高校物理雑感
理工系の大学では、本来、高校物理を修得していることが前提であろう。しかし、大学入試の多様化に伴い、高校物理を事実上学ばなかった学生が工学部、理学部などへ進学する例もかなり多い。
この結果、大学で一から物理を教えることになるが、限られた時間で大学レベルまで引き上げることには、かなりの無理があるだろう。
高校数学を理解していなければ、高校物理を効率よく学ぶことは難しい。つまり、数学が得意であっても、物理が苦手という方も多い。
高校物理は質点系の力学から始まる。この時、簡単な高校数学の微積分の知識があれば、覚えなければならない公式の数が激減する。暗記科目とはならない筈である。概念の確立や文字式の扱いにも習熟できる。
電磁気学関連の話題は一般に後の方で出てくるから、時間切れで十分理解して学ぶことも少ない。
物理のもう一つの特徴は、単位付きの式が多く出てくることである。大きい数値、小さい数値も出てくる。普段計算なれしていないと、大きく桁を間違うこともある。
高校物理は工学の基礎の基礎である。その背景には高校数学の活用があるが、物理苦手人間を少なくするためか、高校物理では微積分を使った教え方は稀である。
高校物理は学ぶに時間がかかる科目であるがゆえに、受験での負担が大きい科目でもある。工学系でも少なからず物理を必修受験科目としない大学も多い。これでは、大学進学後、学力レベルの広がった学生を相手に効率の悪い教育をせざるを得ない。
振り返って自分を見れば、今更ながら高校物理の扱う範囲の広さを感じる。
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