電圧オフセット調整
オペアンプの入力電圧オフセットは、オフセット調整端子にトリマ抵抗を接続し入力電圧をゼロにして、出力を観測しながらトリマ抵抗を位置を決める。
オフセット調整には、入力短絡のための端子と観測のための端子を出し、トリマ抵抗を実働下で回せるようにしておく必要がある。結構基板レイアウトを考えておかないと調整しにくいのだ。もちろん、オフセット調整端子が出ている品種・パッケージのオペアンプが必要である。
では、オフセット電圧調整がいつも有利かと考えれば、必ずしも常には有利とは言えないだろう。例えば、センサ回路などでは感度(利得)とゼロ点(オフセット)の調整機構をもつので、システム全体でゼロ調整する方が、個々のアンプでオフセット調整するより結果が良好になる場合が多い。アナログエンジニアはシステムでゼロ調整する手法を多く使う。センサ回路ではセンサのオフセットをオペアンプの標準的なオフセットより広く調整できるように設計する場合が多いことも背景にある。
IC内部を見ると、オフセット調整端子は初段差動増幅器の例えば2つのコレクタ抵抗にトリマ抵抗を並列接続し、トリマ抵抗の可動接点を電源に接続する形となっているものが大半であろう。そして、コレクタ抵抗は温度係数の大きな拡散抵抗である場合が多いのだ。オフセット調整はトリマ抵抗の寄与が温度とともに変わる。また、バイポーラ入力のオペアンプなら入力段のVBE差を変えるので、基本的にオフセット電圧ドリフトの値を変える。
このような背景があって、オフセット電圧調整端子を用いてのオフセット調整には十分な検討が必要である。
また、オフセット調整端子を用いて、系のオフセット/ゼロ調整をするのは大きなリスクが伴うだろう。
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