アーチェリーの射角
競技用の洋弓の矢の初速度は50-60m/sであることが多い。仮に初速60m/sとすると、最長競技距離の90mなら飛行時間tは1.5秒。その間に落下する距離はgt^2/2≒11.0mである。
アーチェリーの照準はアンカー位置と照星位置の距離が約70cmだから、水平に対し、射出角θは11/90≒0.122ラジアンである。同じ条件で競技距離が70mなら、落下距離は6.7m、角度は0.095ラジアンである。差は0.027ラジアン。
この差を生む照星位置での差は、0.027×70=1.9cmである。仮に90mの照準で70mを射つと、1.9m上に着弾することになる。
長距離では、照準間違いはかなり危険である。
この計算では、空気抵抗を考慮していないので、もう少し着弾位置は高くなる。
もっと初速の大きいコンパウンドボウでは、初速が80m/s以上になる。やや強めのコンパウンドボウなら、初速は90m/s程度となろう。この場合には、90mと70mの照準位置は0.0153ラジアン異なり、11mm変化する。90mの照準で70mを射つと着弾位置は1m上になる。
中級者の矢速は50m/s位が多いので、照準は20m当たり約24mm変化する。
初速のばらつきに対して、高速矢の方が圧倒的に有利である。
なお競技距離Lmで着弾位置をxcm修正するには、x×L/0.7を目安に修正すれば良い。
照準器の位置は案外大きく修正することになる。70mなら修正量は着弾誤差のの1/100程度となる。
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コメント
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70mでのサイト位置の変化を1.9cmとしたのに、次の式では着弾点の差が1.9mになっているところが判らなかった。
又、矢の到達時間を計算する際にT=S/Vで計算されていますが、詳しくはVcosθで計算すべきと思います。
投稿: JUN | 2010年6月30日 (水) 18時03分
JUNさん こんばんは
サイトとと目の位置は約70cmが前提で、70m先では、その100倍が矢の射出方向からのずれで1.9mとなります。
2番目のご質問はVcosθですが、女子リカーブでの競技者で弱い弓を使っていると、射角は5度弱になります。厳密にはご指摘の通りです。0.1rad程度以下なので、角度の2乗項を無視しています。
90mでは、θの2乗項の影響と空気抵抗の影響でこの計算値より少しサイトの下がり方が大きくなります。
なお.20m程度以下では、目と矢筋(アンカー位置)の視差のため、サイトは10数mで最も高くなり、それより近いと、サイトは下がります。このパララックスも無視しての間に計算です。
投稿: 5513 | 2010年6月30日 (水) 19時28分