フォト
無料ブログはココログ

このブログについて

  • 著作権の扱い方
    著作権はコメントを含めて投稿者に帰属します。投稿者本人が著作権をもち、責任も持つという意味です。 リンクはご自由にして構いません。 原則公開です。 批判も含めてコメントは公開いたしますが、営利目的などの記事は、管理者権限で削除することがあります。コメントは管理者の承認後、反映されます。 ただし、TBは現在許可していません。

著作

  • 共著:「次世代センサハンドブック」培風館(2008)、「マイクロセンサ工学」技術評論社(2009.8)
  • 連絡先
    私への講演、セミナー、技術指導などのご依頼はこちらまで↓ okayamaproあっとまーくyahoo.co.jp  あっとまーくは半角の@にしてください
  • 単独著
    アナログ電子回路設計入門 (1994.12)、コロナ社: 実践アナログ回路設計・解析入門 (2005.1)、日刊工業: オペアンプ基礎回路再入門 (2005.7)、日刊工業: ダイオード・トランジスタ回路入門 (2005.12)、日刊工業: スイッチングコンバータ回路入門 (2006.9)、日刊工業: これならわかるアナログ電子回路基礎技術 (2007.6)

専門とする事項

  • 電源を含む精密アナログ電子回路の設計・開発、およびその教育、技術指導。センサ・アクチュエータシステムの構築。電子機器の不良解析指導および再発防止指導。解析主導型設計の推進と回路シミュレータの実践的活用指導。技術的側面からのプロジェクト管理指導。

Twitter

新刊

  • 岡山 努: アナログ電子回路の基礎と入門!これ1冊

« 2010年5月 | トップページ | 2010年7月 »

2010年6月

2010年6月30日 (水)

IC時代のアナログ技術

量が出るアナログ機能回路はどんどん集積化されている時代となった。40V以下(±20V)の回路で高パワーでなければ、多くの回路が集積回路に少ない外付け部品で実現できる時代となった。

集積回路時代のアナログ回路は、多くの回路設計者が半導体メーカーの推奨する式に従って回路定数を定める作業により回路ユニットに組み込まれていることを意味する。

しかし、ひとたび集積化できない仕様や、数量の点で集積化できない機能を実現する場合には、トランジスタ・ダイオードレベルからの設計が含まれる。このようなアナログ回路はシステムの基本性能を決めることが多いのだが、入門者にとって一人前と見なされるレベルがよ高くなることを意味する。

集積化時代のアナログ回路屋は次の3極に分かれていくのではないか。

1)大多数を占めるアナログICを使った設計者

2)アナログ集積回路を造る半導体メーカー内の設計者

3)ICでは実現できない性能・仕様のアナログ回路の設計者

------------

アナログエンジニアは3番目の世界で主に仕事をしている。自然界の情報を得るセンサや自然界に働きかけるアクチュエータ関連のアナログ回路が主体となる。

そして、半導体メーカー内のアナログ回路設計者もまた、分業の世界にいるようだ。半導体プロセス屋さん、素子パラメーターを測る人たち、単位機能を設計する回路屋さん、それを組み合わせてシステム化する人たちがいるはずだ。

分業化の進展に伴い、自然界=アナログな世界との接点が希薄になっていくのは時代の流れかもしれない。

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

2010年6月29日 (火)

トランジスタのVBEは0.6V?

シリコントランジスタのベース・エミッタ間電圧は0.6Vと言われることが多いが、実際は違う。

温度とチップサイズに大きく依存し、コレクタ電流の関数である。ただし、小信号用トランジスタを0.1mA程度、常温で使用するときには多くの品種で0.6~0.7Vに入る。

アナログエンジニアはデーターシートに関係なく、トランジスタを使う際にはコレクタ電流約1mAでVBEを実測する。

I1でのVBE1が判れば、他の任意の電流I2でのVBE2が判る。

VBE2-VBE1=VT・ln(I2/I1) 熱電圧VT=kT/q(k:ボルツマン定数、T:絶対温度、q:素電荷)で、常温で26mVである。

電流でe(自然対数の底)倍=2.7倍変わると、VBEが26mV変わる。10倍で60mVである。

このことを利用して、自己加熱や各部の寄生抵抗の影響しない動作領域でmV単位でのVBEを予測できる。

異なる温度では、温度係数ΔVBE/ΔT=-(1.25-VBE)/T (T:絶対温度)を用いて計算すれば高精度の予測が可能である。

実測方法は、たとえば10V程度の電源と10kΩの抵抗とCB接続したトランジスタを直列につないでVBEを測定すればよい。

実際にプロとして個別部品でトランジスタ回路を組んでいる人なら、VBEが0.6V、温度係数-2mVとはふつう言わない。VBEは0.1Vくらいから0.8V程度まで使用電流により変わる。温度係数も、-1.5mVから-3.8mV/℃程度まで使用条件により異なるのである。

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

2010年6月28日 (月)

ウィーンブリッジ発振回路3

ウィーンブリッジ発振回路本体は振幅に着目すると、発振周波数に対応する時定数をToとして、発振利得条件βとして(1-β)に対し1/(2To・s)なる積分要素として働く。

一方、振幅制御部は、単純に構成すれば、帰還回路部は1/(1+Tf・s)なる1次遅れ要素である。

この結果、ToとTfの中間周波数でかなり減衰係数の小さな共振点を生じる。起動はノイズであり、電源オンのあと、一瞬、間を置いてふわっと定常状態に至る大部分のウィンブリッジ発振回路の特徴である。

ウィーンブリッジ発振回路を確実に正弦波発振させるには、起動時にはβより高め(AGC素子値は低め)定常状態ではβになるようにAGC素子(J-FETあるいはランプ)の可変範囲を決めることが肝要である。

----------------------

今回、3回シリーズで少し回路規模が大きく、解析結果を設計に反映する過程を述べようとした。図がJPEGで数式が書きにくいこともあって、この3回のブログでは十分な記述にならなかったとアナログエンジニアは感じている。ブログは本の1節ではないのだから、やはり、毎回読み切りスタイルがベストなのだろう。

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

2010年6月25日 (金)

ウィーンブリッジ発振回路2

Photo 昨日の続き。

ω^2=1/(C1C2R1R2)で発振周波数が決まる。周波数の温度安定性を考えると、温度補償型セラミックコンデンサかシルバードマイカコンデンサなどが選択肢となる。抵抗とコンデンサの標準数を考えると、コンデンサの数値の方を先に決めることになる。

問題は利得条件である。

オペアンプの利得条件より高利得の時、ノイズが種になって成長する。定常状態では、厳密にかつ素子ばらつきも含めて利得条件に一致させる必要がある。

このためにはGNDに接続されているR3の一部に電圧制御可変抵抗を使用する。出力電圧振幅に応じた(通常は整流・平滑した)信号と基準値を比較し、電圧制御可変抵抗を制御するのである。

電圧制御可変抵抗には接合型FETを低い(数10mV)D-S間電圧で使用するのが簡単である。よくランプを使った例を見かけるが、オペアンプの出力とランプ定格との兼ね合いで、必要なAGC範囲を得ることが案外難しい。

接合型FETに掛ける電圧は適度に少ない方が良いので、

利得条件 R4/R3=R1/R2+C2/C1 でR4/R3の比を大きくするようにR1/R2+C2/C1を定めることもある。

また、整流平滑した後、基準電圧と比較し増幅するので、接合型FETのゲートに発振周波数に対応したリプルがかかり易く、波形歪みの原因となる。

R3の一部をJ-FETにすることにより、R3の値の範囲に制約がつく。

振幅安定性の観点からは、AGC回路による帰還量を増やしたいが、先のリプルとの兼ね合いでむやみに帰還量を増やすことは得策ではない。

なお、J-FETのD-S間抵抗の温度依存性が0となるバイアス(AGC電圧)条件があるので、実働条件で0温度係数付近になるよう調整する手段もある。

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

2010年6月24日 (木)

ウィーンブリッジ発振回路1

Photo 図はウィーンブリッジ(Wien Bridge)正弦波発振回路の原理図である。

設計に際しては一般形のまま図の回路を解く必要がある。

とりあえず関心があるのは、発振周波数と発振条件である。一巡伝達利得が1であればよい。

オペアンプの+入力端子電圧をViとして、キルヒホッフの法則で解き整理すると、

Vi=jωC1R2Vo/{jω(C1R1+C1R2+C2R2)-ω^2C1C2R1R2+1}

となる。上式が実数になるためには、

ω^2=1/(C1C2R1R2)である必要がある。(位相条件)

位相条件を満たした上で、Vi=Voとなるためには、

C1R2/(C1R1+C1R2+C2R2)=R3/(R3+R4)

これを整理して

R4/R3=R1/R2+C2/C1 となる。(振幅条件)

ここまで計算するのは慣れないうちは結構大変である。アナログエンジニアは出発式や移項の際のミスに幾度計算しなおしたことか・・・。

この2つの条件を満たし具体的な回路とするには、位相条件と振幅条件式をどう工学的に解釈するかに依存する。(次回に続く)

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

2010年6月23日 (水)

小信号OR大信号

工学分野は様々で、形容詞の意味する数値も分野毎に異なる。

たとえば、「高」周波だと、通信分野では10GHzでも早くないが、強電分野の人は数100Hzで高周波と言うらしい。

大・小も同様である。

トランジスタ回路の小信号(電圧)とは、回路各部の動作が線形近似できる範囲を指すと考えている。

ベース電圧とベース電流が線形と見なせる範囲は、熱電圧q/kT(q:素電荷、k:ボルツマン定数、T:絶対温度)、常温で約26mVに比べて十分小さい電圧変化である。具体的に、アナログエンジニアが考えるトランジスタ回路での小信号とは1-2mV以下の電圧変化である。

この程度の電圧変化であれば、無信号状態での各部のトランジスタのパラメータから大きく変化することはないので、線形解析ができる。手計算でもかなり詳しい解析が可能である。

「微小」信号なら、高精度オペアンプのオフセット電圧ドリフトとの比較になる。1μV×環境温度変化位が目安となる。

大信号なら、非線形解析になるので、動作領域分けして解析するか強引な近似で全体像をつかむ。

エンジニアが形容詞で連想するのは、工学的扱い方が異なってくるか否かに大きく依存する。異分野の方と話す時には形容詞はいらない。淡々と数値で話すのが良い。

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

2010年6月22日 (火)

オペアンプ回路の帯域

オペアンプを用いた実利得1000倍程度の高利得アンプでは、DC特性を優先的に選ばざるを得ないので、周波数特性を伸ばしにくい。

たとえば、利得帯域幅積が1MHzのオペアンプを用いると、実利得1000倍では1kHz(-3dB)になってしまう。

この制約を緩める手段として、2段のオペアンプで増幅する方法がある。

同じ品種のオペアンプなら、利得配分を√1000≒30づつにすれば、3帯域は30kHz(-6dB)となる。この場合、高周波では-40dB/桁となってしまうので、過渡応答上不都合が生じる可能性がある。

約1桁の間、1次でロールオフする方針なら、初段100倍、2段目10倍の利得配分にすれば帯域は10kHz(-3dB)となる。これでも10倍帯域が広がる。

さらに、初段にDC特性の優れたオペアンプを用い、10倍程度利得を稼ぐ。次段はそこそこにDC特性が良好な高速オペアンプを使えば、帯域を100kHz程度まで伸ばすことが可能である。

外部位相補償ができる高精度オペアンプが入手しにくいので、アナログエンジニアは若干のコストUPと引き換えにこのような手段をとることもあるのだ。

外部位相補償タイプか、利得100以上で安定でその代り100倍高速な高精度オペアンプがあれば、こんな手段は使わんくとも良いのだが・・・・

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

2010年6月21日 (月)

信号源抵抗と入力抵抗

信号電圧は信号源抵抗とアンプの入力抵抗で分圧されて増幅される。したがって、入力抵抗が小さいと、同じ信号源抵抗でも見掛け上増幅率が低下して観測される。

1石エミッタ接地回路では、ベース入力抵抗はベース電流IBと熱電圧VTからri=VT/IBと計算できる。熱電圧VTは常温で約26mVである。hFE=100と仮定してコレクタ電流IC=1mAなら、ri=2.6kΩである。

オーディオ用信号源は600Ωか50Ωの正弦波発生器が普通だから、600Ω系なら増幅率は信号源抵抗を考慮しない場合より、2割ほど予測値より低い値となる。そして、その値はhFEの影響を受ける。無視できない入力抵抗を持つ増幅器の増幅率は、信号源抵抗を規定しないとあいまいさが残る。

電流帰還形のバイアス回路では2本の抵抗でベース電圧を定め、ベース電位よりVBE下がった電圧がエミッタ電圧になることを利用して、IC=エミッタ電圧/REとすることでコレクタ電圧を安定化している。

この2本のベースバイアス抵抗も回路の入力抵抗の一部を構成し、通常は10%前後影響するので無視できない。

さらに、1石エミッタ接地増幅器は反転増幅器であり、コレクタ・ベース間にミラー容量Cobが存在する。Cobは増幅率倍に見えるので、増幅率により高域周波数帯域に影響を及ぼす。

さらに、波形ひずみを考えると、増幅率の測定の際の信号電圧はVTに比べて十分小さくなければならない。

このような考慮を払って、1石エミッタ接地増幅器の増幅率がより正確に求まるのだ。

1石エミッタ接地増幅器の詳細解析は、トランジスタ増幅器の第1歩である。

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

2010年6月19日 (土)

私のエコ運転

私は反射神経が良い方とは思っていない。割り込まれることもあるが、車間距離を多めに取り先読み運転でカバーしている。

車間距離を少し多めに取ると、前後左右の状況を把握する余裕が生まれる。たとえば、進行方向の歩行者用横断信号が点滅しているなら、十字路の直前で黄色に変わることもあるから、タイミングを測り走り抜けるか、止まるかを選択する。

車間距離に余裕があると、前が赤信号ならバックミラーを見て後続車との距離を確認して、距離が十分あればその時点で惰力走行に入る。60km/hから35km/hまでブレーキを踏まずに走行できれば、運動エネルギーの約2/3を回収したのと同じ効果がある筈だ。そして緩やかにブレーキングするだけで、停止できる。運が良ければ、赤から青になりブレーキを踏むことなく、前車との車間距離、相対速度を適切に保ったまま信号を通過できる。

同じく起伏のある場所では、上り坂の少し手前で惰性で速度を殺し、次の下りでブレーキを踏まないで済むように調整する。これも車間距離を少しだけ長く余裕があることで可能になる。

もちろん、制限速度以上にその道の流れるスピードに合わせて走る。30km/h制限の場所ではきっちり速度落とす。30km/h制限の場所はそれでも怖い場所であると考えている。

前に余裕があると、左右・後方安全確認ができるので予測可能なことが増えるのだ。

急加速、急減速は基本的にやらない。2000rpmちょっとぐらいで加速しても流れに乗れる。急加速や急減速をやるような場面に遭遇しないようにしているので、その頻度は少ない。

エコ運転の観点から見ると、2.5L車で市街地走行で10-12km、高速道路で14-15km/L程度で、条件の良いときには高速道路で16km/Lを超えたこともある。

車は運転法で相当燃費は変わると考えている。経済速度は70km/h前後の様だが、市街地では出せないし、高速では遅すぎる。記録を狙えば良いというものではなかろう。

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

2010年6月18日 (金)

半導体素子の絶対最大定格

最大定格は瞬時とも超えてはならないが、瞬時であっても即、素子破壊するとは限らない。

この意味するところは、最大定格を瞬時であっても超えれば半導体メーカーの保証するところではないという意味にとるべきだろう。余裕のある項目やばらつきの下限を考慮して定めている場合もある。一方で、破損を生じる実力値と最大定格が近接している項目もある。

いずれにせよ、外来サージも含め過渡的にも最大定格を守るのは設計者としての当然の態度である。尤度がなければ、設計上の未知要素が加わったとき素子は耐えない。

安全係数として、最大定格から適宜低減した値で設計する、これがディレーティングである。

最大定格オーバーで即故障しない例としては、ベースエミッタ耐圧オーバーで電流制限されている場合や、小容量のコンデンサ(寄生容量を含む)負荷のスイッチング時などが考えられる。

アナログエンジニアはやみくもにディレーティングして素子を使うことはない。ただし、サージや過渡現象も含め最大定格を必ず守る。ここが肝要である。

たとえば、整流用ダイオードであれば、起動時の突入電流の耐サージ電流や最悪時の電圧の組み合わせも考慮する。

まして、故障原因追究の際には、最大定格と実力値は異なるので、繰り返し頻度や実力値の差を考慮して的を絞っていく。

いずれにせよ、最大定格に近い状態で設計せざるを得ない状況は必ず存在する。たとえば、高耐圧素子を使う場合には、耐圧が必要であるからこそ、その素子を選択するのだから、余裕は取れないのである。

そのような場合には、設計の精度を上げ、不慮の過渡現象への対策も行ったうえで敢えて低いディレーティング率で使うのだ。

半導体屋さんから見れば、無茶な使い方かもしれないが、半導体物理やパッケージなどきちんと考慮していれば、そんなに簡単には半導体素子が壊れる項目ばかりではないのだ。リスクの評価がきちんとできるかどうかが信頼性の分かれ目となる。過去40数年で何度かやったが、今のところ失敗はない。もちろん、他人には勧められない危険な設計法ではあるが・・・・。

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

2010年6月17日 (木)

定電圧ダイオード

定電圧ダイオードは、pn接合の降伏を利用した素子で電流の変化に対して電圧変化の少ない2端子素子である。そしてpn接合を降伏させて使用することを前提としたつくりになっている。

しかし、定電圧ダイオードは温度に対しては降伏電圧が一定であるとは限らない。

たとえば、降伏電圧35Vの素子はおよそ+30mV/℃の温度係数をもち、100℃の温度変化で3Vも変化する。定電圧ダイオードの電圧の温度係数は、5.6V付近で0になり、高電圧になるにつれ温度係数が+に増加する。

電流依存性は9V付近が急峻で、もっと高い電圧では基板抵抗が影響して流れ初めはシャープであるが、オーミック性の電流依存性が大きくなる。低い電圧では、降伏特性はソフトで順方向ダイオードの直列接続よりも電流依存性が大きい場合もある。

安価な機器では、ほぼ0温度係数となる5.6V付近の定電圧ダイオードが多く使われる。

定電圧特性は降伏電圧が高い方がシャープなので、ダイオードと定電圧ダイオードを組み合わせた温度補償形があり、順ダイオードが1個の物は6.4V、2個の物は8V付近となる。

定電圧ダイオードの使用に際しては、流す電流の変化と温度変化に伴う降伏電圧の変動に十分配慮することが必要である。

特に高電力で使用する場合には自己過熱による温度上昇があるので、起動時に降伏電圧が徐々に増加する。

定電圧ダイオードは多く、基準電圧を得るために使用されるが、他の使い方としては電圧サージの制限用素子としても使われる。この際には、サージ電流の継続時間を考慮して定格以上の電流を流す設計にならざるを得ない。

定電圧ダイオードの耐電流は、仕様には記載されていないので自己責任で使うことになるが、サージの継続時間の平方根の逆数に比例して耐電力が上がる。

品種にもよるが、アナログエンジニアは非繰り返しでは公称1Wの定電圧ダイオードに1KWのサージ電力を吸収させることもある。

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

2010年6月16日 (水)

オペアンプのPSRR

オペアンプのPSRR(power supply rejection ratio)は、電源からのノイズが入力換算でどの程度混入するかの指標で、周波数の関数です。

汎用オペアンプだと1MHzで数dB、信号として扱える周波数特性と大体同じオーダーです。高周波ノイズになると、もう殆ど電源ノイズがそのまま出力に出てくるのです。

データーシートのPSRRの周波数特性図をもとにオペアンプの電源品質を確保するわけですが、扱う信号レベルが低いと相対的に電源に混入する高周波成分を抑制する必要が生じます。

スイッチング電源などはスイッチング周波数に同期したスパイク性のノイズを発生しますので、フィルタを入れる、3端子レギュレータで2段に安定化する、などの対策を行います。

電源品質が悪いと、PSRRを介しオペアンプの出力が変動しますから、低レベルの信号増幅では大いに問題になります。

オペアンプの入力レベルが決まれば、必要な安定度に応じ、電源のノイズも抑制しなければなりません。SW電源のみだと、数10倍もオペアンプの出力ノイズが増える場合もあるので、精密アナログ回路では電源にはいつも注意を払います。

なお、回路シミュレータのオペアンプのモデルは、オペアンプの内部回路を再現したものでは通常なく、マクロモデルで作られており、PSRR特性まで表現したものではありません。

オペアンプの電源ノイズ影響を見積もるのに、SPICEを使うのは自殺行為に等しい。

回路は電源に始まって、電源に終わる感もあります。

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も応援の貴重な1票をよろしくお願いします。【押す】

2010年6月15日 (火)

梅雨=高湿度

当然であるが梅雨時は高湿度の季節である。空調環境でも大抵湿度は上がる。

湿度が上がると、プリント基板の表面抵抗が下がる。表面処理のしていない狭い沿面距離の回路基板では、パターン間での漏れ電流の増大が生じる。

高インピーダンス回路、高電圧回路との共存、微弱電圧・電流回路は、湿度の影響を受け易い。このような条件が重なると、出力信号が不安定になる。

沿面距離が1mm程度、良質の基板なら結露でもしない限り、mA程度で動作する回路で問題になることは少ない。

しかし、上記の条件の組み合わせによっては回路動作が不安定になる。

両面ソルダーレジスト基板ではラインがカバーされているのかなり湿度に強くなる。

高電圧回路では、基板の表面抵抗の低下のみならず、使用する部品のリード線間の表面絶縁も問題になる。不規則な無声放電によりノイズの発生源にもなりえる。

一番安直な方法は、パターンのスペースを広げることであるが、基板寸法が大きくなる。

高電圧回路と微弱信号回路が共存する場合でスペースが足りないときには、微弱信号回路をGNDラインで囲む手段もある。

奥の手は要所に切り込みを入れて空気絶縁に期待する。

もっと厳しい条件なら、必要部分のみシールドを兼ねた密閉容器に吸湿剤を入れる。

防湿対策には場所とコストがかかる。低コスト屋外設置量産品では知恵の絞りどころだろう。

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

001 ←牡丹の葉についた無数の水滴。

精密アナログ回路屋にとっては嫌な季節である。

2010年6月14日 (月)

負荷曲線/負荷線

エミッタ接地1石トランジスタ回路の説明で伝統的に使われる負荷曲線:アナログエンジニアは嫌いである。

負荷曲線はベース電流をパラメータとしたトランジスタのVCE-IC特性図に重ねて、縦軸切片が電源電圧VCC/RL、横軸切片がVCCの直線を重ね書したものである。

これは、単に出力電圧Vo=VCC-RL・ICの式をグラフ化したものにすぎない。そしてトランジスタ特性との交点から逆にベース電流を読み取っている例は少ない。

このような本では、1石トランジスタ増幅器の増幅率の予測方法を記述している例はほとんどない。

簡単な式でも、多項式をグラフ表示すると逆に複雑化し理解を妨げる。専門書では負荷曲線をまず使わないだろう。

電気現象は精密に数式表現できる。それなら、式で表現する方が直截的でわかりやすいと思うのだが・・・・。

なぜ、このような表現のある超入門書を私が読んでいるか。正確な表現をしながら初心者向けの本が書けるものかどうか、検討するための素材として読んでいるのだ。

今読んでいる本には、「電圧増幅率AVの最大化を狙うRLとICの組み合わせは慎重にせざるを得ません。」の記述がある。これは、間違った記述である。私なら、1石トランジスタ増幅器のAVは、最適設計を行えば負荷RLにかかる電圧と信号源抵抗で殆ど決定される旨の表現となるだろう。

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

2010年6月10日 (木)

商用電源整流回路

多くの電子回路は単相商用電源を利用する。その構成要素は、電源変圧器、整流回路、コンデンサ、概略抵抗性負荷からなる。

この回路構成は簡単には解析的に解くことができない。元電源たとえば変圧器の内部抵抗を考慮すると、整流ダイオードの存在のため非線形回路になり流れる電流波形は正弦波でなくなる。

交流を整流すると実効値の√2倍の電圧が出るなどの説は、まったく実用にならない。

現在の電子回路が必要とする電圧は15V以下のことが多く、ダイオードの順電圧を無視できない。電源整流+コンデンサ平滑だけでは電源品質が悪いので、ふつうその後段に安定化電源回路を組む。このような構成で、商用電源の変動幅±10%を考慮し、ドロッパ式安定化電源回路での電圧降下を考えると、変圧器の公称出力は、必要なDC出力電圧とほぼ同じ程度必要になる。

変圧器は、抵抗負荷で定格負荷電流の時公称出力電圧が出るように設計されるので、軽負荷時には電圧が上昇する。(電圧変動率)部品の耐電圧も注意する必要がある。

整流器は信号用ダイオードに比べ高い電流密度で使用するので、シリコンダイオードだと1Vを超える順電圧で運転されることも珍しくない。

コンデンサはその電流定格とリプル率の兼ね合いで、リプル電圧は0.5-5V程度にならざるをえない。

たかが、変圧器を介し商用電源を整流する回路であるが、設計レベルで扱うには結構難しいのである。

非線形性問題なので、シミュレーションを用いるか、設計図表を使わないと扱いきれないのである。

アナログエンジニアは整流平滑回路を設計技術解説の最初に持ってくることはしない。

解くのが難しいうえ、過渡応答の問題も含むからである。

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

2010年6月 9日 (水)

キルヒホッフの電圧則

キルヒホッフの電圧則は、回路ループを1周して同じ点まで電圧を加算していくと0電圧になるというもの。

抵抗回路なら、「向き」を考えたオームの法則と組み合わせて、電流則で出た方程式を組み合わせると、各部の電圧、電流が決まる。

コンデンサを1/jωC、インダクタンスをjωLとおけば、RCL回路のAC定常電流、電圧が求まる。

キルヒホッフの電圧則でも冗長な式が出てくるが、慣れればすぐ必要な式だけ得ることができる。(同じルートのループを辿らないようにすることが必要条件)

とあれ、オームの法則とキルヒホッフの電流則、電圧則を利用すれば、回路の電圧、電流を求めるために必要な回路方程式が得られる。

そして、コンデンサのインピーダンスを1/jωC、インダクタンスのインピーダンスをjωLとおけば、交流回路の周波数特性(AC定常解)が得られる。結果は複素関数となる。

さらにCV=∫Idt、V=LdI/dtを用いれば、過渡現象も表現できる。

キルヒホッフの法則を用いた回路解析は、方程式の数が多くなるので注意深く移項しながら解かないとすぐ間違える。演算量も多い。従って、最初から複雑なモデルで解こうとすると挫折しやすい。

特定の問題には、鳳・テブナンの定理や重ねの理を用いると演算量が激減する場合がある。

回路方程式を文字式のまま解くことで、その回路の支配方程式が判り設計方針がたつ。この過程を経て、その回路ができること、できないことが判るのである。

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

2010年6月 7日 (月)

キルヒホッフの電流則

電子部品の接続点(ノード)に流入する電流の総和がゼロ。これがキルヒホッフの電流則である。交流的にも成立する。

回路解析において、この段階において実際の電流の向きを意識することは必要ない。また、数値をいれて、結果が出るまでは実際の流れの向きは判らない。

アナログエンジニアは接続点に流入する向きを正にとり、「総和=0」で立式する。

流入する電流と流出する電流は、正の項と負の項を移項して集めると、「流入電流=流出電流」となる。

実際の向きは数値解が求まるまで判らないので、各部品からの流出入電流の向きは(大抵→で記入する。)は適当に定める。

流入する電流の総和=0 で考えるのには訳がある。矢印がノードの方を向いているなら+、逆向きなら-符号をつけて機械的に立式する。このようにすると間違いが少ないと私は信じている。

キルヒホッフの電流則で立式すると、独立でない冗長な式も出てくるが慣れれば必要な式のみ簡単に取り出すことができる。

3個くらいの合流点なら、第3の電流をI1-I2と直接置いて、未知数の数をあらかじめ減らすことは、計算量を減らすことに直結する。

キルヒホッフの法則を使う際には、特に符号の間違いが出やすいので、立式過程やその後の移項の際には注意深く処理することが必要だ。

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

006←庭の片隅に咲いたミニバラ。

2010年6月 4日 (金)

オームの法則の向き

オームの法則はV(電圧)=R(抵抗)・I(電流)であることは良く知られているが、電圧・電流の向きに注意を払わない方が結構いるのだ。電圧・電流の向きに留意しないと、次の段階でのキルヒホッフの法則のところで、大抵つまずく。そして、回路解析を試みようとする気をなくすケースが結構多いのだ。

オームの法則は電圧源と抵抗の間に成り立つ関係ではなく、2端子素子である抵抗において成り立つ法則である。

抵抗の電圧の向きに対して電流の向きは逆方向に取る。抵抗のシンボルマークを上下方向に描くなら、電圧の向きをたとえば抵抗の下を基準として、上方向に電圧の+の向きと考えれば、電流の正の向きは下向きに取らなければならない。

このようにとってV=RIが成立するのだ。

もちろんVの中身が負値なら、Rは正の値であるからIも負値となる。すなわち、最初設定した向きと逆方向に電流が流れると考えるのである。

Vの向きとIの向きが逆なので、抵抗は常にエネルギーの消費者である。

オームの法則で向きを強く意識しないと、キルヒホッフの電圧則のところで正確に正負を表現できなくなる。

アナログエンジニアは初心者に回路を教えるとき、オームの法則を抵抗において成り立つ法則であるとともに、その式が成立するように向きを強く意識させる。

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

2010年6月 3日 (木)

オペアンプの3つの使い方

オペアンプは通常、強い負帰還をかけて使う。もっと、正確には強い負帰還を安定にかけて使う。

他の使い方としては、正帰還を掛けて使う。そのまま高利得アンプとして電圧比較器(コンパレータ)との使い道がある。このような使い方では、負帰還を掛けた時に発振しても構わないから、発振防止用の位相補償コンデンサを省略したコンパレータ品種を使えば、同一半導体プロセスを使用していても、より高速になる。

オペアンプにおいて、「仮想短絡」=(+入力端子と-入力端子電圧が等しくなる)が成立するには、①問題となる誤差の逆数以上の電圧利得があること、②電圧・電流オフセットが無視できること、③制御安定性が確保されていることが前提になる。

オペアンプの周波数特性は1次遅れ系で近似でき、周波数が反比例して電圧利得は小さくなる。従って、汎用オペアンプなら数kHz以上では仮想短絡が成立しなくなる。

扱う電圧・電流が小さくなれば②の条件が成立しなくなる。

③の条件は少し厄介だが、微分回路や負荷に大きな容量があると発振する。発振状態では入力に関係なく周期的波形が出力される。許容される出力負荷容量は汎用オペアンプでおよそ2000pFが目安となる。高速オペアンプではもっと少ない。

1入力反転増幅器の+・-入力端子を入れ替えると正帰還がかかり、ヒステリシスコンパレータとなる。この場合には、仮想短絡は成立しないし、同時に出力電圧のダイナミックレンジが問題になる。

仮想短絡の概念を使うと負帰還を掛けたオペアンプ回路の基本的入出力関係を迅速に求めることができるが、オペアンプとその周辺回路の定数の選択の指針は得られない。

オペアンプの2次的特性を考えることにより、初めてオペアンプ品種の選択指針、回路定数の決定ができることを忘れてはならない。

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

002←白花のカキツバタ

2010年6月 2日 (水)

抵抗の周波数特性

電子回路で用いる抵抗は、コンデンサやインダクタンスに比べて比較的寄生素子の少ない部品である。

しかし、低抵抗や高抵抗では周波数依存性がある。

低抵抗では、リード線インダクタンスや抵抗器の構造(巻き線抵抗の様にコイル状になっている)に依存して、周波数とともにインピーダンスが上昇する。数W10オーム程度の巻き線抵抗で数μHの直列寄生インダクタンスがある。従って、電流検出に巻き線抵抗を用い高い周波数の電流を測ろうとすると、微分波形が観測されることもある。

高抵抗ではパターン間の容量があるので、抵抗に並列に寄生抵抗が存在する。従って、周波数の増加とともにインピーダンスが低下する。高抵抗では1MHz以下でもインピーダンスの低下が認められる。

ICで使われる高抵抗には種々のプロセスで作られる抵抗があるが、たとえばピンチ抵抗だと寄生容量とFET効果があり、電圧にも周波数にも依存してそのインピーダンスが変化する。IC設計者の新人教育に抵抗の周波数特性を測定させるところから始める例もある。

比較的純粋な形で得られる抵抗部品だが、抵抗器にもインダクタンスや容量その他が帰省することを必要に応じて想起することは大切である。

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

004 ←先祖返りしたバラの花

2010年6月 1日 (火)

回路屋の育ち方20

初めてのD級パワーアンプを立ち上げる際には苦労した。出力は1チャンネル当たりピーク出力約6kWのアンプだが、当時は回路の詳細を理解していなかった。

パワーが大きいだけに、パワー系が壊れると制御回路も連鎖故障する。200kHzを超える高速キャリアを使用していたのだが、パワー系からのノイズでゲート波形など観測不能。

このころは、インダクタンス負荷でのアンプの挙動をよく理解していなかったので、回生ダイオードの定格不備など種々の改良点があった。

不備点1か所の発見に、1-2回の大規模回路破損が生じその復旧に数日費やした。

幸いにもこの仕事は2人でやったので、一人が落ち込んでいるときには相棒が頑張ってくれる。

回路規模としては200素子くらいで、アナログ回路としては比較的大規模である。

もちろん、出力を絞った状態から実験を始めるのだが、バラックセットでのプロービングミスなどでの破損も多数回あった。

この回路は、上司の意向で最初から最終出力が出るように試作が始まった。本当は、電圧・電力とも1桁小さい状態で回路に慣れていれば、もっと短期間で開発できたと今も思っている。

当時はパワーFETの寄生ダイオードの逆回復時間が保証されていなかったので、寄生ダイオードの動作を殺し、別途高速ダイオードを付加するという面倒なこともやった。基本形はHブリッジであったが、応答速度を上げるためキャリアが高かったので、タイミングを確保することが厳しかった。

アナログエンジニアにとって、初めての本格的パワー回路であった。素子並列、ユニット並列、チャネル並列をやって、ピーク出力20kWを絞り出した。

今なら、小形の電気自動車が動くレベルである。

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

005 ←庭のカキツバタ、紫色

« 2010年5月 | トップページ | 2010年7月 »

2021年11月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

現在のランキング