半導体は不安定?
たまに、半導体は不安定であるとの記述を見かけるが、1970年代以前ならいざ知らず、現在のSi半導体は安定である。
もちろん、半導体素子の特性は温度、電圧、電流などに依存するので、条件を明確にしないと再現性の良いデータは得られない。例えば、温度条件を無視して半導体素子の特性を測れば、データーの再現性が低下し、不安定と感じることだろう。
半導体は不安定と表現するなら、いまや、半導体の使い方を知らないと吐露しているようなものだ。
現在のプロセス水準なら、環境要因をきちんと制御した状態なら十分安定であると考えることは工学的には正しいであろう。
半導体素子の絶対最大定格も同様である。絶対最大定格を一瞬でも超えたら素子破壊を起こす なんてことは普通あり得ない。言いすぎの表現である。メーカーの補償範囲外であることを示すに過ぎない。もちろん、部品を使う側としては、責任分担を明確にするため、メーカーの補償範囲で使うのが原則である。
アナログエンジニアは稀にメーカー補償外の領域でも自己責任で部品を使うことがある。装置寿命の中で、数時間あるかないかの環境では、メーカー補償範囲では設計できないこともあるのだ。
例えば、接合温度が保存温度を超えても、長期に渡らなければ即破壊することは普通ない。もちろん、高温になれば、種々の素子パラメータは大きく変化する。そのことを織り込んで回路を頑健に設計しておくなら、機器の致命的故障には至らない。
文章は怖いものである。表現が正確でないなら執筆者の力量が透けて見える。もちろん、新人の文章表現力も同様である。明らかに表現力の足りない技術的感性の乏しい新人も少なからず存在するのだ。
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