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    アナログ電子回路設計入門 (1994.12)、コロナ社: 実践アナログ回路設計・解析入門 (2005.1)、日刊工業: オペアンプ基礎回路再入門 (2005.7)、日刊工業: ダイオード・トランジスタ回路入門 (2005.12)、日刊工業: スイッチングコンバータ回路入門 (2006.9)、日刊工業: これならわかるアナログ電子回路基礎技術 (2007.6)

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  • 電源を含む精密アナログ電子回路の設計・開発、およびその教育、技術指導。センサ・アクチュエータシステムの構築。電子機器の不良解析指導および再発防止指導。解析主導型設計の推進と回路シミュレータの実践的活用指導。技術的側面からのプロジェクト管理指導。

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2010年12月

2010年12月30日 (木)

歳末の人間ドック

おととい4年ぶりで人間ドックを受診した。年内最後の受診日だった。半年以上前に予約を入れたが、この日しか取れなかった。

相変わらず、胃検診のバリウムと撮影時の動きには閉口する。最後の動きの逆さ体位は厳しかった。

毎回、一発で採血できないが、今年は細めの針でベテラン看護師にやっていただいたので、痣ができずに採血成功。血管が浮き出ない体質なので、採血がやりにくいのだ。

体重の方はは12kgも増えて体が重くなった。来年は少し体を絞りたいものだ。これは、人間ドックならずとも判っている。この4年間でジワリジワリ増え続けた結果だ。足裏が弱いので、ついつい長い時間歩くことを避けているのが響いている。

運動不足、晩酌、昼寝が主な要因と自覚している。ズボンのウェストはもう何回UPグレードしたことか。

差し迫った身体的リスクは発見されなかったので、今回は精密検査なし。やれやれ・・・。

年内の私のイベントは総て終了。明日の大みそかで今年は終わる。今年は雇用の問題が例年になく大きく報道された。日本の産業構造と若者たちの資質のアンマッチが目立った。来年もこの状況は変わるまい。新年に景気が上向いたとしても、企業の求める人材は2極化したままだろう。安い労働力か極めて高い能力の持ち主かである。

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2010年12月27日 (月)

なにがECOか?

温暖化ガス排出量のみがECOの基準ではないだろう。限りある鉱物資源の消費、それに伴う環境への影響、資源リサイクルの容易さも考えに入れなければならないと私は考える。

先日、電気自動車の販売用カタログをみて驚いた。航続距離200kmはともかくとして、車体重量が1.8トン弱と非常に重いのである。価格も高級車並みだ。肝心の電池の充電サイクルに対する容量低下の話も触れられていない。暖房時の負荷があり、電池容量が減少した使用後に実力一体何km走れるのか?これらの要因と充電スタンドまでの距離も考えると実用航続距離は100kmに満たないだろう。

充電スタンドは自治体の協力を得て拡充するとのことであるが、急速充電しても30分はかかる。スタンドの回転率が低くなる。充電スタンド当たりの設備容量も数100kW以上となるだろう。都会では回転率が悪いから土地にも制約がある。充電による利幅も大きくないだろう。とても急速に充電スタンドが増えると思われない。ガソリンスタンドさえ、場所によっては何kmも走らなければない場所もある。

現在のところ、電池にはリチウムイオン系が使われ、Coなどの希少資源が大量に使われる。電動機は小型・高効率化を図るためネオジウムやジストロシウムもkg単位のかなりの量が使われているらしい。

価格が高く重いということは、資源を使い人手がかかっている証左だと思う。

ECOと騒がれているものは他にも種々ある。家庭用太陽電池発電システムや蛍光灯、代替フロンを利用した空調機などそれぞれに問題を抱えている。製品寿命や有害物質の回収、再資源化などそれぞれに種々課題を抱えている。

タングステンランプでも門燈などでは、何万時間の寿命もある製品が存在する。かつ使っている物質群は単純で量も少ない。一方で蛍光灯は、水銀を使い、数gの蛍光剤が使われているから、水銀の蛍光剤に吸着される分まできちんと回収されているのであろうか。

LEDランプだって、回路部分の寿命などがネックになっていると聞く。

この際、巷に流布しているECOの内容を改めて点検してみる必要があるだろう。

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2010年12月24日 (金)

回路の見どころ

回路の見どころは人によって異なるとアナログエンジニアは考えている。問題意識がなければ、回路の重要なポイントすなわち設計者がどのように考えて課題に対処しているかが判らない。

私の場合は、最初に回路構成を概観した後、その回路のバイタルポイント=重要でかつ回路の解決しにくい課題 の解決方法に着目する。その解決方法が新規ならその利点、課題と、設計者が行ったトレードオフの痕跡を辿る。これが私にとっての回路の見どころである。

したがって、実務経験の少ない方にとって見れば、ほとんどの部分が、その回路の見どころになってしまうはずだ。

自分が悩み、迷った回路部分への対処例が回路の見どころである。

入門者にとっては、素子自体の特性も重要な見どころである。例えばpn接合の順方向特性なら、広い電流範囲の測定例が電流片対数グラフ上で見たとき、幾桁にもわたり直線部が存在することを示さなければ、I=Is・exp(Vj/mVT)  Is:飽和電流、Vj:接合電圧 m:エミッション係数 VT:熱電圧 であることを実感できないだろう。さらに、接合に寄生する直列成分が寄与してくる大電流領域では、片対数グラフ上で見かけ上のVjは急増する。

半導体を利用した電子回路では各種パラメータの電流依存性や温度依存性に対する知識も必要だ。この知識があってこそ、回路の定数設計の意味=回路の見どころが判るのだ。

回路設計は実学である。単なる回路理論では物は作れない。

電子回路ではいくつかの目標仕様をバランスよく低コストで実現することを必要とする。そのバランスのとり方、バランス感覚、工夫の痕跡が回路の見どころである。

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2010年12月23日 (木)

家猫の知恵

我が家には茶トラの3歳猫がいる。家人の隙あらば外出のチャンスをいつも狙っている。

家を出ても、玄関から庭あたりを少しうろつく程度なのだが、習慣で脱出の機会を待っている。手口はだんだん巧妙化している。

脱出の好機の一つは、家内と私が外出するその時だ。

家内がハンドバックを持つと居間と玄関の扉が開く筈だ。そこで、居間のドアの近くで待機する。玄関のドアの鍵を開ける音で、ドア近くまでやってくる。振り向くと玄関そばの階段の中断に陣取る。階段なら、捕まる可能性は低いことを知っているのだ。一連の間合いの取り方に猫なりの工夫がある。

私の場合は、アーチェリー道具を持った時だ。荷物が大きいから玄関ドアの開き方が大きいから、猫のチャンスが増える。当方は、道具の移動と外出のタイミングをずらすことでごまかしているが、猫は基本的に待ち伏せ形のハンターだから、意外と長く待っている。

最悪なのは、玄関チャイムが鳴った時だ。どこに居ても玄関に続く居間のドアのそばにダッシュ、人とドアの隙間から先に玄関にでる。そこで、別ルートの台所経由で来客を迎えるパターンに変更、猫は中間地点で出るルートがどちらか観察している。その時は、台所の引き戸を占める。猫は引き戸を開けることはできるが、数秒かかる。これで人間様の勝ち。

何の為に外出に執着するのか猫の気持ちは不明だが、何段階かの判断と推測/予測を行って猫なりに外出のチャンスに情熱と知恵を出していることは確かである。

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2010年12月22日 (水)

加減算器によるGNDノイズ消去

加減算器は出力Vo=A-Bの差電圧を出力することは多くの電子回路屋さんが知っている。

しかし、この回路を用いて、GNDノイズ低減に使った例はあまり知られていない。何ができるかというと、異なる電位基準をもつ電圧を、一方のGND基準の電圧に変換することが可能である。

B入力に出力GND基準で考えた入力GND1の電圧を与える。同時にA入力には出力GND1基準で与えた信号を与え差を取るわけである。

入力GNDと出力GNDの間にVnだけ電位差があっても、差を取るので、Vnは相殺されて出力には表れない。信号が基板を渡り受け渡しされているような場合、普通、両基板の電位は完全には一致しない。そこで、加減算器を使うわけである。

具体的には、加減算器の-入力をB入力端子とし、+入力端子をA入力とするとともに、+入力の分圧点の接地をGND1にするのである。

この方法によれば、オペアンプの帯域までのGNDノイズを消去できる。GND間ノイズがある場合には効果は大きい。

差動で信号を受ければ、2点間の電圧をかなり忠実に望むGND基準の電圧にレベルシフトできる。

数Vの同相に埋もれた数mVの電圧差を扱う際には、計測増幅器を使う。計測増幅器の

初段では同相電圧の利得はほぼ1で差電圧だけが任意の増幅率倍されるので、他の方法に比べると簡便に高い同相除去比を実現できる。

同相ノイズがGND布線により混入する例は数多いが、オペアンプ回路を1段挿入するだけで布線の隘路を解決手段にもなりえる。

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2010年12月21日 (火)

理想化ダイオード回路

反転形理想化ダイオード回路はオペアンプによる強い帰還によって、ダイオードの非線形性を著しく低減し、ほぼ0mVを境に、通流側では反転増幅器として動作し、遮断側では0Vを出力する回路である。

回路構成は、入力抵抗R1がオペアンプの負入力端子に接続され、出力端子と帰還抵抗R2の間にダイオードD1が順方向に入る。さらに、負入力端子とオペアンプの出力端子の間に順方向のダイオードD2が入る。(オペアンプの正入力端子は接地)

この回路は出力の負側、すなわち入力電圧が正の時、反転増幅器として動作する。入力電圧が負の時、出力は負に振れようとするがD2の存在のため出力できないが、D1が導通するので、オペアンプは仮想短絡となり、0Vに保たれる。この0VがR2を経由して出力される。

上述の理想化ダイオード回路を用いると、0V出力の時には出力抵抗がR2になるので、負荷が接地された抵抗負荷以外では、出力電圧が負荷の影響を受ける。この事実は案外意識されていないが、負荷に外部電源が接続されて0Vを期待する極性の時に電流が出力に注入されると、その分0V出力を維持できなくなる。

主な用途は、精密整流と折れ線非線形回路であるが、入力の0V付近でオペアンプの出力がダイオードの順方向の2倍急変しなければならないので、扱う周波数が高くなると0V付近の出力波形が乱れてくる。汎用オペアンプなら20kHz以下でも整流波形は乱れてくる。

オペアンプの出力に直列ダイオードが入っているので、その分ダイナミックレンジが狭くなる。この回路と加算器を同一品種のオペアンプを使って全波整流回路を構成する場合、オペアンプのダイナミックレンジの端では期待する出力とならないのも注意点の一つであろう。

若かりし頃のアナログエンジニアは、このレベルの回路とその応用回路を理解するまでに1週間ほどかかった。長いと思われるかもしれないが、初めての回路を扱う際には結構時間がかかるものだ。

なお、理想化ダイオードの折れ点は正確に0Vではなく、オフセット電圧の影響やダイオードの選択次第で数mV程度はその位置と形状が変わってくる。

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2010年12月20日 (月)

接点とスイッチ

電子回路装置にはユニット交換のためのコネクタが必要だ。またユニット内にも、回路を切り替えるためのメカニカルスイッチを備える場合がある。最近では、回路内の切り替えは半導体SWが使われるケースも増えているが、いまでもメカニカルSWも重要な部品である。

メカニカルSWの機械的寿命は例えば数億回などと公称しているが、実際に電流を流した時にどうなるかは使い方次第である。

メカニカルSWは、短絡故障と開放故障のいずれもあり得る。概して電流が多く負荷が誘導性の場合には、接点金属の移行や溶着による短絡故障の確率が増える。信号電圧が数V以下の場合には、酸化膜や絶縁膜ができ接触不良=開放故障が起こりやすい。

貴金属接点、例えばAu系合金なら微小電圧を切り替えることができるが、コスト低減で金メッキ厚が薄いと摩耗が問題になる。異物の挟み込みも想定して、接触の前後に接点がわずかに動くように工夫された接触部もある。

コネクタは接点の集合体であるが、その挿抜回数に依存し接点材料とコネクタの接触子の圧力が異なる。想定される挿抜回数が少なければ、卑金属接点でも接触圧を高めて十分な信頼性が得られる。

大電流がながれる直流回路のスイッチの選択には注意が必要である。多くの回路設計者は接点の性質を理解していない。カタログの数値を鵜呑みにするだけでは信頼性の高い機器は設計できない。

挿抜できるコネクタは複数使われることも多い。誤挿入を防ぐため敢えて形状の異なるコネクタを使用したり、誤挿入防止用のキーを装着する場合もある。

最近では活線で基板を挿抜する場合もある。このような場合には、信号・電源・出力などが接続、開放されるタイミングがずれるので、その間に起きる現象に十分配慮する必要がある。

単にSWやコネクタといえども、さまざまな工夫を凝らしているのだ。

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2010年12月17日 (金)

可変抵抗器

可変抵抗器の使い方と周辺回路の定数は、回路設計者の技量を強く反映する。調整範囲が必要十分か、設定分解能は十分か、設定の環境安定性は確保されているか、などいくつかの課題がある。

可変抵抗器は通常、1,2,5ピッチで製作範囲も固定抵抗に比べて狭いし、許容差(抵抗誤差)も大きい。

可変機構をもっているので、一般の固定抵抗より信頼性は高くならない。

よくある設計不良は、分解能不足に起因する調整困難である。可変抵抗のわずかな動きで調整点の前後で、調整時にモニタしている電圧等が不連続に変化し、目標値に調整できない事例は数多くある。

可変抵抗を回路に使用する際には、設定分解能などの操作性を把握しておかなければならない。これが案外なされていない。有効回転角は200-300度程度であり、小型の可変抵抗なら手動での設定性は1度程度であろう。

多回転トリマなどでは、設定性は向上するが、その分温度係数や設定値の安定性に留意する必要が生じる。

可変抵抗の温度係数が高いときや得られる全抵抗値が高すぎる場合には、可変抵抗に良質の固定抵抗を並列接続することで改善できる場合もある。

可変抵抗を挿入する回路位置によっては、調整感度がVR位置に依存して大きく変化する場合もあり、VR位置のいくつかの点で設定性のチェックも欠かせない。

最近では、電子VRと称する多数の分圧点からタップを出し、アナログSWで選択する部品も出現しているが、1/256程度の分解能しかふつうもたない。

可変抵抗の適切な使い方を実現するには、希望する調整項目に関連するばらつきの範囲と希望する設定分解能の把握が欠かせない。すなわち、通常の解析より少し丁寧な設計計算が欠かせないのである。

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2010年12月16日 (木)

高耐圧ダイオード

10kVを超える耐電圧をもつシリコンダイオードは存在する。1個の部品の形状をしているが、実際には数10個のシリコンダイオードを直列に張り合わせた構造をもつ。

ダイオードの直列接続だから、順電圧は数10Vと大きいが、接合の寄生容量はCの直列接続なので、チップサイズの割に寄生容量は小さくpF単位である。

概して細長い軸リード線付きの部品形状で、絶縁距離が取りやすい形状である。

ブラウン管TV時代には電子銃の加速電圧発生回路に使われていて、市場規模が縮小している模様だ。なくらななければよいのだが・・・。

小電力高電圧発生には不可欠の部品で、平均整流電流に比べピーク電流の許容値が大きい傾向にある。

回路シミュレーションでは、パラメータを操作して1個の高耐圧ダイオードのモデルを作れば良い。

高耐圧ダイオードの選択の余地があまりないのが、電子回路部品としては2000V級のある程度電流の流せる品種である。これは、光電子増倍管などの高電圧電源に必要だ。

高電圧発生にはコンデンサも必要だが、高耐圧セラミックコンデンサも次第に入手しにくくなっている。

高電圧回路は部品の制約が多いので、回路構成や部品定数は入手できる部品を強く念頭に置いて設計する。

悩ましいのは、トランスである。電子回路なのでコアのサイズに比べて絶縁厚さが取りにくく、かつ巻き数比が大きくなるので、理想的なトランスにはならない。

高電圧・高安定度のDC電源は理化学機器に不可欠な要素であるが、高電圧用部品が汎用性を失ったいま、部品メーカーの努力によって何とか供給して頂いているのが現状ではないか。

電子回路としての高電圧回路は、基板面積・部品などの関係でスペースが必要になる。絶縁距離、沿面距離など電力機器のようにはいかないのだ。

しかし、科学技術の一部はこのような高電圧・微小電力回路は必要なことも確かである。

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2010年12月15日 (水)

DC-DCコンバータの解析

降圧形DC-DCコンバータや絶縁フォワード形コンバータの解析では、大抵、状態平均化法と呼ばれる手法での解析例が示される。

定常状態では、チョークコイルを流れる電流が1サイクルで断続しないこと(連続モード)、出力コンデンサが十分大きく出力電圧が1サイクルの間変動しないとみなすことができるとの前提の下、元電源Vpと出力電圧Voの比が電子スイッチのオンデューテイDの関数として表わすものである。

例えば、降圧形DC-DCコンバータでは Vo=VpD であり、負荷条件に依存しないという結論が導出される。重負荷では、確かにそうであるが、チョークコイルの電流が断続する軽負荷の時には、Dを小さく絞り込まないと出力電圧が上昇するので、実際のDC-DCコンバータでは、軽負荷=チョークコイルの電流が断続する条件下での解析が必要となる。

軽負荷での解析は、1サイクルのエネルギー収支で計算するが、ほとんどの教本には記載がない。断続モード(軽負荷)では、結果のみを示すと D=√{2Lf/(RLVp(Vp-Vo)} RL:負荷抵抗、L:チョークコイルインダクタンス f:SW周波数である。

重負荷では、数サイクルから数10サイクルを経て定常状態となるが、軽負荷では基本的に1サイクルのエネルギー収支で出力電圧が決まる。制御性が異なるのである。

従って、断続モードから連続モードへの負荷変動がある場合と、逆の場合では異なる過渡応答特性を示す。

L,C回路を一次遅れ回路で制御すれば、3次以上の制御系になる。しかも、ダイオードのために非線形である。アナログエンジニアはこの問題を解析的には解けない。

電源回路では、無負荷でも安全に動作する必要が高い。軽負荷での挙動も把握しておかないと設計にならないと思う。

また、元電源の電流波形もノイズに関係するのでフィルタを要することも多くある。

降圧形DC-DCコンバータはSW、ダイオード、コイル、コンデンサ、負荷が各1個の簡単な回路であるが、その挙動の奥行きは深い。

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2010年12月14日 (火)

安定化電源2

ドロッパ式安定化電源は精密アナログ回路には不可欠である。スイッチング電源は効率が高いので小型化できるが、精密アナログ回路で嫌われるスパイク性ノイズが避けられず、かつ過渡応答の課題もある。それで、ドロッパ式安定化電源という選択になる。

安定化電源の後段にはかなり大容量(数100μF)のコンデンサを付加し、負荷急変時の変動を吸収するようになっている。ドロッパ式安定化電源は中間容量負荷で発振しやすい事情もある。後段に大容量コンデンサを付けることは、電源投入時の突入電流負荷をコントロールしなければならない。また、負荷回路の短絡も想定しなければならないので、出力電流制限回路も必要になる。

ふつうの安定化電源回路は、負荷からの電力の逆流を想定していないので、重いインダクタンス負荷の時にはそれなりの注意が必要である。

過渡的に半短絡状態になりうるので、主制御素子がバイポーラトランジスタの場合ASO違反になることもある。パワーFETを使えば、安全動作領域の問題はほとんど解消されるが、ハイサイド側にたいていの場合補助電源が必要になる。

個別部品で組む大容量安定化電源では、放熱の問題も付きまとう。理想的にはチップ温度の情報を得てサーマルシャットダウン回路を組みたいが、必要に応じてフィン温度を計測し安全保護を行う。

安定化電源回路は、基準電圧を入力とする単極性のパワーアンプに他ならない。

安定化電源回路設計には、さまざまな知識が必要である。電源こければ、電子回路はただの箱。コストの制約も強く、新人技術者に任されることも多いが、回路設計の多くの要素を含んでいるので十分なチェックが必要である。

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2010年12月13日 (月)

安定化電源

Img_0001 ドロッパ式安定化電源回路の一例。このままで、ほぼ、実用になる。

この回路のR2の決め方が最大の課題になる。

R2は入力電源Viが最小の時、制御トランジスタQ1、Q2に出力電流に対応する電流を流さなければならない。R2が小さいと、元電源が高いときに、熱的問題が各部に発生する。

入力電圧が変動した時、R2を流れる電流の変化が大きいと、Q3のVBEが変動し、安定化率などが悪くなる。とくに、入出力電圧差を小さくしようとすると、解がなくなる。

R2を決定する際には、入出力電圧差:すなわち、元電源Viをいくらに決定するかが、定数設計の要となる。

教科書的な図の回路は、高効率化を考慮すると、簡単そうに見えても定数設計が難しい回路である。

この回路の定数設計・部品選定に際しては、元電源の出力電圧設定や最悪時のQ1、Q2のベース電流の予測、熱計算、Q3、D1の電流などをきちんと予測しなければならない。

高性能化するには、R2の代わりに定電流回路を使うことである。

簡単そうに見える回路で、案外設計しにくい回路は多く存在する。アナログエンジニアは原理回路の弱点を把握して、ブレークスルーを考えなければならない。

部品数が少なく、高性能で、確実な設計が可能な回路がいつも提示されるとは限らない。この原理回路は、初心者にとって、酷な能力を要求するのである。

回路設計者は常に、いくつかのトレードオフ関係のある設計事項をバランス良く処理することを求められるが、常には、解があるとは限らない。

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2010年12月10日 (金)

電子回路の解析精度

電子回路の設計では解析対象にも依存するが手解析、シミュレーションを問わず精度1%を達成するには多くの場合かなりの努力と技術が必要である。

たとえば、1石トランジスタ増幅器の増幅率の計算ではhFE、アーリー電圧、電源電圧、入力抵抗、信号源抵抗、出力負荷、各部の寄生容量などに加えて温度も正確でなければならない。

トランジスタの入力抵抗一つをとっても、ベース電流と温度に依存するし、エミッション係数も厳密に1とは限らない。しかも、自己加熱に伴う温度変化も無視できない。

データシートでは、各パラメータの相互関連の整合性が低いデータも存在する。それ故、アナログエンジニアはメーカーから公表されているデーターシートを鵜呑みにすることはまずやらない。回路製作のどこかの段階で主な項目のチェックを入れる。

通常の小信号トランジスタで1石増幅器を組んだ場合、利得も周波数特性も信号源インピーダンスの影響を強く受ける。

従って、周波数特性の定量的議論をする場合には、少なくとも信号源インピーダンスの明示がなければ、その解析、データーはほとんど意味をなさない。

トランジスタの入力抵抗hieを使った教本が多いが、ふつう、これはデーターシートに記載がない。自分で計算または測定すべき項目である。

多くの電子回路では、オペアンプ回路などの一部を除いて1%精度以下の解析はあまりやらない。それよりも、多くの特性項目のバランスを優先させた設計が重要である。

必要に応じ、必要な精度で回路モデルのパラメータを得る手段をもたなければ回路技術とは程遠い。

測定技術はどの工学でも必須の素養だと考えるが、この技術をもたない、この感性をもたない学卒者が現在は実に多いのである。大学教育はほんとに大丈夫?

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2010年12月 9日 (木)

瞬時停電対応

商用電源の短時間(数サイクル)停電の影響を受けない電源回路システムを要求されることは珍しくはない。特に産業用デジタル回路では、不再現のトラブルを回避するため、電源部で対応することが多いだろう。場合によっては、瞬時停電対応の機器を非常時運転の無停電電源装置で数分間バックアップし、同時に自家発電装置を起動する。

機器単体での対応策は、その電源がドロッパ式の安定化電源か、スイッチング電源かに依存して異なる。いずれも基本は、整流・平滑回路の電源電圧を高めに設計し、瞬停の間は安定化回路に必要な電圧を下回らないように平滑回路のコンデンサの蓄積電荷で仕様の時間定格電流を供給する。

力率補正回路付きの電源では商用周波数の電圧波形を参照している場合もあり、やや問題は複雑になる。

ここではドロッパ式の場合の設計条件を概観してみよう。

課題の形は「瞬停の期間、最悪でも安定化出力が低下しないこと」である。

もっと具体的に記載するなら、商用電源が最低電圧の時、平滑回路の谷電圧のタイミングで電源が断たれた際に、出力電圧+安定化に必要な電圧(ドロップアウト電圧)以上が定格出力電流負荷で規定の時間保持されることである。これにより、安定化前電源電圧と平滑コンデンサの容量を決める。

そして、裏の仕様は、商用電源電圧が仕様の上限であっても、回路の信頼性に影響しないことの要求がある。

2次側がドロッパ式なら、瞬停対策により2次側電圧が上昇する設計となるから、安定化回路の熱計算や耐電圧は再計算になる。

コンデンサ量が増えるので、電源フューズもチェックも必要となる。

電子回路では、「瞬停対応」の項目があるだけで、このような設計条件の変化がある。しかも、ドロップアウト電圧は必ずしも明瞭とは限らず、回路、温度依存性がある。

このような作業のリストアップができなければ、設計作業は開始できないのである。

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2010年12月 8日 (水)

積層セラミックコンデンサ

積層セラミックコンデンサは近年小型大容量化が進み、性能の向上も著しい。容量範囲も拡大した。

小型・軽量化のニーズが高い民生用などでは、多くはチップ形状である。

だいぶ以前のことであるが、アナログエンジニアは積層セラコンの選定で2度失敗している。大容量品では、等価直列抵抗が大きくなる傾向が強い。温度依存性も非線形で高誘電率系では大きい。これを念頭に置かないと、希望する回路特性が得られない。第2はチップサイズが大きくなると熱歪みが大きくなり、特にチップ品では厳しい。

等価直列抵抗ESRの情報はインターネットカタログではほとんど記載がなく、代理店を通して周波数特性を入手することになる。

誘電体に依存して、コンデンサの温度は実にさまざまである。数10ppm/℃から、全温度範囲では-80%などという品種も存在する。

誘電体吸収は概してフィルムコンデンサに比べ大きい。

従って、電源回路の平滑用などの用途では、注意深く、積層セラコンの諸特性を勘案して選ぶことが重要である。周波数が少し高いと、大容量品よりもやや最大容量が小さい(誘電体の特性の良い)品種の方が効果的な場合もある。

チップ部品になると、対応する基板パターン作る必要が高いので、実験もやりにくい。

積層セラコンの選定に対しては、容量・温度特性・ESR・誘電対吸収特性など相反する項目をバランスよく、必要に応じて回路全体の構成も変えるつもりで選ぶことだ。

いつも、都合のよい部品が存在するとは限らない。とくに、小ロット生産品で高性能を目指す時には苦労が絶えない。

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2010年12月 7日 (火)

フライバックコンバータ

絶縁形DC-DCコンバータには主スイッチのON期間中にエネルギーを蓄積し、OFF期間中に2次側にエネルギーを伝達するフライバック形がある。

基本回路の一つは、1次電源Viに接続されたトランスの1次側をスイッチングし、逆巻きの2次コイルの出力を半波整流して出力Voを得る回路方式である。一般的には、蓄積エネルギーを1サイクルで全部放出するように定数設計がなされる。

定格出力に対し巻き線比(N1/N2)は、数分の1に設計される。主SWのオン期間Tonには、1次電流は時間とともに漸増し、その終期には、電流はI1=V1Ton/L1となり、蓄積エネルギーはP=V1^2・Ton^2/(2L1)となる。このエネルギーPがOFF期間中に2次側に放出される。

トランスは1次インダクタL1を確定させなければならないので、ギャップ付きコアを使い1次巻き数を調整して、所望のインダクタンスL1を得る。2次側は1次側と密結合になるように巻装する。2次側の巻き数を少なくできるので、高昇圧比の場合に自己共振周波数を上げることができる。励磁エネルギーは2次側に放出されるので、基本的にはトランスのリセット動作のための付加回路を要しない。

10数Vの1次電源から1段で1000Vを超える電圧まで昇圧でき、光電子増倍管電源などに用いられる。しかし、ON-ON形:フォワード形に比べトランスが大きくなるので、大容量品には向かない。

回路をプッシュプル形にして、ダイオードを付加すれば、全波形のフライバックコンバータも構成でき、チャージポンプ式の多段昇圧回路との併用も可能である。

高昇圧比のパルストランスで高性能品を作るのは、いつも難しい。トレードオフとなる要因が多いうえ、限られたスペースの中できちんと絶縁しなければならないからである。

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2010年12月 6日 (月)

積分形A/D変換器

A/D変換器の基本形は「積分形」、「逐次比較形」、「フラッシュ形」など種々ある。積分形のA/D変換器は、基本的には1個のRとCとクロックτおよび基準電圧Vrの正確さでその性能が決まる。

例えば、2重積分形では入力電圧ViをカウンタがN1になるまで積分し、次いで逆極性の基準電圧Vrを積分し再び積分電圧Voが0になるまでカウントしその計数値をN2とする。この結果、Vi/Vr=N2/N1が得られ、アナログ電圧が計数値に変換される。

この方式では、抵抗Rと積分Cが、2つの積分時間一定であれば結果に影響しない。入力電圧を一定時間積分するので、積分動作中に入力電圧の変動があっても計数結果はその期間内の平均値が出力される。

積分形の特徴の一つは、線形性が良好なことである。基本的に単調増加するので、被測定電圧と良好な線形関係があり、多数の抵抗群の比が正確であることを前提とする他方式とは異なる。

また、N1τの整数分の1の周期の交流成分の影響を受けない。

しかし、積分形は変換時間が基本的に長いという弱点がある。高速変換を必要とする用途には不向きであるが、外乱に強くS/Nが良好であるから、デジタルマルチメータなどの変換部に使用される。20bit分解能のA/D変換器は積分形でしか現在のところ製作できないだろう。

2重積分形A/Dは回路規模が小さいので、基本部品から自作できるのが特徴である。ただし、4桁程度のものは、オールインワンのICが使えるので、自作する意味は少ない。

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2010年12月 3日 (金)

回路測定

電子回路は測定に始まり、測定で終わる。少なくともアナログエンジニアはそう思っている。

回路の見どころは人に依存して変わる。例えば一次CR遅れ回路を初めて学んだ人なら、実回路の入出力関係をまず観測する。そして、モデルからの予測結果と実測値とを比較し、検証していく。実回路では、これらの基礎実験の経験を元に、もっと複雑なモデルを念頭に置いて、各側面から回路の電流・電圧・波形を観測し、目標とする機能が正常に動作しているかチェックして行くのだ。

初心者は解析しやすい回路から始めるのが良いだろう。部品数の少ない回路が理解しやすいとは限らないが、その人なりに構築したモデルから予測できる結果と実測値を照合するのだ。この過程を繰り返すことにより、もっと複雑な回路を扱えるようになるのだ。

電子回路は電流・電圧のダイナミックレンジが広い。電流では100fAから100A、電圧ではnVから数10kVに及ぶ。扱う周波数もDCからGHzに及ぶ。学生実験では、実験条件を明示するが、実務では自分で測定器を選び、測定項目を決めデータを整理しなければならない。当然、測定器の性能は把握していなければならない。

回路によっては、電流測定が大きな意味をもつ。しかし、電流測定では回路の一部を切断し抵抗を挿入するか、電流プローブを接続しなければならないので、回路電流を測定することはかなりの決断を要する。抵抗が接続されているなら、オームの法則により両端電圧から電流を逆算する。電流を測らない、測れない回路屋も結構存在するのだ。

場合によっては、被試験回路が測定装置の一部となることもある。

電気は目に見えない。電気を実在のものと感じるには頭の中で、常にモデルと実際の実際の照合経験が必要だ。測定はその狭間に介在する。

実務でのアナログ回路開発の時間は、1回路当たりおそらく数カ月程度であろう。この期間に、実験と計算を繰り返し、対象回路の完成度の高いものに仕上げていくのだ。

ダイオード・トランジスタを真に理解するためには、それらの主なパラメータの測定方法を理解し、さまざまな条件での挙動を知っておく必要がある。

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2010年12月 2日 (木)

コンバータの過渡応答

DC-DCコンバータの基本回路構成は3つ(昇圧・昇降圧、降圧形)あるが、いずれもインダクタ・コンデンサ・ダイオード・電子SWを含む。各形式の定常状態の挙動は解析的にほぼ解ける。

しかし、電子回路用電源としてのコンバータは出力電圧、リプル電圧だけが関心の対象になるわけではない。

LとCが存在する以上、DC-DCコンバータの過渡応答にも注意を払う必要がある。

起動時には、Lを介して0電圧のコンデンサCを充電するので、Lには定常状態より大きいエネルギーが蓄積される。抵抗性負荷Rを考慮すれば、L+(C//R)の共振系を構成する。DC-DCコンバータでは、L,Cとも比較的良好な素子が使われるので、負荷Rに依存して共振の強さが変わる。

降圧形コンバータでは、回路の起動特性は出力電圧VoのL+(C//R)で近似できる。ステップ幅は出力電圧Vo相当である。たいてい、振動解になる。負荷Rの影響を強く受けるので、Rが大きいときと重負荷(Rが小さい)では減衰係数が変化する。

負荷が定まっているDC-DCコンバータでは過渡応答をL,Cの定数を選ぶことで、出力電圧をオーバーシュートさせないことも可能であるが、一般には軽負荷でのオーバーシュートを防ぐことは難しい。

このような事情で、起動時には目標電圧/電流を徐々に上げていくソフトスタートが行われる。しかし、さまざまな負荷変動下での過渡応答を最適化することは容易ではない。軽負荷から重負荷への過渡応答とその逆では応答性が異なるためである。

同じような手法で、他のDC-DCコンバータの応答をマクロモデルで考えることは可能であるが、DC-DCコンバータはエネルギーの供給のみを考えているので、必要に応じてマクロモデルにダイオードを付加するとより精密な挙動を見通すことができる。

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2010年12月 1日 (水)

回路のブラックボックス化

電子回路屋といっても、その中身は様々である。まず、扱う周波数・電力・量産規模などに依存して使える手法、使う手法、必要な素養が異なる。

低電圧、小電力ならシステムオンチップのLSIが入手できる。大多数のLSIユーザーにとっては、その中身の回路は知る立場にない。LSIの製作では、トランジスタのプロセス担当、そのパラメーター測定を行う試験屋、ゲートレベル、オペアンプレベルでの要素回路の設計屋、要素回路を用いたモジュールを作る人、システム化する人などの分業で製作しているものと推察される。

アナログエンジニアは種々の要素部品から構成される精密アナログの分野で生きている。LSI化しにくい分野の回路を普段は扱っている。種々の受動部品、半導体素子を使い、かなり極端な仕様の回路を手掛けることが多い。アナログLSIの進歩により、低電圧・中電力までの市場規模の大きい回路では、IC化の波に晒されて、厳しいところを設計することが多くなった。

通信系の高周波回路は市場規模が大きいので、急速にその主要部がLSI化されてきており、同時にブラックボックス化が進行している。

低電圧・中電力のDC-DCコンバータなどは、半導体メーカーの提供する設計式で回路を組めば、結構な性能が出る。ICユーザーにとっては、その中身に立ち入ることは必須ではない。

この様な状況下では、アナログ回路屋としてもどのポジションから自分の技量を磨くかが技術屋人生を左右する。

では、LSI化の波の中で大学教育はどうあるべきか難しい問題である。旧来の教育法では中途半端であることは否めない。社内教育はおそらくもっと不毛の状態にあるだろう。

なにしろ、アナログ回路を網羅的に教えることのできる人材が枯渇しているのだ。

いまや、デジタル回路は一般の「回路」屋にとって、回路設計ではなくLSIのプログラミングとなっている。

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