高耐圧ダイオード
10kVを超える耐電圧をもつシリコンダイオードは存在する。1個の部品の形状をしているが、実際には数10個のシリコンダイオードを直列に張り合わせた構造をもつ。
ダイオードの直列接続だから、順電圧は数10Vと大きいが、接合の寄生容量はCの直列接続なので、チップサイズの割に寄生容量は小さくpF単位である。
概して細長い軸リード線付きの部品形状で、絶縁距離が取りやすい形状である。
ブラウン管TV時代には電子銃の加速電圧発生回路に使われていて、市場規模が縮小している模様だ。なくらななければよいのだが・・・。
小電力高電圧発生には不可欠の部品で、平均整流電流に比べピーク電流の許容値が大きい傾向にある。
回路シミュレーションでは、パラメータを操作して1個の高耐圧ダイオードのモデルを作れば良い。
高耐圧ダイオードの選択の余地があまりないのが、電子回路部品としては2000V級のある程度電流の流せる品種である。これは、光電子増倍管などの高電圧電源に必要だ。
高電圧発生にはコンデンサも必要だが、高耐圧セラミックコンデンサも次第に入手しにくくなっている。
高電圧回路は部品の制約が多いので、回路構成や部品定数は入手できる部品を強く念頭に置いて設計する。
悩ましいのは、トランスである。電子回路なのでコアのサイズに比べて絶縁厚さが取りにくく、かつ巻き数比が大きくなるので、理想的なトランスにはならない。
高電圧・高安定度のDC電源は理化学機器に不可欠な要素であるが、高電圧用部品が汎用性を失ったいま、部品メーカーの努力によって何とか供給して頂いているのが現状ではないか。
電子回路としての高電圧回路は、基板面積・部品などの関係でスペースが必要になる。絶縁距離、沿面距離など電力機器のようにはいかないのだ。
しかし、科学技術の一部はこのような高電圧・微小電力回路は必要なことも確かである。
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