安定化電源
ドロッパ式安定化電源回路の一例。このままで、ほぼ、実用になる。
この回路のR2の決め方が最大の課題になる。
R2は入力電源Viが最小の時、制御トランジスタQ1、Q2に出力電流に対応する電流を流さなければならない。R2が小さいと、元電源が高いときに、熱的問題が各部に発生する。
入力電圧が変動した時、R2を流れる電流の変化が大きいと、Q3のVBEが変動し、安定化率などが悪くなる。とくに、入出力電圧差を小さくしようとすると、解がなくなる。
R2を決定する際には、入出力電圧差:すなわち、元電源Viをいくらに決定するかが、定数設計の要となる。
教科書的な図の回路は、高効率化を考慮すると、簡単そうに見えても定数設計が難しい回路である。
この回路の定数設計・部品選定に際しては、元電源の出力電圧設定や最悪時のQ1、Q2のベース電流の予測、熱計算、Q3、D1の電流などをきちんと予測しなければならない。
高性能化するには、R2の代わりに定電流回路を使うことである。
簡単そうに見える回路で、案外設計しにくい回路は多く存在する。アナログエンジニアは原理回路の弱点を把握して、ブレークスルーを考えなければならない。
部品数が少なく、高性能で、確実な設計が可能な回路がいつも提示されるとは限らない。この原理回路は、初心者にとって、酷な能力を要求するのである。
回路設計者は常に、いくつかのトレードオフ関係のある設計事項をバランス良く処理することを求められるが、常には、解があるとは限らない。
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