可変抵抗器の分解能
電子回路の利得やゼロ調整その他に使われる可変抵抗器は精密アナログ回路に欠かせない。
では、可変抵抗は無限に細かく調整できるかといえば、そんなに細かく調整できる訳ではない。
可変抵抗はむき出しの抵抗体と接触子をもつ。巻き線抵抗なら、巻き数の逆数がほぼ分解能を与える。金属膜抵抗体なら、抵抗体は十分均一として、接触子の接触状態の安定性により制約される。
可変抵抗は原則として、人手で調整するものであるから、手作業で設定できる角度程度、具体的にいえば角度の1度より少ない微調整は困難である。
多回転型なら、分解能はn倍に向上する。
抵抗体の分解能か設定可能分解能のいずれか厳しい方が制約条件となる。
1回転形ならせいぜい1/300程度か。10回転の大型VRで1/10000は苦しい。
多くの調整回路は±に調整するので、調整幅はその半分になる。
VRによっては、出力が回転角に比例しない非線形な回路にもなりえるので、その場合、調整範囲の端側で調整しにくくなることも少なくない。
分解能の制約を超えて微細な調整を要求する回路を作ってしまうことが多々あるが、このような回路は調整工数が大きくなり、かつ経時変化が悪く、衝撃で調整状態が狂いやすい。
可変抵抗の設計状態を見れば、回路設計者の基本技量が判るとも言われている。
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