである。

この実験結果を活用して耐サージ設計を行った回路のフィールドでの原因不明故障は激減した。予想以上に、外部配線を経由してサージを受けている製品だったと言える。

この技術は、本質安全防爆の基礎データともなった。

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007 ←庭の紫花

2010年5月17日 (月)

高精度抵抗と温度係数

抵抗の絶対値の安定性を期待する回路では、抵抗値の温度係数も重要な要素である。

たとえば0.1%抵抗で環境温度幅100℃なら、10ppm/℃の抵抗温度係数で、常温での抵抗値誤差と同程度の温度変化が生じる。

問題は温度係数のみならず、抵抗値の経年変化も関心のある項目である。抵抗値の絶対値の安定性を期待する回路では、時間が経過後もある程度の絶対値を確保したいからだ。

アナログエンジニアは抵抗値の経時変化を数年にわたって測定したことがある。メーカーによる差も結構大きい。抵抗製作範囲の上限や下限付近のものもそれなりの問題があることが多い。

枯れるという言葉があるように、良質な抵抗は、感覚的には時間の対数に比例して抵抗変化率が小さくなっていくように思われる。

回路的には抵抗比で回路性能が決まるように工夫することもある。絶対値のばらつきも偏りがあり、温度係数も同一ロット品なら揃っているからである。

これを徹底すれば、複合抵抗を注文し、製作することになる。この手法はICの世界では常とう手段である。

個別部品の組み合わせ回路でも、ペア抵抗の使用で1桁近く改善される場合もある。

抵抗の1ppm以下の世界は私は知らない。身近に工夫しても1ppmを安定に測る手段がなかったからである。しかし、それでも相対値の安定性を期待して回路を構成することもあるのだ。

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003

←オオムラサキツツジ、例年より少し咲くのが遅い。

2010年5月15日 (土)

初めての距離での照準

10mや18mの短距離を初めて射つ場合は、水平に射出されるように、目とアンカー位置長さと等しく矢軸とサイトの高さを決める。後は、着弾位置のずれを見て、修正する。

サイトの修正量Xは、着弾位置ずれΔ、競技距離L、目とサイトの長さDとして、

X=ΔD/L で計算できる。Dは0.7m程度であるから、競技距離30mで、着弾位置ずれの1/40だけサイトをずれた方向に動かせば良い。サイトは意外に大きく動かす必要があることが分かる。

サイトは視差や打ち上げ射角に伴う矢速の水平成分(cos誤差)を無視すれば、競技距離に比例してサイトが下がる。

先週の記録会で、初めて70mを射つ方に、30-50mのサイト変化に1mmを加えた分だけ下げて70mのサイトにするとアドバイスしたら、ばっちり。50m80cm的の成績より70m122cm的の成績が少し上回った。

矢速はやや強いコンパウンドボウで90m/s程度、弱めで女子70mを射つ方では50m/s位である。サイト変化は矢速の-2乗に比例する。矢速80m/sの複合弓でサイトの変化は14mm/20m位である。

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003 ←ボタンの花(ピンク)

2010年5月14日 (金)

角度の0.1秒

0.1秒角は約200万分の1ラジアンであるから、およそ200km先のテニスボールを見込む角度となる。

口径120cmの望遠鏡の理論分解能でもある。

光学測定では0.1秒角を分解するには、かなり大型の装置となるが、傾斜を測るだけなら基準面の変位測定で10cm立方くらいのサイズでこの角度を分解できる。

このレベルの角度では、鉄筋コンクリート造りの建造物の中を人が歩いてくるときの、床のたわみがはっきりわかる。柱に沿わせてみれば、柱がおそらくは時間の秒単位で常時揺れていることが判るだろう。

1秒角のレベルでも、自重で十分変化する。よくアマチュアが使用する反射望遠鏡なら口径12cm程度として分解能は1秒角。自重で反射面の曲面が変形しないように、ガラスの厚みは口径の1/4程度を目安に作られる。

2秒角の屈折望遠鏡なら、100m先のM 3のねじの頭の形状が判れば、かなり良質の望遠鏡である。

大きな数字、小さな数字を実感するには、身近な数値の組み合わせ、あるいはその数値を実現することで体感できるのだ。

現実感覚なしに、具体論はあり得ない。工学はその意味で現実世界に存在する。

今の世相を見ると、報道される政治ニュースの非現実性をしみじみ感じる。

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0051 ←塀際の花

2010年5月13日 (木)

サーミスタ特性の線形化

サーミスタの抵抗値Rは広い温度範囲でR=Ra・expB(1/T-1/Ta)で表現できBはサーミスタ定数と呼ばれる。一般には、低抵抗で高Bの物や、高抵抗で低Bの物は作りにくい。

Bは1500~5000K程度のものがあるが、いずれにしても数%/℃程度の大きな温度係数をもち、抵抗値の温度に対する非線形性も単体では大きい。

サーミスタを温度センサとして用いる場合の課題のひとつとしては、使用温度でほぼ温度に比例する電圧変化を得る回路的工夫が必要なことである。

サーミスタ特性の線形化には、サーミスタに対し、並列抵抗と直列抵抗をうまく接続することである。線形化した後に、その回路にさらに並列抵抗を付加すると、見掛け上の抵抗値も調整できる。

うまく受動抵抗回路網を合成すると、100℃を超える温度範囲で線形化できる。

現在でも、車の水温センサや体温計などに使われている筈である。サーミスタは1940年頃に開発された遷移金属酸化物系の感温半導体であるが故に、その応用歴は長く、信頼のおける温度センサとして今も使われている。

サーミスタ単体の温度特性はR縦軸、温度T横軸のグラフ上では下に凸な抵抗変化を示すが、付加する抵抗網により、着目する温度範囲で凹にも凸にもできる。この性質を利用して、半導体ひずみゲージの感度の温度補償や感度とオフセットの温度依存性の交絡項を消去する技法は確立されている。

アナログエンジニアは3次までの非線形温度係数の高精度補償を達成している。

確かにサーミスタ単独では、温度変化に対する抵抗変化が非線形であるが、回路的工夫により実用上問題のないレベルまで改善できるのである。従って、安易に単独素子の性質をもって、実用上の特性を議論することは慎まねばならない。

古くから実用化されたセンサは、長い歳月を掛けて信頼性を向上してきた技術でもある。その頑健さと簡明さを抜きにして実用センサを語ることはできないのである。

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003←庭に咲いたオダマキ草、紫花

2010年5月12日 (水)

回路シミュレータ

アナログエンジニアは主として自分に未知な回路の解析にシミュレーターを使う。

使うのは主にSPICEである。1970年頃様々なルートでカリフォルニア大学バークレー校からアナログ集積回路の解析を目的として国内に導入された。今では、様々な機能が付加されて、各社から市販されている。

数10トランジスタを超える規模であっても、DC解析は手解析でもなんとかやれる。回路の基本機能は見える。しかし、詳細な解析となると、計算量が膨大でシミュレーターに頼ることになる。

未知の回路を扱うのだから、トランジスタなどのデバイスのモデリングは正確でなくとも良い。

精密アナログ回路ではDC解析を最初にかけて、全体を把握したのち過渡解析を多く使う。

スイッチング回路などでは最初から過渡解析を行うことになるが・・・。

デバイスモデルパラメーターは必要に応じて改変する。精密なデバイスパラメータがなければ解析できないと考えるのは早計である。回路の速度を下げれば、相対的に高速トランジスタを用いたのと等価になるからだ。

モデルの精密化の前にやるべきことは、回路システムの全体的把握と、デバイスのどの2次的特性がどのような形で影響するかのイメージを構築することである。

SPICEで表現されない現象にも注意を払う必要がある。C-E間耐圧はかなり選択の自由があるから降伏しない前提でのモデリングでよいが、B-E間耐圧は多くのトランジスタで数Vしかないので、現実の回路では過渡的に降伏することがある。

どの分野のシミュレータであっても、モデルパラメータの意味とその影響する場面を知らなければ、十分使いこなすレベルには至らない。結果を予測できる程度の実力がなければシミュレータは使いこなせないのである。

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016 ←白花の牡丹

ランキング:昨日の9時ころ、4,5,6、位が同率(510)、7,8,9位も同率となる珍しいパタンが生じた。

2010年5月11日 (火)

LED電球

LED電球は長寿命化が可能であるとともに、電球部にAC-DCコンバータを備えることで、従来の電球の口金と合わせることができる。

白色LEDは主として青色LEDに蛍光体を塗布して白色を光らせているから、順電圧は2-4Vであろう。必然的に、電球型LEDでは、単体LEDを多数並列・直列接続して適当な駆動電流と駆動電圧になるようにし、定電流AC-DCコンバータで駆動することになるだろう。

場合によっては、直列接続したLEDに安定化抵抗を入れて、並列接続することになるだろう。

市販の白色LEDの明るさは、かなり差があるので、照明器具としての効率は相当差があるものがLED電球として明るさ/電力や信頼性に差が生じやすい要因がある。

直列接続するので、直列LEDが1個でも開放モードで壊れたら明るさが低下する。

電球色LEDは私はまだ単体で市販されているのを知らない。演色性はどうなるだろうか。

回路屋としてみた場合には、定電流AC-DCコンバータ部の信頼性/寿命も気になるところである。ふつうに作れば、有寿命部品を使わざるを得ないからだ。電球サイズに収めるためには寸法的にも小さくする必要があろう。

市販の白色LEDは光の指向性が強いので、LEDのレンズ形状や配置も最適化する必要も生じる。

いま、注目を集めているLED電球:初期の段階では様々な品質のものが出てくるだろう。

LED電球が本当にエコになるには、まだ時間がかかるのではないか。そして、消費者にとって、良質のものを選ぶ基準はたぶん表示されないような気がする。

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020 ←庭に咲いた白花品種、元来は黄花が普通なのだが・・・「ヤマブキ」か。

2010年5月10日 (月)

回路の電源電圧影響

トランジスタのVBEやhFEは温度と電圧などの影響を受ける。

たとえば電源電圧変動に伴う特性変化を予測するには、ベース・エミッタ間電圧VBEと電流増幅率hFEの温度と電圧変化を基に計算する。

半導体素子では、消費電力の増加に伴うチップ温度上昇があるから、温度に伴う半導体素子の諸パラメータの変化(時間遅れがある)と電圧の変化に伴う電気的特性の変化(即時に反映)を求めることになる。

温度上昇の予測には放熱計算も必要である。

電子回路の電圧影響は、本来、予測して作り込むべき性能指標である。

そして、どのくらいの範囲の電源電圧変化を許容するかは、設計事項である。

素子の耐電圧、消費電力やスイッチング回路ならスイッチング時間などが主な検討項目となる。

注意深く電源電圧を変えた回路の試験を行うと、回路の温度特性のオーダーも温度試験前に予測できる。

電源電圧影響を作り込むことは、半導体素子の温度と電圧依存性を定量的に把握しておくことから始まるが、許容範囲はまた別の要因に支配されている。

十分な設計的作り込みがされている回路なら、電源電圧の許容範囲は当然公称値より広い。

アナログエンジニアは限界試験に対しては懐疑的である。性能を作り込む過程において、短期間の過酷条件に耐える設計になっていなければ、高温・過電圧に対応できないからである。試験に耐えるのは当然で、その前兆は電圧影響からもおよその見当がつく。

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017

←ボタンの花もすぐ終わり。先日、いろんな色の牡丹の花が咲き揃った。

2010年5月 8日 (土)

アーチェリーの射角

競技用の洋弓の矢の初速度は50-60m/sであることが多い。仮に初速60m/sとすると、最長競技距離の90mなら飛行時間tは1.5秒。その間に落下する距離はgt^2/2≒11.0mである。

アーチェリーの照準はアンカー位置と照星位置の距離が約70cmだから、水平に対し、射出角θは11/90≒0.122ラジアンである。同じ条件で競技距離が70mなら、落下距離は6.7m、角度は0.095ラジアンである。差は0.027ラジアン。

この差を生む照星位置での差は、0.027×70=1.9cmである。仮に90mの照準で70mを射つと、1.9m上に着弾することになる。

長距離では、照準間違いはかなり危険である。

この計算では、空気抵抗を考慮していないので、もう少し着弾位置は高くなる。

もっと初速の大きいコンパウンドボウでは、初速が80m/s以上になる。やや強めのコンパウンドボウなら、初速は90m/s程度となろう。この場合には、90mと70mの照準位置は0.0153ラジアン異なり、11mm変化する。90mの照準で70mを射つと着弾位置は1m上になる。

中級者の矢速は50m/s位が多いので、照準は20m当たり約24mm変化する。

初速のばらつきに対して、高速矢の方が圧倒的に有利である。

なお競技距離Lmで着弾位置をxcm修正するには、x×L/0.7を目安に修正すれば良い。

照準器の位置は案外大きく修正することになる。70mなら修正量は着弾誤差のの1/100程度となる。

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011 ←庭の小花、名前は忘れた

2010年5月 7日 (金)

回路屋の育ち方17

アナログエンジニアは残業のための残業は良しとしない。私の美学だ。

残業に対する見方はメーカーによっても種々異なる。多くの日本の会社では残業=頑張っている の美徳になるが、残業を極力させない会社も少なからず存在する。

残業パターンを分類するなら、昼間仕事の密度を薄め、残業代を夜遅くまで稼ぐケースもある。

下手な段取りの仕事で、自分の失敗をつくろうために夜遅くまで働いているパターンもある。自分のミスで仕事を増やし、残業で取り繕っているのだ。

このような非効率的な働き方は、設計業務に多い。私は、恒常的に残業する設計者はミスが多いことを経験的に知っている。

長時間残業をやれば、ふつうは判断ミス、作業ミスが出やすいうえに自己啓発のレベルが低くなる。しかし、多くの残業者の方が収入は多く、上司の受けが良いのが悲しい日本の現状である。

もちろん、時間で作業するワーカーには当てはまらない。また、開発の最後のステージであるプログラマ/SEも、開発の遅れ(実際は無理な日程の設定)の始末のため残業することが多い。

日本の相対的貧困さ、豊かさを感じさせない風土は、中身を問わず量をこなした人間が評価されやすい人事評価システムにある。

残業に頼る開発は、その成果物の品質はいかほどか。同じことは強く研究者にも言えるのではないか。いや、金を貰い国費を使う研究者には2流の人間はいらない。類似研究に群がる2番煎じの研究が多くなされていることも強く感じている。

業務でも教育でも長時間残業スタイルに頼らない社会システムを作る必要があるのではないか。スマートな研究開発ができない教授者からは質を重視する生活スタイルの実務者は生まれないような気がする。

大学から輩出する人材の多くは、研究者ではなく実務者になる。研究者になるための訓練重視の大学教育で本当に良いのか私は疑問を感じる。

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034 ←庭の片隅に咲いていた小さな紫花

2010年5月 6日 (木)

遠メガネ

手持ちでみる前提の双眼鏡や単眼鏡では、倍率は6-8倍程度が適切である。手持ちだと視野がぶれるので、高倍率にしても意味がない。むしろ、視野が広い方が使いやすい。

この程度の倍率だと、分解能の観点からは対物レンズ口径であまり制約されないので、1cm程度あれば昼間使うなら十分である。きちんとレンズの各面に反射防止膜をきちんと施し、コントラストが高い品が見やすいし、実用性が高い。ズームなどは不要であると考える。

三脚を使う前提のフィールドスコープだと、30-40倍程度の倍率で、単焦点、広視野で収差の良く補正された製品が使いやすい。ズーム機能は必要ない。この条件を備えた、地味な仕様の製品はそう多くないが、とにかく実用性が高いのだ。メガネを使う人は、アイレリーフ(接眼レンズから目の位置までの距離)がある程度長い方が良い。

30倍のスコープで、有効倍率から逆算すると。対物は6cm程度必要だ。6cm対物での理論分解能は2秒角、それも収差が十分取れているとの前提だ。良品でなければ、もっと低い倍率で口径も小さなものでよい。ズーム接眼は多く視界が狭いので、使いにくい。見かけ視界が70度、倍率30倍、分解能2秒角だと、径方向が4200画素相当、視界の中で微小な目標物を見つけるには結構時間がかかる。

色のついた対象物を見たいのであれば、色収差の少ない=高価 な光学系を備えた物がよく、色の滲みもなくくっきり見える。

後悔しない遠メガネ選び、アナログエンジニアは、単焦点、倍率控えめの仕様の物をお勧めする。対物口径の割に高倍率を謳っている製品はすぐに使わなくなる。対象物の視準が難しく、得られる像は暗くぼけるからである。そして、視野が狭いので、ちょっとした振動でも大きくぶれる。地上望遠鏡で対物径に比べ高倍率は必要なく、そのようなメーカーのカタログの「イメージ図」とはほど遠い像になるだろう。(暗く、尖鋭度のない像) ズームなどはコントラストを悪く、かつ視野が狭くなる方向なのでお勧めできない。

良質のスコープそれは使う場面で人に感動を与えるが、遠メガネの宣伝で、倍率・ズームをキャッチフレーズに基本性能の出ていない光学製品が多く売られているのだ。

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013←一気に咲いた庭の牡丹

しろ、赤、ピンク、紫の大輪が同時に咲いた。

2010年5月 5日 (水)

還暦

今日は妻の還暦・妻の退職&結婚記念日。

直系一族全員集合となる。

2歳の孫娘も来ている。

アナログエンジニアは神前結婚式だったので娘の時のような「健やかな時も、病める時も・・・・」の誓いの言葉はなかったが、山あり谷ありの2人の生活だった。

36回目の結婚記念日だが、2人して支えあっていく年齢だ。

・・・・・

後何年一緒にいられるか判らないが、ともに健康でフリーな時間を大切にしていきたいと思う。

「我が家のさち」長い間本当に御苦労さま。

生活能力身につけるぞ!地縁も深めていくつもりだ。

今年は地区の自治会の役員も引き受けた。結構仕事はあるが、アーチェリーに優先させて地元人に溶け込んでいくつもりだ。

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001 ←庭の桜草

花言葉は「長続きする愛情」らしい。

そうあって欲しいものだ。

2010年5月 3日 (月)

回路屋の育ち方16

インダクタンス性負荷を定電流駆動する回路は、多くのセンサ回路で必要とされる。

しかし、V=Ldi/dTだから、電流を高速に切り替えようとすると相対的に高い電圧が必要となる。定常時はインダクタンスの抵抗分だけを支える電圧だけでよい。従って、ドロッパ式定電流源では、消費電力と高速電流変化は基本的に両立しない。

スイッチング電源方式だと、出力電流平滑用のコンデンサと負荷の共振点があり、制御が難しい。

そこでアナログエンジニアは考えた。インダクタンスエネルギーを小容量のコンデンサに回収できれば、次回以降の電流の急速な立ち上がりが可能ではないかと。インダクタンスエネルギーの回生はHブリッジを使えば実現できる。あとは、制御性に応じてD級アンプ形式をとるか、ドロッパ式の高精度制御をおこなうかの選択がある。

いつの時代にも、成功しそうなアイディアが実現に近づくと、その成果に群がる2流技術しか持たない技術リーダーが存在する。FM氏もそうだった。しかし、私のアイディアだから、あなたの担当の製品でも私が指揮する。それが私が30倍の効率アップを実現に導く条件だとせまった。FM氏は手を震わして反論したが、結局私の指揮下で開発を進める裁定が下った。

エンジニアの成果の評価には十分注意する必要がある。誰が真の開発者か組織の中ではあいまいになりがちである。その方が都合のよい3流エンジニアが巷には多くうごめいているからだ。

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017 ←庭に咲いた黄花カタクリの花

禁煙10日経過、ニコチンパッチのおかげで何とか吸わないで過ごしている。

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