電流増幅率hFE
バイポーラトランジスタのコレクタ電流Icとベース電流IB=Ic/IBが電流増幅率hFEで、厳密にはコレクタ電流とコレクタ電圧および温度の関数である。多くの回路解析では、hFEを一定と簡略化して行い、同時にhFEのばらつきも検討する。
汎用小信号トランジスタでは、近年はhFE≒200位のものが多い。この数値は、厳しい使い方でなければ、コレクタ電流≒エミッタ電流と見なせる値である。
hFEの電流依存性は、一般的に小電流領域では電流の増加とともにhFEも増加する。広い範囲で見れば、数10%変化する品種もある。ただし、常用電流付近や集積回路中のトランジスタでは、hFEがフラットか電流の増加に対し、やや減少する品種もある。電流定格に近い大電流領域ではhFEは電流の増加とともに減少に転じる。
hFEの温度依存性に関しては、温度とともに増加し荒い数値で低温から高温までの温度変化で約2倍変化する。
したがって、厳密にhFEの影響を検討しても多くの回路では意味がなく、hFEのばらつきに対して頑健な回路とする方向で回路設計を行う。
電源電圧影響などを評価するときには、多く、アーリー効果(コレクタ電圧の上昇に伴う電流増加)を考慮する。アーリー効果は電子的なので早い変化である。
hFEはベース電流とコレクタ電流を同時に測定し比を取れば簡単に測定できるが、大電流領域では自己加熱に伴うhFEの増加があるので、パルス測定が必要である。
トランジスタのデーターシートで記載されているhFEやVCE-IC曲線は、連続負荷の場合とパルス測定のものがあるので、注意が必要である。
アーリー電圧の測定となると、接合温度一定の条件でないと良い結果は得られない。
細かい話になってしまったが、hFEがコレクタ電圧、コレクタ電流、接合温度に依存することを心に留めておけば役に立つことも多いのである。
『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】
« エミッタ接地の負荷線 | トップページ | 実用回路 »
「電子回路」カテゴリの記事
- 電流増幅器(2012.04.18)
- 高電圧回路(2012.04.10)
- 金属箔抵抗(2012.04.07)
- SW電源(2012.04.06)
- アナログ回路の信頼性(2012.04.05)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント