フューズ内蔵抵抗
現在は高調波電流規制のためあまり見かけることはないが、スイッチング電源の突入電流抑制のため、整流回路-平滑コンデンサの間に抵抗を挿入することがある。
商用電源のインピーダンスは低いので、何もしないと数10Aの電流が数サイクル流れる。この電流は平滑コンデンサを充電するための電流で、安直には起動時のみ抵抗を挿入し、回路が起ちあがったら、サイリスタなどで抵抗を短絡する。抵抗を挿入したままだと、大きな電力定格の抵抗が必要になるとともに、電力効率も低下する。そこでサイリスタで短絡するのだが、万一サイリスタの点弧に失敗すると、抵抗が焼損するので、フューズ内蔵抵抗がこの部分に使われていた。
現在は昇圧コンバータなどを使い、突入電流の抑制と校長は電流規制をクリアしているものが多い。
商用電源+変圧器+コンデンサ平滑の大容量電源でも、突入電流の問題は発生する。安直な対策は系のインピーダンスを上げることであり、電源回路に抵抗を挿入して突入電流を抑制する場合がある。
3相交流は別として、インピーダンス要素にチョークコイルは使いにくい。過渡特性が悪くなるためである。L+C構成にすると、電源投入時にオーバーシュートし易い。それで、突入電流の抑制を抵抗で制限するのだ。
今では、大容量AC-DCコンバータには高調波電流抑制回路を備えているので、起動時の挙動は穏やかである。
このような突入電流の大きな電源回路が使用されていると、スローブローフューズを使っても、適切なフューズの選択は難しい。
電源回路は電子回路システム全体の電力源であるがために、信頼性の要である。しかし、枯れた技術であるので、アセンブリメーカーでは人もいないし、量産規模の関係から専業メーカーからの供給を受けるのが通例である。
また一つ、回路技術がブラックボックスの闇に吸いこまれていく。
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