オペアンプの3つの使い方
オペアンプは通常、強い負帰還をかけて使う。もっと、正確には強い負帰還を安定にかけて使う。
他の使い方としては、正帰還を掛けて使う。そのまま高利得アンプとして電圧比較器(コンパレータ)との使い道がある。このような使い方では、負帰還を掛けた時に発振しても構わないから、発振防止用の位相補償コンデンサを省略したコンパレータ品種を使えば、同一半導体プロセスを使用していても、より高速になる。
オペアンプにおいて、「仮想短絡」=(+入力端子と-入力端子電圧が等しくなる)が成立するには、①問題となる誤差の逆数以上の電圧利得があること、②電圧・電流オフセットが無視できること、③制御安定性が確保されていることが前提になる。
オペアンプの周波数特性は1次遅れ系で近似でき、周波数が反比例して電圧利得は小さくなる。従って、汎用オペアンプなら数kHz以上では仮想短絡が成立しなくなる。
扱う電圧・電流が小さくなれば②の条件が成立しなくなる。
③の条件は少し厄介だが、微分回路や負荷に大きな容量があると発振する。発振状態では入力に関係なく周期的波形が出力される。許容される出力負荷容量は汎用オペアンプでおよそ2000pFが目安となる。高速オペアンプではもっと少ない。
1入力反転増幅器の+・-入力端子を入れ替えると正帰還がかかり、ヒステリシスコンパレータとなる。この場合には、仮想短絡は成立しないし、同時に出力電圧のダイナミックレンジが問題になる。
仮想短絡の概念を使うと負帰還を掛けたオペアンプ回路の基本的入出力関係を迅速に求めることができるが、オペアンプとその周辺回路の定数の選択の指針は得られない。
オペアンプの2次的特性を考えることにより、初めてオペアンプ品種の選択指針、回路定数の決定ができることを忘れてはならない。
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