整流平滑回路
教科書の初めの方に出てくる商用周波数トランス絶縁整流平滑回路は実用レベルで出力電圧とリプル電圧を予測することは案外難しい。
電子回路用では、変圧器の直流抵抗Rが大きく、これを無視できない。次に整流・平滑回路が非線形であるために正確な計算は数値解析に依らざるを得ない。
例えば、全波整流・コンデンサ平滑では通流期間があるので、必要なリプル電圧Vrpを得るコンデンサ量Cは
C=0.5Io/(2f・Vrp) Io:出力電圧、f:電源周波数 程度となる。
電子回路の電源では、通常の設計を行うと、通流期間が極端には変化しないのでこの式の値のようになる。
コンデンサインプット平滑回路では、電流の実効値が出力電流よりも大きくピーク検波に近いので、Rでの電圧降下がより大きくなるので、(2・Io・Ro程度)、実効値の1.4倍はでない。
電子回路実験を自分でやろうとすれば、まず、電源から組み立てたくなるが、案外その設計には落とし穴がある。
Rはトランスの電圧変動率から概算できる。トランスの無負荷出力電圧は公称値+電圧変動率分まで上昇する。
整流・平滑のままでは、アナログ回路用電源としてはリプル電圧が大きすぎるので3端子レギュレータなどで安定化する必要もある。
結局、10数V付近では、トランスの出力電圧は、安定化後の電圧Voと同程度の公称電圧が必要で、かつ2倍近い電力容量(VA)が必要になる。
原初的電源回路であるが、実際に作ってみると、設計しようとすると、このような問題が生じる。回路は常には解析的に解けるとは限らない。
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