積分形A/D変換器
A/D変換器の基本形は「積分形」、「逐次比較形」、「フラッシュ形」など種々ある。積分形のA/D変換器は、基本的には1個のRとCとクロックτおよび基準電圧Vrの正確さでその性能が決まる。
例えば、2重積分形では入力電圧ViをカウンタがN1になるまで積分し、次いで逆極性の基準電圧Vrを積分し再び積分電圧Voが0になるまでカウントしその計数値をN2とする。この結果、Vi/Vr=N2/N1が得られ、アナログ電圧が計数値に変換される。
この方式では、抵抗Rと積分Cが、2つの積分時間一定であれば結果に影響しない。入力電圧を一定時間積分するので、積分動作中に入力電圧の変動があっても計数結果はその期間内の平均値が出力される。
積分形の特徴の一つは、線形性が良好なことである。基本的に単調増加するので、被測定電圧と良好な線形関係があり、多数の抵抗群の比が正確であることを前提とする他方式とは異なる。
また、N1τの整数分の1の周期の交流成分の影響を受けない。
しかし、積分形は変換時間が基本的に長いという弱点がある。高速変換を必要とする用途には不向きであるが、外乱に強くS/Nが良好であるから、デジタルマルチメータなどの変換部に使用される。20bit分解能のA/D変換器は積分形でしか現在のところ製作できないだろう。
2重積分形A/Dは回路規模が小さいので、基本部品から自作できるのが特徴である。ただし、4桁程度のものは、オールインワンのICが使えるので、自作する意味は少ない。
『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も応援の貴重な1票をよろしくお願いします。【押す】
« 回路測定 | トップページ | フライバックコンバータ »
「電子回路」カテゴリの記事
- 電流増幅器(2012.04.18)
- 高電圧回路(2012.04.10)
- 金属箔抵抗(2012.04.07)
- SW電源(2012.04.06)
- アナログ回路の信頼性(2012.04.05)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント