回路と複素数
回路でインダクタンスやコンデンサが含まれているとき、回路の入出力関係は複素数になる。
インダクタンスLのインピーダンスはjωL、コンデンサのインピーダンスは1/jωCである。jは虚数単位で、回路では、iの文字を電流を表すもの量に使っているので、jを虚数単位に用いるのだ。
正弦波交流を扱う時には、オームの法則の代わりにインピーダンスZとしてV=ZIを使って、キルヒホッフの法則で回路方程式を立てる。
この方程式を解くと、回路の入出力関係や各部の電流・電圧が判る。しかし、この解は、正弦波を入力して十分時間が経過した定常状態の値である。
回路での複素数の扱いの背景にはラプラス変換や複素関数論があるが、過渡現象をラプラス変換で求めるには結構な数学的実力がいる。
答えが複素数の3次関数以上になったら、その特性を可視化するのは容易ではない。
このため、回路の過渡特性は往々にして解析がおろそかになる。
ここに、アナログ回路の一つの落とし穴があるのだが、ここでは深入りしない。
1/(1+jωT)の形をしている一次遅れ回路の場合、実部と虚部が等しくなる周波数を折れ点周波数と呼ぶが、この点での振幅Aは1/(1+j)の絶対値をとり、1/√2すなわち20log(1/√2)≒-3dBとなる。
両対数グラフ上で、低域の平たん部と、-45度の勾配で周波数とともに低下する直線との交点でもある。
両対数グラフ上で簡易的にグラフ化するには、折れ点周波数の3倍、1/3倍のところを、3dBの丸みをつけて描けばほぼ現実のグラフになる。
2次式になったら、共振周波数を求め、減衰係数を求めてグラフ化することになる。
3次以上になったら、1次と2次に因数分解することになるが、計算量が多く、回路要素の影響が分かりにくくなるので、多くの場合私は回路シミュレータで計算することにしている。
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