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2010年11月

2010年11月30日 (火)

整流平滑回路

教科書の初めの方に出てくる商用周波数トランス絶縁整流平滑回路は実用レベルで出力電圧とリプル電圧を予測することは案外難しい。

電子回路用では、変圧器の直流抵抗Rが大きく、これを無視できない。次に整流・平滑回路が非線形であるために正確な計算は数値解析に依らざるを得ない。

例えば、全波整流・コンデンサ平滑では通流期間があるので、必要なリプル電圧Vrpを得るコンデンサ量Cは

C=0.5Io/(2f・Vrp) Io:出力電圧、f:電源周波数 程度となる。

電子回路の電源では、通常の設計を行うと、通流期間が極端には変化しないのでこの式の値のようになる。

コンデンサインプット平滑回路では、電流の実効値が出力電流よりも大きくピーク検波に近いので、Rでの電圧降下がより大きくなるので、(2・Io・Ro程度)、実効値の1.4倍はでない。

電子回路実験を自分でやろうとすれば、まず、電源から組み立てたくなるが、案外その設計には落とし穴がある。

Rはトランスの電圧変動率から概算できる。トランスの無負荷出力電圧は公称値+電圧変動率分まで上昇する。

整流・平滑のままでは、アナログ回路用電源としてはリプル電圧が大きすぎるので3端子レギュレータなどで安定化する必要もある。

結局、10数V付近では、トランスの出力電圧は、安定化後の電圧Voと同程度の公称電圧が必要で、かつ2倍近い電力容量(VA)が必要になる。

原初的電源回路であるが、実際に作ってみると、設計しようとすると、このような問題が生じる。回路は常には解析的に解けるとは限らない。

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2010年11月29日 (月)

環境温度と回路

現代の電子回路の能動素子は温度依存性の高いパラメータをもつ半導体素子が多い。温度に不安定ではないが、温度に対し強い依存性を受ける。温度に弱いのではなく、温度によって半導体素子の特性パラメータが変動するのだ。

回路定数を決める戦略の一つに、環境温度仕様に対し頑健(ロバスト)な回路になるように工夫する。コストが許されれば、回路構成は温度影響が出にくい構成を考える。

環境温度仕様は製品の分野に大きく依存し、自動車や産業用途は温度幅で100℃程度であり、理化学機器なら空調環境下が前提で、数度の温度幅で仕様を満たせればよい場合も多い。その代わり、高い精度が必要とされる。

量産ベースの回路では常温で動作した時点からが勝負である。時にはかなりのサンプルで数ロットに対して特性を測定することも必要になる。

温度影響は一つの要因のみで決まることはほとんどない。いくつかの要因が複合し、かつ相殺している場合もある。温度影響が最終的に性能にほとんど寄与しない部品もある。

同程度の複数要因が存在する場合には、大きな要因群を消去・補償する手を同時に打たなければ、少数サンプルで目立った効果は観測されない。

温度影響の設計的予測が重要である。その出発点はダイオード・トランジスタのパラメータの温度依存性に関するパラメータに関する認識である。ダイオードやトランジスタの接合電圧の温度依存性が-2mV程度と考えているうちは初心者レベルである。接合の差電圧の温度依存性に対する検討が量産への第1歩、その次には、温度係数の非線形性も問題になる。

多くの集積回路では巧みな回路構成で主要な温度要因を消去しているものも多い。

多くの物理現象が温度依存性をもつ限り、環境温度変化する素子を用いて、いかに温度影響の少ない回路を作るかは、回路における永遠の課題といっても過言ではないだろう。

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2010年11月26日 (金)

負帰還の簡易チェック

オペアンプ回路で仮想短絡が成立するためには、回路が安定な負帰還になっていることが必要だ。負帰還になっていることの簡易チェックには、矢印↓↑を使って信号と出力の極性を確かめる方法がある。

成書でこの方法を記載しているのは、I大学M教授の本が最初であると私は認識している。

その本に出会うまでは、細々と自己流、自衛のため日常の回路チェックに私は使っていた。

やり方の概要は

① 入力に信号が入る。+の極性なら大きい↑を書く。

② オぺアンプの入力端子に少し小さい信号が↑で入る。

③ 入力端子の極性が-であれば、出力電圧は大きく↓となる。

④ その信号の一部(小さい↓)が-入力端子に戻る。

⑤ ④がオペアンプの入力電位差をなくす方向なら負帰還と判断する。なお、入力信号が単に分圧して+入力端子に入っている場合には、+信号の影響は負帰還か否かの判断には影響しない。

この方法によれば、オペアンプの出力極性のチェックとともに、回路が負帰還である=仮想短絡の成立の一前提を一目でチェックできる。

アナログエンジニアはぱっと目では、きちんと負帰還がかかっているかどうかの初期チェックに矢印を今でも使っている。

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2010年11月25日 (木)

電気自動車は本当にエコ?

電気自動車は当たり前のことだが、電池を動力にして走る。30kW・h弱の電池を搭載しても航続距離は現在のところ200km未満である。空調をかけたり、夜間ならもっと航続距離は落ちるだろう。

電池の寿命もいまいちはっきりしない。通常の2次電池は、深い充・放電を数100回繰り返せば、容量は半減する。自動車用なら、このようなことは起こらないのか疑問に思う。携帯やノートPC用の電池では、2年も経過すれば容量は激減するのは常識だ。

電池の起電力は化学反応だから、高温、低温での容量減少も気になるところである。さまざまな条件での実効電力とその経時変化のデータを公開して頂きたいものだ。ある程度の年数と電装品の使用状況を考えると公称航続距離の半分もドライブできないのではないか。

充電も問題である。家庭用の100V系なら30Aで充電するとしても、30kW・hを充電するには10時間かかる。それで安心して走れる距離は100km程度であろう。

充電スタンドで急速充電できるようにすればよいとの試みもあるが、40分で充電するには300kW/h程度の充電能力が必要になる。数台の電気自動車を充電するためには、1000kW以上の受電設備が必要だろう。このような電力は専用の受電設備と資格をもった人間による保守も必要だろう。簡単に普及するとは思えない。もとは発電所の動力であり、「走るときにCO2をださない」かもしれないが、発電所の電力の半分以上は化石燃料を使っている。

電池に含まれる希少資源も半端な量ではないだろう。そして、電気自動車のモータの多くは希少金属を使う。アナログエンジニアは資源的に見れば、本当にはエコにならないと感じている。水素自動車も、水素の扱い方の難しさを知っているなら、手を出したくないシステムだろう。電気自動車に関連している人には申し訳ないが、はやりに目を奪われて、いろいろな側面から定量的に考えることが大切だ。特に影の部分も考えたいものだ。

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2010年11月24日 (水)

コンデンサの選択

帯域が数100kHz以下の電子回路では主にC、Rで主要な特性が決まるように設計される。抵抗Rに比べ、コンデンサCは種類が多いが理想的ではなく、Cの種類と製作可能容量などを考慮して選択する。

許容誤差の少ない品種では温度係数も小さい必要があるので、選択枝は少ない。

許容差1%以下、温度係数100ppmなら、温度補償型セラミックコンデンサや、やや特殊であるがシルバードマイカコンデンサなどがある。容量製作可能範囲が狭いので、Cを優先的に選択し他の回路部分は選択可能なCに合わせて定数を決定する。

積分回路や積分形A/D変換などに使われるCでは誘電体吸収の少ないことが最も重要で、誘電体吸収が大きいと、過去の電圧履歴を回路がもつことになる。誘電体吸収の最も少ないコンデンサにはフィルムコンデンサなどの一部に限られる。その電極構成も箔電極か蒸着電極かにも依存する。

1μFを超える容量が欲しいなら、有極性コンデンサ、具体的には電解コンデンサ類が主な選択肢となる。フィルムコンデンサではサイズが過大になりすぎる。しかし、例えばアルミ電解コンデンサなら、精密な許容差は全く期待できない。アルミ電解コンデンサでは、-0、+100%などという許容差も普通にあるのだ。逆にアルミ電解コンデンサの1μF未満の小容量品は、電解液の絶対量が少ないので寿命の問題が出やすい。

ファラッド単位のコンデンサになれば、電気2重層コンデンサが電子回路では選択枝になるが、単位セルの耐電圧が少ないので、高耐圧、大容量のものは入手しにくい。

いくつかのコンデンサの選択の実情を述べたが、コンデンサの選択にはいくつもの要因を考慮しなければならない。

製作可能容量範囲、極性の有無、許容差、耐電圧、電流定格、温度特性、寿命、故障モード、温度特性など多岐にわたる項目の中で、何を優先すべきかが、コンデンサの選択にはつきものである。

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2010年11月22日 (月)

インダクタ

インダクタLは通常コイルをコアに巻いている。インダクタはC,Rに比べ通常の使用でも寄生素子や非線形性が表面化することが多い。空芯コイルでは、Q値を高く取りやすいが、漏れ磁束がそのサイズと同程度に広がるので、レイアウトに注意する必要がある。

インダクタの少し精密なモデルは、Lに並列に寄生容量Cがあり、その回路に直列に抵抗Rが寄生する。寄生抵抗Rは銅でコイルを形成する以上、銅の抵抗分を無視できないし、その抵抗による時定数L/Rも生じる。

リレーやアクチュエータでは、直列寄生抵抗が大きく、定常状態の電流がRで決まるように設計されているものも多い。

インダクタの寄生Cは巻き方にも依存するが、コイルの線間、層間に寄生し実際には分布容量であるが、集中定数として寄生させたモデルから出発する。

チョークコイルでは、普通、有芯コイルを使うので、使用電流値に依存してLの値が変わる。この模様は、電圧一定のパルス電圧をかけ、電流変化を観測すれば視覚化できる。Lが電流により低下すれば、V=LdI/dTだから、パルスの後縁で電流増加率が大きくなる。

コアの特性は、高電流(高起磁力)では飽和する方向にあるので、このようなことが起こるのである。

抵抗分が無視できないときには、パルステストでは、高電流領域で電流の上昇率が減少する。

純粋なL素子は普通存在しない。インダクタを使う際には、寄生抵抗は少なくとも考慮しなければならない。電流定格も存在する。

厳しいのは寄生容量との自己共振である。巻き数が大きい場合に生じやすく、場合によっては数10kHzの低い周波数で生じ、それ以上の周波数では容量性素子となる。

インダクタは電子回路では嫌われる、多くの電子回路設計者が苦手とする背景の一つに、寄生素子とコア、漏れ磁束の問題があると思う。

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2010年11月19日 (金)

出力抵抗

次段の負荷を接続したとき、回路の出力電圧がどのように変化するかの目安が、出力抵抗である。無負荷での出力電圧(電源)と出力抵抗で回路を模擬する。

エミッタ接地回路なら、出力抵抗はコレクタ抵抗よりわずかに低い。

負帰還の強くかかったオペアンプ回路なら、単体での出力抵抗(数10Ω)は負帰還量が多いのでほとんと0Ωになる。理想オペアンプの出力に抵抗を接続した回路を解いてみれば出力抵抗が0Ωとみなせることが判る。

何気なく使っている反転オペアンプ回路の利得が-Rf/Riになるのも前段の出力抵抗が0Ωであることを前提としている。

テブナンの定理を知っているなら、電圧源と抵抗回路からなる回路が1個の定電圧源と1個の直列抵抗に置き換えて考えることができる。しかも、解いた形はきれいな形に整理しやすい。

ここまでは、「抵抗」という言葉を使っていたが、高い周波数では複素数になるので出力「インピーダンス」との概念になる。

多段増幅器では、出力インピーダンスの概念を使って、順次後段を考えていくことになる。

オペアンプによる反転増幅器は信号源抵抗の影響を受けるが、その前段がオペアンプであることが多いので、意識しなくとも多くの場合、正解に辿りつける。

大量の負帰還による効果の一つに出力インピーダンスの低減がある。この場合、出力ダイナミックレンジがそれ相応に減少する。

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2010年11月18日 (木)

特許を書けない設計者

特許を書かない、書けない開発設計者も多く存在する。その理由の多くは、新規な仕事をやっていないからである。特許の出ない設計者は往々にして、技術的挑戦を行っていないからであるとアナログエンジニアは考える。

件数ノルマを課して出願特許の数を増やしても、無意味である。経済効果の少ない特許は費用対効果が悪い。

少なくとも製造業の設計者なら、グループリーダーになる前に成立した実用特許を保有していることが昇進の条件であって欲しいものだ。

有効特許を取るためには、業界の自分の担当する分野の技術的ポジションを知った上でその上を行く技術の開発が求められる。

この過程は新規である必要条件から学術論文に似ているが、実用化には新規で技術的・経済的効果も考慮する必要がある。

近年特許を書かない若手技術者が増えているような気がする。技術力不足もさることながら、同業他社の技術レベルを把握する努力をしていないだけでなく、特許出願に係る種々の手続きやその後のフォローに結構な時間がかかるためだ。

特許に係る報償規定も負担の割にインセンティブを与えるに十分ではない。発明者は将来、それなりの地位を与えられるからとの理由も多い。

高学歴の設計者はそれなりの訓練を積んでいるべきであるが、卒論、修論などを経験していても、特許には疎い方も多い。大学卒業者の多くは企業に勤める。製造業では生産技術と設計技術が生命線であるはずなのに。これでは、ハングリー精神に欠けたわがままな高学歴層の就職はますます困難であろう。日本は資源も食料もない。

大量の人口を抱えた新興国のエリートとたちと伍して行かなければ、技術立国はない。いま、日本の技術的優位性は低下しつつあるのではないか。

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2010年11月16日 (火)

反転増幅オペアンプ回路

オペアンプ回路入門と言えば、「2つの入力端子の電位差が0となる仮想短絡」を使って入出力関係を求める手法から話が始まる。

しかし、①仮想短絡はオペアンプの増幅率が実利得に対し十分大きいこと、②オペアンプのオフセット電圧が扱う電圧より十分小さいこと、③オペアンプの入力端子へ流入あるいは流出する電流(バイアス電流)が扱う電流に比べ十分小さいこと④回路が安定な負帰還となること前提になっている。

この仮定を置くと、結果として多くの結果を少ない計算量で求めることができる。

オペアンプの-入力端子と信号電圧Viの間に抵抗R1を接続し、出力端子と-入力端子に抵抗R2を接続すれば、利得A=-R2/R1のアンプができる。ここで、負号がつくことが一つの障害になる。

R1とR2を流れる電流がキルヒホッフの電流則により等しくなるが、入力端子から見てR1の電流を流入する方向にとれば、R2の電流は流出する方向となる。オームの法則V=RIは電圧の向きと電流の向きを逆方向にとったときに成立するので、仮想短絡により0Vとなる-入力端子から見て負号がつく。

この過程で使うのはキルヒホッフの電流則とオームの法則で、高校物理の範囲内である。ただし、丸暗記では電流の向き、電圧の向きがあやしくなることが多い。入門書ではさまざまな比喩が使われるが、所詮、回路の基本中の基本にメスを入れていないので、回路の入出力関係式を丸暗記するしかなくなる。応用が利かなくなる。

ここで躓いているなら、その後の回路技術取得の道は険しい。しかし、大学レベルでも案外この部分の理解不足の状態であるケースが案外多いのである。

回路設計は設計式を自分で作るものだ。与えられるものではない。ここが入門と職業としての回路との最初の分岐点である。

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2010年11月15日 (月)

文字式と次元

式を立てる際には、各項の次元が統一されている必要がある。回路設計においては、文字式を使い、仕様値に対応するいくつかの設計式を導くことが第一歩である。設計式を使って各定数を決めていくのだ。

回路解析においては、文字式のまま連立方程式を解く過程が含まれる。

初学者の場合、概して、符号と次元に間違いが多い。次元の不一致は式が意味をなさないことと同じである。背の高さ(m)を聞かれて、60kgと答えるようなもので、次元が異なれば同列に数式演算ができない。

次元を意識して立式することは、数学を物理現象に結びつける第一歩である。

時定数CRは時間の次元をもつ。このことは、C[F]やR[Ω]をMKSA単位系で整理しなければならない。CV=Q=I・Tだから、[F]=[A]・[s]/[V]、オームの法則により、[Ω]=[V]/[I]だから、CRの次元は[s]:秒となる。L/Rや√LCも同様にして時間の次元をもつ。

アナログエンジニアはこのようなチェックを基本物理公式を利用して頻繁に行うのが常である。

次元(単位)付きの数式を扱う世界、それはまさに工学の世界の基盤をなす。

そして、目標とする機能を実現するには、単位付きの演算が必須である。

今はMKSA単位系で記述されているが、昔は工学単位例えば圧力なら[atom]、[mmH2O]nなど身近な量で表現されていたので、量の大きさを直感的に把握しやすいが、単位換算が結構な負担となる。MKSA単位系は原則として単位の換算は不要だが、その分単位の大きさを把握する努力が必要となる。

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2010年11月12日 (金)

アナログ/デジタルオシロスコープ

デジタルオシロスコープはアナログ屋にとって多くの場合、表現力に劣る。分解能が足らないのだ。A/D変換部の高速化のため、フラッシュA/Dを使うケースがほとんどで1/256の分解能である。フルスケールの1/2で使ったとすると、波高値の1%しか見えない。高速サンプリングのため、アナログアンプ部は帯域を広くするので、ノイズレベルは高い。この結果、0入力でも±1LSB位常時ふらついている。これでは、本当に問題となるノイズの存在が分からない。

しかもパルス信号が入ると、パルス波高値が周期的に変化することもある。

そこで、アナログエンジニアの常用品は、いまだに、帯域のそう広くないアナログオシロスコープである。

これなら、S/Nが安ものでも良好で、ベースラインシフト機能を使えば1/1000までの波形の細部を見ることができる。現在はデジカメがあるので、写真にとれば記録は簡単だ。

アナログオシロの弱点は、トリガ時刻以前の現象をとらえにくいことである。また、遅い周期(1Hz以下)では観測にコツがいる。デジタルなら、時間軸方向にはさまざまな操作ができるので散発現象の観測には有利である。

電気は目に見えない。従って、計器を介して電気現象を可視化する。

オシロスコープの場合、方形波が方形波として観測できるようにプローブのトリマを調整する。また、たいてい、1kHz、1Vp-pの基準信号が出力されているので、X、Y軸のスケールチェックと過渡応答特性の確認もできる。これを怠れば、大事な場面でミス測定を一生のうちに何回かはすることだろう。共用のものならなおさらである。

計器というものは、自分で計器の状態をチェックしながら自分が責任をもって測定するものだと私は思っている。

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2010年11月11日 (木)

ダイオード特性の近似

ダイオード特性を電圧源Vjoと抵抗rで表現すれば、動作点(Vj、Id)近傍で直流分を含めて簡略計算できる。

ダイオードモデルを

Id=Is・exp{(Vj/mVT)}  (1) m:エミッション係数、VT:熱電圧kT/qとすれば、(1)式の接線とV軸との交点Vjoを求める計算になる。

mVT・ln(Id/Is)=Vj

両辺を微分して (mVT/Id)dI=dVj したがって、r=dVj/dI=mVT/Id (2)

V軸との交点は

Vjo=Vj-rId=Vj-mVT (3)を得る。

トランジスタの場合はm=1と考えてよい。

このようにすれば、(Vj、Id)近傍での回路の線形化ができ、しかも、交流等価回路を使わなくとも、回路解析ができる。

交流等価回路の説明には暗黙に線形回路での「重ねの理」を理解する必要がある。トランジスタ・ダイオード回路での「交流等価回路」は回路解析でのつまずき易い回路テクニックの一つである。「重ねの理」を証明して使っている例もすくない。

すこし計算は複雑になるが、このモデルで簡単な回路をDC分を含めて解く例を示せば、交流等価回路の意味を体感できるのではないか。

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2010年11月10日 (水)

pn接合の順電圧

シリコンダイオードの順電圧は0.6~0.7V程度とされることが多いが、この値は常温でかつ通常の電流密度で使われる素子の順電圧の値である。整流用ダイオードなどでは、1Vを超えることも普通である。

順電圧Vjは順電流Ijの関数であって、

Ij=Io・exp{Vj/(mVT)-1}   Io:飽和電流、VT:熱電圧(kT/q、常温で26mV)  m:エミッション係数、1~3で表わされる指数関数である。能動状態のトランジスタではm=1と考えてよい。ダイオードではm≒2のものが多く、LEDの一部ではm≒3のものもある。

半導体物理から出てくる式であるが、非線形なので手計算では解きにくく見通しも悪い。

そこで、pn接合の順電圧特性を一定電圧に置き換えて解く訳で、順電圧を一定電圧で置き換えれば、各種の回路法則を用いて手計算でもかなりの規模の回路を解くことができる。

一般の電子回路では、回路電圧が数Vから10数Vなので、0コンマ数Vの電圧は無視するには少し大きいので定電圧近似を行うのである。ここでいう定電圧源はVjという電源にIjの値をもつ電流が流れ込む状態であって、一般の電源のようにエネルギーの供給源ではなく、エネルギーを消費する。

Vj/(mVT)は通常1に比べかなり大きいので、-1の項を無視することが多い。

大電流領域に入ると、pn接合だけではなく、直列抵抗成分も効いてくるので、電流片対数グラフ上では急激にVJが上昇する。電源整流用ダイオードはこの状態で使用することが多い。

pn接合の順電圧特性が指数関数であることから出発し、いかにして見通しの良い簡略モデルを作るかの視点から説明すれば、半導体物理に深入りすることなく半導体素子の使い方、解析方法を学べるのではないか。多くの半導体素子のユーザーは半導体物理の専門教育を受けていない。回路を解くことが優先される。

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2010年11月 9日 (火)

FETの2乗特性

接合形FETもMOS-FETも飽和ドレイン電流は(ゲート-ソース間電圧VGS/ピンチオフ電圧Vp)の2乗にに比例する伝達特性をもっている。しかし、2乗特性なのでJ-FETのピンチオフ電圧を正確に測るのは案外難しい。

しかも、Vp付近では高温になれば、Vpの絶対値は大きくなり、大電流になるにつれ空乏層の広がりの負の温度係数と移動度の負の温度係数が相殺する電流点Iqが存在する。

したがって、実験室的にはIqの点をバイアス点とすれば温度安定性の良い回路を作ることができるが、量産ベースではやりにくい。

アナログ回路の得意でない乗算演算も入出力関係の2乗特性を利用すれば一応可能であるはずだが、温度依存性のこのような特性を考えると素姓の悪い演算である。

原点付近のVDS-IDS特性では、電圧制御可変抵抗として動作する。しかし、0温度係数となる点Iqoは先のIqとは異なるバイアス条件になる。この条件も個々のトランジスタで異なる。

飽和電流となるドレイン電圧もまたバイアス条件の約2乗に比例して変化する。

このような事情があるので、FETは強いフィードバックをかけることのできる演算増幅器ではそれなりの設計ができるが、小規模回路での温度安定性の良いDC増幅用途では性能予測は労を厭わなければ可能だが使いにくい。

このような理由で、アナログエンジニアはやむをえない限りFETを積極的に使うことは少ない。SW用途なら使いやすい素子がたくさんあるのだが・・・・。IC中のMOS-FETの特性を知る立場にないことも一因なのだが、個別素子でDCを扱うとなると、FETは考慮すべき要因が多くうまい解が少ないと感じている。

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2010年11月 8日 (月)

ツェナーダイオードの特性

ツェナーダイオードは定電圧ダイオードとも呼ばれる。アナログエンジニアは「定電圧」ダイオードという表現はあまり好まない。

ツェナーダイオードの端子電圧は温度と電流に依存する。例えば35V付近のツェナーダイオードは正の温度係数 約+30mV/℃の温度係数を持ち、100℃の温度範囲で発生する電圧は3Vも異なる。一般には温度に対しても、電流変化に対しても厳密には「定電圧」特性を示さない。

電流依存性はツェナー電圧が高いものほど、直列等価抵抗が高くなり、電流が増加するにつれ発生する電圧が高くなる。

逆に低い電圧(5V以下)でもツェナーダイオードの電流依存性は大きくなる。3V以下では適当な数のダイオードを直列にしたほうが良好な特性が得られる場合もある。

低い電圧では、等価直列抵抗/動作抵抗はほぼ電流に反比例するので、ツェナーダイオードの直列抵抗を増やしても、同じ元電源電圧ならほとんど改善は見込めない。

電流依存性の少ないツェナーダイオード電圧は10V近辺にある。

温度依存性の少ない電圧は5V強のツェナーダイオードである。また、1個のダイオード(負の温度係数)を直列にして0温度係数になる電圧:合計6.4~6.45V付近の電圧もよく使われる。

これらの傾向は半導体素子の不純物濃度に強く依存するので、メーカー間の差異は比較的少ない。

いずれにしても、定電圧特性を期待して使う場合には、抵抗、場合によっては定電流回路を直列にするので、電源電圧より低い基準電圧は得られない。元電源が低い場合には、VBEの負の温度係数とVBE差の正の温度係数を相殺させたバンドギャップ形ICか基準電圧が必要になる。

たかが、ツェナーダイオード素子であるが、実際に回路を組む際にはこのようないくつかの要因に配慮する必要がある。

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2010年11月 5日 (金)

バイポーラトランジスタ今昔

50年ほど前といえば、小信号トランジスタはよく覚えていないが高価(大卒初任給の1/100位?)であった時代である。Geトランジスタ全盛でSiトランジスタが産業界で使われ始めた頃である。当時の先端は741に代表されるオペアンプやロジックSSIだったと記憶している。

Geトランジスタはpnpトランジスタの方が一般的で、npnトランジスタはコンプリメンタリ回路中心に使われていた。

GeからSiに半導体材料が変わり、C-E間の漏れ電流をほとんど気にする必要がなくなった。

その頃のトランジスタはhFEやVBEのばらつきが大きく、たとえば、hFEは数倍のばらつきがあり、選別によりhFEランク分けを行っていた。ランクの両端では、入手性が不安定になることもあった。信頼性も現在と比べ劣り、さまざまな故障モードにアナログエンジニアは遭遇した。遭遇できた。

半導体プロセスの進歩、パッシベーション技術、封止技術の進歩により、今やVBEのばらつきやhFEのばらつきはかなり少なくなり、きちんと設計された回路ではめったに故障しない。コスト面でも変遷があり、設計の価値観も変わった。しかし、回路解析の基礎技術には大きな変化はなかったように思う。

いまは数億個のトランジスタを集積した超LSIをデジタル回路では普通に使っている。

集積化しやすい低電圧回路で数がでる分野では、アナログ回路もカスタムLSI化が進み、その中身がブラックボックス化してきている。汎用品の性能も向上した。同時に、個別部品の入手が近年難しくなってきているような気がする。

そして、トランジスタレベルから作るアナログ回路に触れる機会のある一般ユーザーは、半導体メーカー以外では、コスト圧力の強い量産品と少数の精密アナログ回路、電源の一部の分野の人になってしまった。

回路教育はトランジスタから始めることになると思うが、現在の回路技術の先端に到達するのは結構厳しいものがあると感じている。

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2010年11月 4日 (木)

自励式磁気マルチバイブレータ

Img_0001 図の回路は自励式無安定マルチバイブレータの一種である。

コアには通常、角型ヒステリシスコアを用いる。

この回路の転流は、VpとRBによりベース電流∽最大コレクタ電流によって支配される。

コレクタ電流の増加→コアの飽和→インダクタンス値の減少→トランジスタの飽和が維持できなくなり→コレクタ電圧の増加→ベース電流の減少→他方のベース電圧の上昇の経過を経て、転流に至る。

転流はRBによるベース電流の制限=最大コレクタ電流の制限によるもので、負荷に依存せず一定のコレクタ電流で転流が生じる。

Vp=nSdB/dt n:コイル巻き数 S:コア断面積 B:磁束密度 t:時間 の関係があり、半周期T/2はBが最大磁束密度をBmとして、-Bmから+Bmに変化する時間なので

T/2=∫dt=∫nSdB/Vp=2nSBm/Vp  積分区間は-Bmから+Bm

したがって、発振周波数fは f=Vp/(4nSBm)となる。

Bmは角型ヒステリシスコアを用いるので、起磁力Hすなわちトランジスタのコレクタ電流依存性は少ない。

この回路形式は発振周波数を1kHz程度で設計されることが多いが、100kHz程度までの発振周波数を得る設計も可能である。

無負荷時の電流波形はH-B曲線とほぼ等しい。

いまは古き回路形式となったが、その動作機構は少々難しいがコア特性とLと回路が組み合わさった解析例題として代表的なものであろう。

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2010年11月 2日 (火)

ダーリントン接続

ダーリントン接続は初段トランジスタの極性できまるhFEの高い1個のトランジスタとしてよく扱われる。集積化されたものだと初段の極性と主トランジスタが同一極性のトランジスタである場合がほとんどである。

初段トランジスタと主トランジスタの極性が異なる接続はインバーテッドダーリントンと呼称され、初段の極性と同一極性で、VBE1個分の電圧降下で動作するhFEの高いトランジスタと等価である。しかし、同一極性同士のダーリントン接続に比べてインバーテッドダーリントンは発振しやすいと私は感じている。

ダーリントントランジスタは集積化されたものより、個別の2個のトランジスタで組むことがアナログエンジニアは多い。

その理由は、個別で組むと設計の自由度が高いからである。

初段のコレクタを別電源に接続して、主トランジスタのコレクタと切り離せば、飽和電圧が低く設計できるのでスイッチング時のロスを同種ダーリントンであっても少なくできる。

ダーリントン接続に1個の抵抗を導入すると、細かい特性を制御できる。

初段のコレクタに抵抗を挿入すると、主トランジスタに比べて高速な初段の過負荷を抑制でき、外来サージ侵入時などの信頼性を増すことができる。

主トランジスタのB-E間に抵抗を接続すると、見掛け上のhFEを低電流領域で下げられるとともに、SW速度特にターンオフ時間の短縮を期待できる。

主トランジスタのエミッタに抵抗を挿入すれば、主トランジスタの並列接続を安全に実施できる。

たかが、ダーリントン接続であるが、少しの工夫でその特性を変えられるのもダーリントン接続である。

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2010年11月 1日 (月)

アイドリングストップ車

近年、アイドリングストップを行う車が増えてきた。アナログエンジニアの車にはその機能はないが、平均燃費が表示されるので、渋滞などの場合には平均燃費がアイドリング中にどんどん下がる。

市中を走行していると、巡航速度の半分程度の平均速度しかでない。このことは、私の走行環境では、加減速と停止時のガソリン消費が結構大きな割合を占めることを意味する。

そこで出てきたのが、短時間でもアイドリングを停止することで、燃費を改善する動きだ。

アイドリングストップによる燃費改善効果は顕著であることに異論を唱える気はない。しかし、多くのアイドリングストップ車は、同時に車の空調を停止する模様だ。

今年の夏は暑かった。渋滞のなか、車の空調が停止すれば居住性の悪化は免れない。頻繁なエンジンの起動・停止を行えば、電池やスターターなどの負担が増加する。この点は十二分に信頼性試験がなされているのだろうか。

新車から10年で10万km走るとして、車の償却分は15-30¥/kmにつくだろう。ガソリン代は10¥/km前後であり、車の償却費の方が多くの場合高価になる。エンジン制御が複雑になった分整備費も若干増加することであろう。

素朴な疑問として、車の本体価格が高い→資源の消費量が多い→本当にエコか? の疑問が残る。

電池自動車になれば、もっと、この素朴な疑問は高まってくる。

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