フォト
無料ブログはココログ

このブログについて

  • 著作権の扱い方
    著作権はコメントを含めて投稿者に帰属します。投稿者本人が著作権をもち、責任も持つという意味です。 リンクはご自由にして構いません。 原則公開です。 批判も含めてコメントは公開いたしますが、営利目的などの記事は、管理者権限で削除することがあります。コメントは管理者の承認後、反映されます。 ただし、TBは現在許可していません。

著作

  • 共著:「次世代センサハンドブック」培風館(2008)、「マイクロセンサ工学」技術評論社(2009.8)
  • 連絡先
    私への講演、セミナー、技術指導などのご依頼はこちらまで↓ okayamaproあっとまーくyahoo.co.jp  あっとまーくは半角の@にしてください
  • 単独著
    アナログ電子回路設計入門 (1994.12)、コロナ社: 実践アナログ回路設計・解析入門 (2005.1)、日刊工業: オペアンプ基礎回路再入門 (2005.7)、日刊工業: ダイオード・トランジスタ回路入門 (2005.12)、日刊工業: スイッチングコンバータ回路入門 (2006.9)、日刊工業: これならわかるアナログ電子回路基礎技術 (2007.6)

専門とする事項

  • 電源を含む精密アナログ電子回路の設計・開発、およびその教育、技術指導。センサ・アクチュエータシステムの構築。電子機器の不良解析指導および再発防止指導。解析主導型設計の推進と回路シミュレータの実践的活用指導。技術的側面からのプロジェクト管理指導。

Twitter

新刊

  • 岡山 努: アナログ電子回路の基礎と入門!これ1冊

« センサのブラックボックス化 | トップページ | パルスモータの位置決め精度 »

2010年7月 7日 (水)

小さい昇圧トランス

小さい昇圧トランス、たとえば出力10W、2000V級の高昇圧比トランスを考えて見よう。10VDCから2000Vまで昇圧するには巻き数比は単純には1:200である。平均電流Iは、電力Pが決まれば、P=VIでI=0.5mAである。

電流が小さいので、当然細い銅線を多数回巻くことになる。細い線はエナメル層が相対的に厚いので、2次側に必要な巻き断面が大きくなる。したがって、コア断面積Sに比べ、コアの窓面積の大きな特殊形状のコアを選ぶことになる。

次に問題になるのは、2次側の寄生容量である。出力電流が小さいので10pFオーダーの寄生容量も波形を乱す原因になる。

やや大きめのコア断面積のコアを使用して1次巻き数を10ターン程度としても、2次側は1000~2000ターンとなる。2次側の抵抗成分も数10Ω程度になる。

2次側の巻き数を抑えるために、DC-DCコンバータ形式で昇圧するが、1次側のスイッチングノイズを軽減することと、層間耐電圧を確保するためにどうしても絶縁層が厚くなる。

必要な絶縁層の厚さは基本的には大きさに依存しないから、相対的に1次-2次間の漏れ磁束が増える。

このように、小形・高昇圧比のトランスは効率が悪く、寄生成分の大きなトランスとなってしまう。それでも、コア形状、巻き線方式、絶縁方式を工夫してよりましなトランスを製作するのである。

強電用トランスの様には、何事も理想的に造れないのだ。

さらに、多段昇圧回路を組み込むことが多いので、順方向にも逆方向にも低インピーダンスとなるよう、1次側の駆動方式が限定される。

ブラウン管式のTVという大きい市場がなくなった現在、小電力、高圧回路の種々の部品の安定入手もだんだんと難しくなる。

難しい割に、技術的なポジションも高くない。それでも、アナログエンジニアは回路的工夫を付けくわえて、高電圧を発生させ続けるのだ。

『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】

« センサのブラックボックス化 | トップページ | パルスモータの位置決め精度 »

電子回路」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

2021年11月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

現在のランキング