電流増幅率hFE
バイポーラトランジスタの電流増幅率hFEは、トランジスタ回路を設計する上で重要なパラメータのひとつである。
特殊なものでなければ、hFEは100前後、最近では200程度のものが広く出まわっている。トランジスタの構造上、一般に高耐電圧の品種のほうがhFEを高く設計できない。
hFEが通常100程度あることは、主電流(コレクタ電流)に対し十分小さな(10倍程度)のバイアス回路を構成し、ベース電流がバイアス回路電流に対し無視できる(10倍程度)設計が可能であることを意味する。10倍違いでラフに省略設計してもそこそこの設計精度が得られるのが100という数字である。
hFEはトランジスタの品種、ロット間ばらつき、ロット内ばらつき、温度、電圧、コレクタ電流の関数である。種々の要因を考えれば、上限/下限で10倍変動することも珍しくない。
実装された1個のトランジスタでは、温度(周囲温度、自己加熱)とアーリー効果に伴うコレクタ電圧、動作時の電流値に依存する。
多くのトランジスタ回路はベース電流を制御し、その結果としてベース電圧が決まる。
hFEは通常2倍/100℃程度変化する。温度に敏感である。したがって、複数のVCE-IC曲線を使うアーリー電圧を求める実験では、なるべく自己加熱の少ない条件を選び、かつパルス的に手早く測定することが大切である。うまく測定すると3本以上のVCE-IC曲線の左側の外挿線がVCE軸のほぼ1点で交わる。これがアーリー電圧である。
アナログエンジニアの保有機材では有効数字1.5桁程度でアーリー電圧が求まる。
アーリー電圧は数10V~100数10V程度の値であることが多いが、電圧影響などを詳しく解析するには必要なデーターである。しかし、アーリー効果を考慮したVCE-IC曲線が描かれていない模式図がなんと多いことか。
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