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2010年10月 1日 (金)

ベース電圧と電流

バイポーラトランジスタ(BJT)のベース電圧とベース電流の関係は非線形である。一般にはその扱い方とモデルが集積回路関連の本ではきちんと記載されていない。

BJTでは Ic=Is{exp(VBE/VT)-1} で広い範囲での特性が表現できる。VT:熱電圧、常温で26mV、VT=kT/q   k:ボルツマン定数、T:絶対温度 q:素電荷 Is:飽和電流

-1項はVBEがVTに比べ十分大きくない場合、VBEが例えば0.1Vなど極端な低電圧間で使う対数増幅器など以外では無視できる。

したがって、扱いやすく広範囲での特性表現には、Ic=Is・exp(VBE/VT)が使われる。対数関数あるいは指数関数の扱いは高校数学で学んでいる筈なので、この部分を絵解きで説明する必要性はほとんどない。

VTが26mVと小さいので、VBEの数10mVの変化で電流は1桁増えるので、方眼グラフに描けば、電圧に対し急峻に電流が立ち上がる曲線となる。

荒い近似をすれば、コレクタ電流Icが変動してもVBEはほぼ一定とみなせる。これがVBEの定電圧近似である。個別部品のBJTでよく使われる電流領域ではVBE≒0.6~0,7Vである。集積回路中ではもっと高い電流密度で使われるので、VBEが0.8Vを超えることも普通にあるという。

ここから出発すれば、入力抵抗r=ΔVBE/ΔIBは簡単に計算でき、r=VT/IBとなる。

同一トランジスタで異なる電流値で使うならΔVBE21=VT・ln(I2/I1)となる。

常温で電流が1桁変化するなら、VBEは約60mV変化する。これも簡単に計算できる。

トランジスタ、ダイオード特性を簡単な数式で比較的精密に表現できる式を用いての説明が、これからのアナログ回路技術の教育には必須であると思うアナログエンジニアである。欧米の本では、40年前からこの方法で記述されている。

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コメント

 不思議なことに、このあたりちゃんと数式で解説してある本ほど売れずに絶版になりやすい傾向にあるようです。僕がトランジスタの勉強に使った黒田徹さんの本も絶版になってしまいました。
 教えるほうが悪いとか、学ぶほうが悪いとか、いろいろな考え方はあると思うのですが、日本の教育の中にある結構根が深い問題に繋がっているのかもしれません。

UTiCdさん こんばんは
良本にであったら、すぐ買わないと2度と手に入らないの経験は幾度もあります。
自分が本を作った理由は良い教本がなく、学術と実務のギャップを痛切に感じたからです。自分の確認したことに忠実に書いてみようと・・・。

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