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2010年12月21日 (火)

理想化ダイオード回路

反転形理想化ダイオード回路はオペアンプによる強い帰還によって、ダイオードの非線形性を著しく低減し、ほぼ0mVを境に、通流側では反転増幅器として動作し、遮断側では0Vを出力する回路である。

回路構成は、入力抵抗R1がオペアンプの負入力端子に接続され、出力端子と帰還抵抗R2の間にダイオードD1が順方向に入る。さらに、負入力端子とオペアンプの出力端子の間に順方向のダイオードD2が入る。(オペアンプの正入力端子は接地)

この回路は出力の負側、すなわち入力電圧が正の時、反転増幅器として動作する。入力電圧が負の時、出力は負に振れようとするがD2の存在のため出力できないが、D1が導通するので、オペアンプは仮想短絡となり、0Vに保たれる。この0VがR2を経由して出力される。

上述の理想化ダイオード回路を用いると、0V出力の時には出力抵抗がR2になるので、負荷が接地された抵抗負荷以外では、出力電圧が負荷の影響を受ける。この事実は案外意識されていないが、負荷に外部電源が接続されて0Vを期待する極性の時に電流が出力に注入されると、その分0V出力を維持できなくなる。

主な用途は、精密整流と折れ線非線形回路であるが、入力の0V付近でオペアンプの出力がダイオードの順方向の2倍急変しなければならないので、扱う周波数が高くなると0V付近の出力波形が乱れてくる。汎用オペアンプなら20kHz以下でも整流波形は乱れてくる。

オペアンプの出力に直列ダイオードが入っているので、その分ダイナミックレンジが狭くなる。この回路と加算器を同一品種のオペアンプを使って全波整流回路を構成する場合、オペアンプのダイナミックレンジの端では期待する出力とならないのも注意点の一つであろう。

若かりし頃のアナログエンジニアは、このレベルの回路とその応用回路を理解するまでに1週間ほどかかった。長いと思われるかもしれないが、初めての回路を扱う際には結構時間がかかるものだ。

なお、理想化ダイオードの折れ点は正確に0Vではなく、オフセット電圧の影響やダイオードの選択次第で数mV程度はその位置と形状が変わってくる。

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